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映画の中の音楽「月光の夏」 [映画]

月光の夏

月光の夏

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 1996/08/07
  • メディア: ビデオ


私の大好きな俳優の田中実さんが出ているので、ずっと気になっていた映画です。

佐賀県の鳥栖というところの小学校で創立記念の音楽会が催されていました。
可愛らしい女の子が「乙女の祈り」を代表で弾いているところから始まります。
体育館には皆からすっかり見放された古いピアノが・・・。
元音楽教師はそのピアノを蘇らせたい、と願います。

終戦直前、その小学校(国民学校)に二人の特攻隊員がやってきます。
一人は上野の芸大でピアノを専攻している海野(永野典勝)。
もう一人は師範学校で学ぶ風間(田中実)。
二人は死ぬ前にどうしてもピアノを弾かせてほしい・・・と頼みます。
海野は「木枯らしのエチュード」を少し弾いた後、「楽譜はありますか?」と音楽教師(若村真由美)に尋ねます。
そこで弾いたのがベートーベンの「月光ソナタ」。
渾身の力を振り絞り、演奏します。
時間が迫り、風間の伴奏で国民学校の子供たちが「海ゆかば」(信時潔)を歌い、別れます。

そして、時は現代へ・・・。
ピアノをよみがえらせるため、小学校では元音楽教師の講演会が開かれます。
マスコミも動くのですが、二人のうちの一人と思われるピアノ教師は、頑なに「そのような記憶はない。」と言い張ります。

このピアノ教師はかつて「海ゆかば」を弾いた風間でした。
海野と共に突撃するものの、飛行機の不具合でやむなく帰還。
「犬死」を避けての行為であるにもかかわらず、上官から処分を受け「シンブ寮?」(字がわかりません!)に収容され、外部との連絡も断たれます。

無様に生き残った元兵士たちは、亡くなった仲間に顔向けが出来ない、生き恥をさらしている・・・という悔いから、当時のことをなかなか語ろうとしないそうです。

突撃前夜、海野・風間たちは♪苑の小百合、撫子、垣根の千草♪を歌います。
海野「俺は死にたくない!」
風間「俺は愛するもののために死ぬ」

・・・結局海野は死に、風間は生き残りました・・・・。

生き残ったことに痛みを感じながら、最後によみがえったピアノ(ドイツのHUPFERというらしいです。)で、風間が「月光ソナタ」を弾くところで終わります。

実話を元に製作されたこの作品は、虚構という感じがしなくて、ドキュメンタリータッチに仕上がっています。
知覧の特攻隊記念館などが出てきます。
淡々と静かに話がすすんでいきます。
特攻隊出撃の様子が、リアルで、長い時間を割いて表現されています。

夫が元裁判官の方から聞いた話・・・
特攻隊員たちは、「死」の恐怖から錯乱状態に陥ることが多く、麻薬入りの寿司を食べさせられた・・・とか。

「絶対音感」も戦略の一つとして利用された時代・・・!(最相葉月「絶対音感」を読んでください。)

絶対音感

絶対音感

  • 作者: 最相 葉月
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2002/09
  • メディア: 文庫


ピアノ(音楽)を学びながら、腕を生かされることもなく戦場に散った方々を偲びたいと思います。


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サンラブ

Ceciliaさん こんばんは
この映画ドキュメンタリー要素が大きくて共感した記憶が蘇りました。
心にぐっと来たって感じですよね。
戦争を題材にしている映画は、心に迫るものがあり人として感情が溢れてしまう気がしてなりません。
音楽もまたそれに共鳴する感じがします。
良い映画ですよね。

ピアノ関連で観た映画で「戦場のピアニスト」ってありますが御覧になったことありますか?此れもお話は、凄く心に来るものがありました。ショパンのノクターン20番が悲しい現実を表現している感じに受けました。
by サンラブ (2005-11-14 21:15) 

のの

私の勤務先の元社長は、海軍出身で死にかけたものの何とか生き残った人。
趣味はコーラスで、ピアノもたしなみます。
今も元気で時折社内で見かけますが、MMKの海軍さん、姿勢がいいです。
彼は生き残って出世もしたし、いい人生を送っているように思えますが、
心の中はどうなんでしょうね。

「海ゆかば」が信時さんの作品とは知りませんでした。
母校の校歌を作った方です。
by のの (2005-11-14 21:16) 

Cecilia

サンラブさん、nice&コメントありがとうございます!
普通の反戦映画とは趣が違うような気がします。
出撃の場面の長さ・・・他の映画やドラマでは見かけません。
それに、生き残ったものが行くところの描写も。
「戦場のピアニスト」はこれから是非観たいです!
by Cecilia (2005-11-14 22:54) 

Cecilia

ののさん、nice&コメントありがとうございます!
例の裁判官とは、夫が行っていた教会の方だそうです。
こんな話を聞いているので、夫は「作り物の話はいやだ。」と言って観ていませんでした。
実際にあった話が下敷きなのに。

信時さん、私の母校の女子高の校歌も作っていらっしゃいます。
この前、よくお邪魔しているgoshuさんのところで話題になりました。
この時代は高村光太郎なども戦争に協力する詩を書いていますね!
by Cecilia (2005-11-14 23:00) 

ともみ

月光の夏・・・・・この映画、息子が最近音楽の授業で見たそうです。
帰ってくるなり、「お母さん、ボク弾いてみたい曲があるんだ~」って言うんです。聞いてみるとこの映画を見て、月光を弾いて見たくなったとか・・。
ピアノはあまり練習しない息子ですが、こうやって弾きたい曲が出てくればそのうち頑張るかなーーなんて思いました。
絶対音感も読みました。
懐かしいーーー。ブームでしたよね。
また読み直してみようかな?
by ともみ (2005-11-22 01:41) 

Cecilia

ともみさん、コメントありがとうございます!
私も「月光」弾きたくなりました。
弾きたい曲がある、というのは最高のモチベーションですよね。
うちの娘もシューベルトの即興曲にはまってます。
「絶対音感」・・・引越しの時、もういいやと思い、処分してしまいましたが、ブログでそのことについていざ書こうと思うと、うろ覚えのことが多いので、又文庫本でも買おうかな。
by Cecilia (2005-11-22 08:20) 

ピアノフォルテ

教えてくださってありがとうございます。
(スミマセン、だいぶ前の記事へのコメントで)
この映画のこと、漠然と知っていたのですが、ほんとに切ないお話ですね。
借りてみようかな。
息子に見せたいんですが、家でゆっくり映画を見る時間を切り取るのはなかなか大変になってます。
by ピアノフォルテ (2007-09-03 08:30) 

Cecilia

ピアノフォルテさん、nice&コメントありがとうございます!
だいぶ前の記事へのコメント・・・大歓迎なのです。
うちの近くのレンタルビデオ屋さんでも、どんどんDVDが増える中忘れられたように隅にありましたが、もしかしたら置いてないところも多いのかもしれませんね。
ピアノ関係で言えば菅野美穂さんがフジコ・へミングをやったのが見たい・・・と前から思いながら見れていません。

やっと2学期が始まりましたね!
by Cecilia (2007-09-03 12:52) 

降龍十八掌

特攻隊員は、無理やり、これは愛する家族のためなんだと、自分を納得させることで、やっと行けた・・・そうです。
錯乱する人がいたとは、すごいですね。
私も、きっと逃げ出したと思います。
ただ戦時中なら、完全に洗脳されていたかもしれませんけどね。

by 降龍十八掌 (2008-09-21 18:32) 

Cecilia

降龍十八掌さん、nice&コメントありがとうございます!
うまく逃げることができればよいですが、もちろん発覚したら大変なことになりますよね。
先日のテレビでも弾が途中ではずれてしまって戻る羽目になった隊員の苦悩が描かれていました。
(その隊員は再び出撃することになるのですが。)
by Cecilia (2008-09-22 10:10) 

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