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アマデウス [映画]

アマデウス

アマデウス

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2005/11/18
  • メディア: DVD


この映画をご覧になった方は多いことでしょう。
そして、皆さんモーツァルトが実はどんなに「下品」だったかを知り、「高尚」な音楽家ではなく親しみやすい人物であった、と感じていらっしゃることと思います。
それほど、強烈な印象を与える映画であると感じます。

この「下品」なモーツァルト像は「べーズレ書簡」と呼ばれる従妹への手紙によって作られていると思います。

モーツアルトの手紙 上―その生涯のロマン (1)

モーツアルトの手紙 上―その生涯のロマン (1)

  • 作者: ウォルフガング・モーツァルト
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1980/01
  • メディア: 文庫


モーツアルトの手紙 下―その生涯のロマン    岩波文庫 青 504-2

モーツアルトの手紙 下―その生涯のロマン  岩波文庫 青 504-2

  • 作者: ウォルフガング・モーツァルト
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1980/01
  • メディア: 文庫


ここで書くのは憚られるので、全部は引用しませんが次のような手紙を書いています。

アンナ・テークラ・モーツァルトへ(マンハイム、1777.11.5)
最愛のべーズレ・兎ちゃん(へーズレ)! なつかしいお手紙、たしかに受け取り・ぶんどり・ました。おじさん・どじさん、おばさん・ろばさん、そしてあなた・そなたが、お元気・お天気・だとわかりました・曲がりました。・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぼくが一所けんめい手紙を書いていると、通りで何か聞こえる。書くのを止めて、立って、窓のところへ行くと、もう何も聞こえない。腰をかけ直して、また書き出す。十語と書かないうちに、また聞こえる。また立ち上がる。立ち上がると、かすかにだが、聞こえる。でも何だか焦げついたようなにおいがする。どっちへ行っても、臭い。窓から外を見ると、においは消える。中を見ると、においはまた強くなる。とうとうママがぼくに言います。「お前、きっと一発やったね」・・・「ちがうと思うよ、ママ」・・・「いやいや、きっとそうだ」・・・ためしに、人差指をお尻に入れ、それから鼻へもって行く。それで・・・確かめられし候。ママの言うとおりだった。では、ごきげんよう。10000回キッスします。いつも変わらぬ古い若い豚の尻尾
・・・・・・(中略)・・・・・・・     
ムイハンマ日5月01年7771

かなり省略しましたが、この岩波版でも無作法な、卑猥な、尾篭(びろう)な文が多いのです!(シュテファン・ツヴァイクによって1931年に発表されたものは省略されない完全な形で、『書簡全集』には収録されているらしいです。)ここにはとても書けませんので、知りたい方は岩波版をご覧下さい!

このような書き方は、科学的調査によれば作曲活動が調子に乗った時期に現れる・・・とのことですが・・・。(柴田治三郎氏の注釈によると)

今手元にありませんが、昔小林秀雄の「モオツァルト」を読みましたが、「疾走する悲しみ」という言葉がいまだに気になっています。
この言葉が一人歩きしてモーツァルトの音楽を聴く時、演奏する時にはそのように考えていなければならないような気分になるのですが・・・
「私にとってのモーツァルト」はやはり限りなく美しく、優しく・・・・そして時折垣間見られる「茶目っ気」がたまらないのです!

「下品さ」も「悲しみ」もモーツァルトの一面なのかもしれませんが、色眼鏡で見ることをせず、音楽を通して彼の真実の姿を追いたいな、と感じます。

モオツァルト・無常という事

モオツァルト・無常という事

  • 作者: 小林 秀雄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1961/05
  • メディア: 文庫


             ♪           ♪           ♪
(おまけ)
アマデウスの中で使われる音楽はほとんどモーツァルトの曲ですが、先日書いたブログの中で触れたペルゴレージの「スタバト・マーテル(悲しみの聖母)」が使われています。
サリエリが不遇だった少年時代を回想している教会の場面(音楽をする環境に恵まれていたモーツァルトと対照的に描かれています。)で「スタバト・マーテル」の最後の12曲目「肉身は死して朽つるとも」が。運よく(?)父親が死ぬ場面ではそのあとの「アーメン」が効果的に使われています。

Quando corpus morietur, 肉身は死して朽つるとも、
Fac,ut animae denetur 霊魂には、
Paradisi gloria. 天国の栄福をこうむらしめ給え。
Amen. アーメン。

ペルゴレージ : スターバト・マーテル

ペルゴレージ : スターバト・マーテル

  • アーティスト: フレーニ(ミレッラ), ベザルガンサ(テレサ), ナポリ・スカルラッティ管弦楽団, ペルゴレージ, グラチス(エットーレ), カメラータ・ベルン, フューリ(トーマス)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 1997/05/08
  • メディア: CD


映画の中では少年合唱でしたが(どこの演奏かは知りません。)、私が持っているフレーニ・ベルガンサ版ではこの二人のデュエットですね。


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トスカ

この映画の主人公はサリエリだったと思います^^
映画のブームにのって、NHKなどでサリエリの曲がいくつか紹介されましたが、結構いけてたと思います。それでも今の世に残っていないというのは、それだけではだめだということですね。時の流れというのは冷静で残酷なものです。
by トスカ (2006-02-01 20:17) 

Cecilia

トスカさん、nice&コメントありがとうございます!
私はこの映画でサリエリに共感しましたよ!
本当に時の流れは残酷ですね!!
今もてはやされている人の中で、一体どれほどの人が後代に名を残すだろうか、とよく考えます。
by Cecilia (2006-02-01 22:15) 

Cecilia

Rikkunさん、niceありがとうございます!
(だいぶ前にいただいていたようですが、気がつかず申し訳ありませんでした。)

by Cecilia (2010-02-26 20:53) 

Cecilia

Arielさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2010-02-26 20:54) 

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