I vow to thee my country(Holst) [音楽鑑賞]
「エディット・ピアフへのオマージュ」とか「千の風になって」・・・とか追悼の音楽・・・みたいな内容が多いですが・・・
今日はまさにその追悼の音楽。
ちょっと前に故ダイアナ元妃の没後10年のイヴェントがありましたが(テレビを見ていないのでよくわかりませんが・・・)、その頃元妃と親しかったというパヴァロッティが亡くなったりして、(こういう報道があったのかどうかは知りませんが)私にとっては偶然とは思えませんでした。
パヴァロッティも葬儀で歌ってほしいと頼まれたんでしたよね?
亡くなった時はワイドショーに釘付けの毎日でしたが、エルトン・ジョンの曲だけが有名になっている・・・という印象がありましたね~。
こんなCDをNAXOS MUSIC LIBRARYで発見しました。
A Tribute to Diana A Commemorative Album
- アーティスト: Tomaso Albinoni, Johann Sebastian Bach, John Bacchus Dykes, Edward Elgar, Gustav Holst, John Hughes, Elton John, Felix Mendelssohn, Johann Pachelbel, Hubert Parry
- 出版社/メーカー: Vox
- 発売日: 1997/10/03
- メディア: CD
こちらで全曲試聴できます。
このCD、亡くなってすぐに発売されているものですね。
もちろん実際に演奏した団体ではないです。
これは全て葬儀で演奏された曲なのでしょうか??
みどりのこびとちゃんおススメのVoxレーベルだけあって、よく聴いてみるとなかなかおもしろいです。(私は最近”モーツァルト弾き”で有名なイングリッド・へブラーのショパンを発見しました。そのうち記事にしたいです。)
まず、今日一番書きたいことからいくと・・・
ホルストのあの「木星(ジュピター)」が聖歌(アンセム・・・と言うべき?)になっているのですね~!
この前、クリスマスのCDのことを書いた時にホルストの"In The Bleak Midwinter"のことに触れましたが、そこでホルストは本来讃美歌のような曲を作曲していた・・・と書きましたが、この「ジュピター」は後になって作詞されたようです。
英語では"I vow to thee my country"という題でこのCDでは3曲目です。(最初のほうしか試聴していただけないのが残念!)
題名で検索したらネット上でもたくさん情報はあるのですが、この曲、以前ご紹介した"Jerusalem"と同じくイギリスの”愛国歌”なのですね。
日本の場合は”愛国歌”=”讃美歌(聖歌)”にはなりませんが、イギリスではそうなるのですね。
なぜならイギリス国王(女王)が英国国教会の首長だから。
”愛国歌”というと私も戦時中のああいう歌を思い出してしまうのですが、歌詞はともかく美しい歌が多かったりしますよね。
"Jerusalem"も歌詞を深く考えると「えっ?」という感じですが、この"I vow to thee my country"もそんな感じです。
"Jerusalem"のようにプロムスで演奏されるのかどうか知りませんが、イギリス国民にはかなりポピュラーな歌であるようです。
シャルロット・チャーチの小さい時のCDでも歌われているし(こちらで試聴できます。"Jerusalem"も入っている!)、最近よく名前を見かけるキャサリン・ジェンキンス(←オフィシャルサイトからこの曲がほんのちょっと試聴できます。)も歌っています。
日本では平原綾香さんの歌で有名ですが、イギリス人がちょっと聴いたら"I vow to thee my country"と同じ内容だと思うのでしょうかね?
「ジュピター」はもともと人気のあるオーケストラ曲でしたが、平原綾香さんが歌うようになってから更に人気が出ましたよね。
それにしても愛国歌になっているとは思いもよりませんでした。(こちらで詳しく解説されています。)
こちらでも歌詞を載せておきましょう。
I vow to thee my country
I vow to thee, my country, all earthly things above,
Entire and whole and perfect, the service of my love;
The love that asks no question, the love that stands the test,
That lays upon the altar the dearest and the best;
The love that never falters, the love that pays the price,
The love that makes undaunted the final sacrifice.
And there's another country, I've heard of long ago,
Most dear to them that love her, most great to them that know;
We may not count her armies, we may not see her King;
Her fortress is a faithful heart, her pride is suffering;
And soul by soul and silently her shining bounds increase,
And her ways are ways of gentleness, and all her paths are peace.
さて・・・このCDでは上で話題にした"Jerusalem"を作曲したパリーの曲から始まっています。
コラールプレリュード(オルガン)なのですが、何気なく聴いていて「あの曲じゃない!」とすぐにピンときましたよ~!
♪日暮れて四方(よも)は暗く~♪という夕べの讃美歌があるのですが、その曲でした!
2曲目はおなじみ"Air from Country Derry"(=「ダニー・ボーイ」「ロンドンデリーの歌」)。
Voci Angeliのアカペラによるユニゾンが美しいです。
4曲目があの「アルビノーニのアダージョ」なのですが、普通オルガンが入るところがチェンバロ・・・という珍しい演奏です。(このCDのオルガンとチェンバロはAnthony Newman)
テンポ速めですね~!
6曲目の「パッヘルベルのカノン」も4月に記事で書いたようなちょっと速めヴァージョンの演奏です。
この2曲はMary Jane Newman(オルガン・チェンバロ奏者と同じNewmanですが・・・)指揮のMisica Antiquaの演奏です。
もちろん最後はエルトン・ジョンで締めくくられていますね!
そう言えば「千の風になって」・・・英語ヴァージョンの歌があるのですね!
メロディーは全く違っていて少年合唱で昨日聴いてみましたがこっちのほうが好きだなあ!
Liberaという少年合唱団が歌っているのですが・・・。(←このサイトで試聴できます。)
この合唱団も"I vow to thee my country"を歌っているようです。
最近の朝日新聞の投書欄で「千の風になって」のことを書いていらっしゃる方がいましたが、私の先日のこの記事を読んでくださっているのかと思いました。(同じくモーツァルトの歌曲を例に出されていたので。「千の風になって」にしても「ラウラに寄せる夕べの想い」にしても泣いてくれる人がいてその人への想いを歌っている・・・ことを評価していらっしゃいましたね。)
それにしても今年はイギリスの曲にはまっているような気がしてきました!
「千の風になって」、キャサリン・ジェンキンスも歌っています。
http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/katherine_jenkins/discography.html
試聴できます。
by nyankome (2007-10-02 15:24)
nyankomeさん、nice&コメントありがとうございます!
試聴させていただきました。
でもLiberaのとは違いました。
Liberaのはもっと静かな雰囲気でした。
でもジェンキンスのほうもいいですね~。
by Cecilia (2007-10-02 15:49)
xml_xslさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2007-10-02 19:11)
ダイアナさんの追悼コンサート、夏にWOWWOWで放送されてたもの観ました。豪華な出演者でした。故人の生前の活動の賜物ですね。
by アートフル ドジャー (2007-10-02 23:53)
アートフル ドジャーさん、nice&コメントありがとうございます!
私は見ていないのですが、豪華なメンバーでしたね!
by Cecilia (2007-10-03 10:59)
私もダイアナ元妃の追悼ミサのCDを持っています。
変な話ですが、イギリスでの現代のミサに触れることができます。
ダイアナさん、僕は彼女の生き方が好きでした。
by Papalin (2007-10-06 08:30)
Papalinさん、nice&コメントありがとうございます!
Papalinさんがお持ちのCDはどのような曲が入っているのでしょう?
私も随分いろいろな派を経験していますが、英国国教会(聖公会)には行ったことがないので、ミサの雰囲気は非常に気になります。
大学の聖歌隊には聖公会系の高校(R女学院)から来た人が多かったですね~。
ダイアナさん、今でも魅力的な方ですね。
by Cecilia (2007-10-06 12:11)
ご挨拶が遅れました。拙ブログの記事を書くにあたり貴ブログの記事を参考にさせていただきました。つきましては僭越ながら貴ブログへリンクを張らせていただきました。事後になりますがご了承頂ければ幸いです。↓
http://oto.temiruya.com/archives/2007/10/post_52.html
代わりと言ってはなんですが、拙ブログの記事を踏み台に記事を作成された折にはご遠慮なくトラックバックされて結構です。
今後とも宜しくお願いします。
(このコメントは削除して頂いて構いません。)
P.S.
英語版?のジュピター"I vow to thee my country"はシャルロット・チャーチのCDで始めて聴きました。あ、ジュピターに歌詞を付けて歌ってる、と思いながら聴いていましたが、実は歴史のある曲だったんですね。
by すだれ (2007-10-29 14:08)
すだれさん、はじめまして。
コメント&TBありがとうございます!
ちょっと前にTBに気がつきそちらのブログを拝見させていただいていました。
ご丁寧にありがとうございます。
関連した内容ならTBは非常にうれしく感じます。
又後ほど伺わせていただきますね。
私も初めて知った曲でしたが、同じメロディーで非常に驚きました。
こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。
by Cecilia (2007-10-29 14:27)
Ceciliaさん、こちらこそよろしくです。
私は「エルサレム」も好きです。少々血なまぐさい歌詞ですが、時代を考えればそんなものかなと解釈しています。ちなみに私がエルサレムを初めて聴いたのは映画「炎のランナー」でした。五輪で見事優勝を果たしたエイブラハムズとエリックを讃えて少年少女の聖歌隊がエルサレムを歌います。この映画のBGM担当はヴァンゲリスでしたから、私はエルサレムを聴いて、彼は天才じゃないかと思ったのですが。原曲がありました。
ではでは。
by すだれ (2007-11-03 00:44)
すだれさん、コメントありがとうございます!
「エルサレム」の記事をご覧いただいたのでしょうか?(ご覧いただいていなければ上の記事の中でリンクしています。)
>時代を考えれば・・・確かにそうですね。
「炎のランナー」、まだ見ていないのです。
是非見たいと思いました。
私はリコーダーもやっていたので、すだれさんが販売なさっている”笛”にも興味があります。
中南米のフォルクローレで使われるケーナとかサンポーニャとかの響きも大好きです。
by Cecilia (2007-11-03 05:34)
イギリスのことについて、ちょっと調べていたので、古い記事にコメントさせて頂きました。イギリス音楽は興味深いですね。また他の古い記事も拝見させて頂きます。
by Klavia (2008-06-25 19:27)
Klaviaさん、nice&コメントありがとうございます!
イギリス音楽関連記事は結構多いと思います。
反響をいただいたものとしては昔やっていたシェークスピア劇場に関する記事があります。
http://santa-cecilia.blog.so-net.ne.jp/2006-08-10
次のこの記事もそれに関連しますが、有名なリュートソングです。
http://santa-cecilia.blog.so-net.ne.jp/2006-08-11
私の記事はともかく興味深いコメントをたくさんいただいていますので、そちらをご覧ください。
シェークスピアはイギリスの古典。
イギリスを知るにはシェークスピアと聖書・・・という気がします。
by Cecilia (2008-06-26 08:19)