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オリバー・ツイスト [映画]

昨日は盛りだくさんな一日で、近くのホールで「オリバー・ツイスト」を観ました。

映画について詳しくはこちらをご覧下さい。
http://www.olivertwist.jp/

小5か小6の頃に学校の図書室で借りて読んだきりですが、最も印象に残っていた場面は孤児院でおかゆを配給されているところ。
詳しいことは忘れていましたが、とにかく惨めな場面が多かった、ということは覚えていました。

そして、今回観て思ったのは・・・・「家なき子」と結構似ている、ということです!

すりを生業とする子供達と共に暮らし、危険な目に遭い、最後には裕福な家で幸せになる、というパターン。

原作は勧善懲悪的な要素が強いらしいのですが、もう一度読んでみないと、そこのところが思い出せません。
監督はロマン・ポランスキー。
3月に記事に書きましたが、「テス」の監督ですね。
この監督の作品、結構好きかも知れません。

勧善懲悪的ではなく、「悪」の中にもある「真実」に焦点を当てているように感じました。
例えば、子供達にすりをさせている老人はいかにも卑しい顔をしているのですが、オリバーが孤児院や棺桶屋での悲惨な暮らしを経た後に行き着いたすりの家ではオリバーは暖かい食べ物を与えられ、「安心感」を得るのです。たとえその後にひどいことが起こるとしても、はじめの場面では幸福感のある描き方をしています。

全体的に「どんよりした」場面の多いこの作品の中では、ひどい環境で生きている子供達(あるいは日陰者の大人たち)の姿が描かれています。
「ジェイン・エア」でも孤児院の悲惨な暮らしが描かれていますが、現代と違い、当時の孤児には人権などなく、ひどい扱いを受けています。
貧しさの中で皆生きることに必死。

小説はどうか知りませんが、この映画の中ではオリバーに「精神的な成長」などは描かれていません。
オリバーはもともと「悲しげな」「惹きつけられる」何かを持った少年として描かれ、努力ではなく偶然の結果として、冒険をする羽目になるのです。
最後にはハッピーエンドですが(オリバーにとっては)、何かに感動する映画、というよりやはり社会の暗部を抉り出した作品であると思います。
富裕層と貧民層。
「悪」はこういった社会の構造によって生み出されている、ということを前面に出しているように感じました。
原作がどんなものか、もう一度読んでみたいと思います。

オリバー・ツイスト〈上〉

オリバー・ツイスト〈上〉

  • 作者: チャールズ ディケンズ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 文庫


オリバー・ツイスト〈下〉

オリバー・ツイスト〈下〉

  • 作者: チャールズ ディケンズ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 文庫


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コメント 2

coco030705

はじめまして、ココともうします。
オリバー・ツイスト、おもしろい映画でした。人間がよく描かれていたと
思います。教訓的でないのが好きです。ロマン・ポランスキーは、人間そのものを描くのが、上手な人だと思います。
TBさせていただきますので、よかったらお読みくださいませ。
by coco030705 (2006-05-07 09:26) 

Cecilia

coco030705さん、nice&コメントありがとうございます!
私も教訓的でないところが好きです。
上でも書きましたが、「テス」も好きな映画です。
これからそちらを拝見させていただきますね。
by Cecilia (2006-05-08 08:09) 

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