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「長い冬」 [読書]

風邪でダウンしていました。
パソコンのある部屋が寒い上、頭がボーっとしていたため、何かを集中して書くということができませんでした。

本当にこの冬は寒さが厳しいですね。
私の人生の中で一番寒い冬である、と感じています。

・・・というわけで、今日はローラ・インガルス・ワイルダーの「長い冬」のお話・・・。

長い冬

長い冬

  • 作者: ローラ・インガルス・ワイルダー, 谷口 由美子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


おなじみの「大草原の小さな家」のシリーズの本です。
しかし、「大きな森~」「プラムクリークの土手で」などとは趣を異にしているように感じます。
・・・というのは他のシリーズは章ごとに単独のお話としても読めるのですが、この「長い冬」はそういう読み方が出来ない、というという点においてであります。
ローラが13歳の年に、長く厳しい冬がやってきます。
最初の場面はとうさんと干草刈りをしているところで8月か9月。(大変暑い様子です。)
9月にはもう霜が降りた・・・とあり、翌年の5月までの長い冬の様子が大変ドラマチックに緊迫感をもって描かれています。
初めのころは燃料も食料もあるのですが、大雪のために汽車も止まってしまい、それらが乏しくなっていきます。
燃料を節約するために干草を縒って棒を作ったり、母さんが料理を工夫する様に感動します。
はじめのころには熟していない青いカボチャでアップルパイのような味のパイをこしらえたりします。食料が乏しくなると、少しの小麦、グレーヴィー(肉汁)が大変なごちそうです!
ローラたちの貧しい食事と対照的に小麦をたくさん蓄えているアルマンゾ(ローラの未来の夫)たちはそんな中でも豊かな食事をしています。(山のようなパンケーキにブラウンシュガーをかけて食べる場面が多い!!)

そういった乏しい状況において、一家を支え生かしているもの・・・

それは「言葉」であり「音楽」でした!

「長い冬」には詩や聖書を暗誦する場面がたくさん出てきます。
これが当時の「勉強」なのですが・・・これがまた寒さと飢えに追い込まれた状況の時に大きな力を発揮するのです。

一家が寒さに立ち向かうように歌う場面が印象的です。(最後のころには、とうさんは得意なヴァイオリンすら弾けなくなっているのです!)

最後の5月のクリスマスの場面で(雪に埋もれていた汽車がやっと動き、クリスマスに届くはずだった荷物がようやく手に入る。)、やはり「音楽」が登場します。

とうさんの弾くヴァイオリンに合わせて皆でコーラスをします。
           ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
くよくよしたってしかたがない
意思さえあれば 道は開ける
明日は日が輝くかもしれない
たとえ 今日は曇っていても

 うたっているうちに、あの長い冬の恐怖も苦労も、黒い雲となって空へあがっていき、音楽にのって、どこか遠くへ流れていってしまう気がした。春がきたのだ。ほかほかと日が照り、そよ風がやわらかく吹き、草が緑に萌えていく。

                              (最後の部分より引用)

            ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
クランベリーのジェリー、七面鳥、ジャガイモのグレーヴィーソースがけ、パイやケーキ、コーヒー・・・などの「長い冬」には考えられなかったような食卓を囲んでのこんな風景にほっとさせられます。

そして私は娘達が小さかった時に読んだ絵本も思い出すのです。

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

  • 作者: レオ・レオニ
  • 出版社/メーカー: 好学社
  • 発売日: 1969/01
  • メディア: -


皆が働いている時に「詩」をつくっていた風変わりな野ねずみ「フレデリック」のお話。

極限状況のときに人を生かす「言葉」・・・そして「音楽」の力について考えさせられます。


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コメント 13

ピアノフォルテ

厳しい冬があるからこそ、春の喜びって大きいのですねー。しかし、ローラたちのはほんとにほんとに厳しい越冬ですね。聖書屋音楽の力ってすごい!
Ceciliaさん、お風邪、ぶり返さないようにお気をつけくださいね。
私のブログに一足早い春を載せました!
by ピアノフォルテ (2006-01-24 20:28) 

Cecilia

ピアノフォルテさん、nice&コメントありがとうございます!
今ピアノフォルテさんのところを見てきました。
厳しい冬の寒さのあとの春の喜びはひとしおですよね。
それと先日佐藤初女さんの本を(立ち読みですが)読みました。
佐藤さんやローラのお母さんに憧れます。
by Cecilia (2006-01-24 20:44) 

prelude

お風邪は大丈夫ですか?今冬は本当に寒いですね。
ただ、ここ数日花粉が飛んでいる気配があるのですが・・気のせいかな?
長く厳しい冬の「ドラマチックに緊迫感をもって」というのが
この記事を読んでいても伝わりました。
Ceciliaさんは文章がお上手ですよね。見習わねば・・・。
本屋に行くと、アレコレ迷って1時間くらいウロウロするのですが、
今度読む本は「長い夜」に決まりです!
by prelude (2006-01-25 00:06) 

のの

「長い冬」を読みたいのですが、実家のどこにしまったのか…???
私が持っているのは、鈴木哲子さん翻訳のものです。
それまでの福音館の恩地三保子さんの訳と雰囲気がかなり異なり、
とうさんかあさん→とうちゃんかあちゃんだったりするのに違和感を覚えましたね。
by のの (2006-01-25 00:34) 

のの

風邪、お大事に。
by のの (2006-01-25 00:38) 

みど

みども風邪から復活しました!
ceciliaさんもお大事に・・・・・
by みど (2006-01-25 04:44) 

Cecilia

elleさん、nice&コメントありがとうございます!
文章は下手なのでお恥ずかしいです・・・・。
でもほめてくださってありがとうございます!
テレビの「ローラ」と共に少女時代を過ごした私ももうすでに「とうさん」「かあさん」の年代。
あの時代の人は若者であってもしっかりした考えを持っていることに驚かされます。特にアルマンゾの独立心に。
読み始めたら止まらないと思います。
by Cecilia (2006-01-25 08:34) 

Cecilia

ののさん、nice&コメントありがとうございます!
以前、ののさんも「プラムクリークの土手に」について書かれていましたよね。
(思えば私がはじめてコメントしたのはその記事でした。)
鈴木哲子さんの「とうちゃん」「かあちゃん」には違和感がありましたが(この訳では全部は読んでいません。)、訳自体は評価されていたようです。
私のはこの新しい谷口さん訳のものです。
こちらは「とうさん」「かあさん」ですし、全く違和感がない訳ですね。
風邪はかなりよくなりましたが、気をつけないといけません。
ありがとうございました。
by Cecilia (2006-01-25 08:41) 

Cecilia

みどさん、nice&コメントありがとうございます!
声楽やっていると、風邪は本当に困りますよね。
(私の場合は困ることはめったにありませんが)
by Cecilia (2006-01-25 08:44) 

トスカ

長かったですね。(インフルエンザではない?)
とにかく、回復おめでとう。
私は今頃のこのこ風邪をひいています。
>私の人生の中で一番寒い冬である、と感じています。
私もそう感じています。
by トスカ (2006-01-25 22:47) 

Cecilia

トスカさん、nice&コメントありがとうございます!
それほど長くはなかったかも・・・?
でも声がすっきりするまでには時間がかかるかも知れません。
トスカさんの体調もよくなりますように。
by Cecilia (2006-01-25 23:01) 

wild-cat

おはようございます
風邪、大変でしたね!歌姫、ノドは大丈夫ですか??
私も図書館で借りてこよう~今、赤毛のアンを予約中なんですが、意外にいつも貸し出し中なのですよ~なので予約しました。
「長い冬」が終わった場面に、本当にホッとさせられますね(^^)
とうさんのヴァイオリンが聴きたいなぁ。
by wild-cat (2006-01-26 10:02) 

Cecilia

山猫さん、nice&コメントありがとうございます!
今ちょうど、耳鼻咽喉科の思い出を書いたところです!!
咳も大したことないし、安静にしていれば大丈夫・・・ですが、子供を叱ったりで、なかなか思うようにはいきません。
「赤毛のアン」人気があるのですね~!
ローラのとうさんがヴァイオリンを弾く場面が「大きな森~」でも多いですよね。
こんな風に生活の中に音楽が溶け込んでいる、というのが理想ですね。
by Cecilia (2006-01-26 10:09) 

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