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Kate Greenaway "The Illuminated Language of Flowers" [読書]

花言葉
ヴィクトリア朝の恋人たち


ぼくは恋人に、仙人草を贈ったのだ
ロセッティの詩集を読みながら
庭を散歩していたぼくの恋人は
その花言葉をすぐにわかってくれた

仙人草 それは心の気高さを意味し

恋人は眼を伏せた
私たちの、恋のはじまり・・・・

けれどある日、ぼくに贈られて来た花は白薔薇の蕾
ぼくは知っていたのだ

白薔薇 それは
「私は愛の虚しさを知っているのです」

ぼくの日々から満足は消え去り
ぼくはまた贈った 一輪の花を

アイリス それは情熱

恋人の摘んだ はこべが届く

はこべ それは
「あなたは邪気がなくて純で」

恋することの苦しみがぼくをつかまえて離さない
愛することの哀しみが ぼくを黒い淵へと誘う
ためらいながらぼくは選んでいた

ガム・シスタス それは明日の死

返って来たのは

いちい それは悲しみ

花言葉の約束を守るために
ぼくは死んだ
黒い喪のヴェールをかむり
恋人がぼくの墓に花々を手向ける

まんねんろう それは
「永遠に忘れません」
ヘンルーダ それは悔い

日々は流れ月はたち
ぼくの墓の上には土がふえた
そして恋人は植える

天人花 それは愛

そのときぼくは土に帰った体と魂の中から
ひとつの花を芽吹かせ恋人に贈ったのだ

ガーデンディジー それは
「恋人よ 君の哀しみを二人でわかち合おう」

そう・・・・ぼくは許していたのだ
この花言葉の恋を・・・・

                             ランドルフ・ストウ

           ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
大学に入学したばかりのときに、東京ではじめて買った本「ケイト・グリーナウェイ 花言葉」(白泉社)から巻頭詩を引用しました。

昔森永のチョコレートでケイト・グリーナウェイのパッケージに入っていたものが売られていたのを、覚えていらっしゃる方も多いのでは・・・?
あの絵が表紙になっている本です。

今は日本では絶版になっているのでしょうか?

たぶん下に挙げるものがそれにあたると思います。
          ↓

Illuminated Language of Flowers

Illuminated Language of Flowers

  • 作者: Kate Greenaway, Jean Marsh
  • 出版社/メーカー: Macdonald & J
  • 発売日: 1978/10/19
  • メディア: ハードカバー


Language of Flowers (From Stencils and Notepaper to Flowers and Napkin Folding)

Language of Flowers (From Stencils and Notepaper to Flowers and Napkin Folding)

  • 作者: Kate Greenaway
  • 出版社/メーカー: Dover Pubns
  • 発売日: 1993/01
  • メディア: ペーパーバック

アルファベット順の花の名前と、花言葉が書かれ、花にまつわる詩や花言葉の歴史が紹介されています。
Valentine Day の今日、直接的な表現が氾濫する時代にあって、花に託して気持ちを伝えた奥ゆかしい風習に想いを馳せる・・・というのも一興かと思います。


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コメント 9

nonkumi

若い頃は花言葉を調べたりしていましたが、最近は花の名前そのものが覚えられません。特に洋花のカタカナの名前・・。どんどん新しい品種が増えますよね。
ランドルフ・ストウの詩、なんだか鳥肌がたちました。
by nonkumi (2006-02-14 13:04) 

Cecilia

nomusanさん、nice&コメントありがとうございます!
「まんねんろう」ってRosemaryのことなのですよね。
(たしかジゼルにも出てきました。)
洋花でも日本語になっていると、別物のように感じます。
ちょっと昔までは、文学作品にもこのように日本語に翻訳されて登場していたと思います。
ガーデニングが盛んになり、素敵なお花も増えましたが、時々、昔嫌いだったヒャクニチソウとかダリヤとかカンナとかが懐かしくなります。(今も好きではありませんが。)最近見かけないと思いませんか?
by Cecilia (2006-02-14 14:23) 

kansya

私が中学か高校生のころ、木下恵介監督の「冬の雲」というTVドラマのエンドロールで流れる歌の3番の歌詞に「マンネンロウ」としか聞こえないところがあったのですが、どうしても何のことか分からず、引っかかっていました。でも2~3年前に、ハーブの本を見ていたら、ローズマリーの別名と知って特別の思いを抱いたものです。何十年ぶりに謎が解けたけれど、誰に話すという相手もなかった私の小さな喜びでした。「香りゆかしき」という修飾語とともに.....複数の男声のユニゾンで歌われていました。
by kansya (2006-02-15 19:55) 

みど

ぜんぜん関係ないけど「花言葉」っていうオペラあるんですよ。。。。
by みど (2006-02-16 02:20) 

Cecilia

kanshaさん、コメントありがとうございます!
まんねんろう=Rosemaryって、意外と知らない方が多いように思います。
私も、kanshaさんのコメントで喜びを感じましたよ。
私の好きなマザー・グースの歌のなかで"Lavender's blue"という曲がありますが、「ラヴェンダーは青く、ローズマリーは緑。あなたが王様になったら、私は女王様になるのよ。」という内容で、植物の名が全く意味なく用いられています。
同様にトスティという人の歌曲で"L'ulutima Canzone(最後の歌)"という曲があるのですが、鶏頭とか、薄荷、薔薇などが、意味もなく歌詞に登場するのです。
花言葉の意味でももたされているのかな・・・と思ったこともありますが、不明です。
by Cecilia (2006-02-16 08:51) 

Cecilia

みどさん、nice&コメントありがとうございます!
「花言葉」というオペラ・・・はじめて聞きました。
誰が作曲したのですか?
花・・・といえば、ミミのアリアを思い出します。
匂いのない花の刺繍をして暮らしをたてているミミを。
by Cecilia (2006-02-16 08:55) 

kansya

お返事有難うございます。花言葉の歌で私の一番好きなのは中田喜直さんの「勿忘草」です。PTAのコーラスでも何度か歌いましたが、甥の結婚式の披露宴で歌いましたらとても好評でした。
ただ、花によっては国柄等で色々な違う意味があるものもあって、どれがほんと?ってなってしまうのが困りますよね。
by kansya (2006-02-17 01:45) 

Cecilia

kanshaさん、コメントありがとうございます!
この本を新たに出版するにあたり、ジェーン・マーシュたちは、花の意味の語源を調べ、正確なフロリグラフィーを作るよう心がけたそうです。意味が違っていたら、花をもらう側も解釈に困ってしまいますから。
「勿忘草」・・・聴いたような気もしますが、覚えてないですね。
この花は名前の通りの花言葉ですよね。
大好きな花です。
by Cecilia (2006-02-17 08:37) 

元祖キムタク

 ランドルフ・ストウ:西オーストラリアの小さな本屋で著書「MERRY-GO-ROUND IN THE SEA」を買い求めたのが最初である。この様な素敵な詩を書く方であるなら、もっと他の著作を店員に尋ねるべきだった。 辞書を引きながらでも楽しむことが出来ただろうに!?
by 元祖キムタク (2024-02-09 09:09) 

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