「バベットの晩餐会」・・・五感のよろこび [映画]
キリスト教にはたくさんの教派があり、大きく分ければプロテスタントとカトリックということになりますが、プロテスタント教会にも実にさまざまな教派があります。
そして、教会での「音楽」のありかたも実にさまざまであります。
前の記事で「バベットの晩餐会」を取り上げました。
教会のシーンでは讃美歌を歌う場面しか出てこないのですが、こちらの教会では「感情過多」な讃美歌は歌われないことと思われます。
映画のパンフのなかで中沢新一氏が次のように述べています。
カソリックの考えでは、この世界をこんなに美しくつくりあげている神さまの「栄光」は、人の五感のすべてに語りかけてくる、だから人間はゴージャスな感覚の儀式をとおして、その「栄光」をたたえなければならないのだ。ところがプロテスタント、とくにピューリタンの人たちは、そうは考えない。彼らにとって重要なのは、聖書に書かれた言葉だけなのだ。真理は言葉のなかにだけ、あらわれる。五感のよろこびは、むしろそれを見えなくさせる。彼らは、いつも聖書を読み(カソリックの人たちは、そんなに聖書を読まない)、そこに書かれている言葉をとおして、「いつも」「ずっと」「たえることなく」、神の「栄光」がこの世界のなかにあらわれでていてほしい、と願っていたのだ。そのために、彼らの暮らしは単調だ。ドラマティックなもりあがりもなければ、感情のほとばしりに従ったりすることもないようにして、生きた。
そのようなピューリタンとしての彼らの信仰は「タラの干物」「ビールとパンでつくるスープ」という”日毎の糧”に表れていると思います。
アシール・パパンの紹介でこの村に逃げてきたフランス人の料理人バベットは、そういった彼らの生活に溶け込み、もうすっかりオールド・ミスとなったマーチーネーとフィリパを助け上手に切り盛りしていくのです。
そんなバベットが宝くじで多額のお金を手にし、亡き牧師の生誕のお祝いのためにそれをすっかり使ってしまいます!
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LE MENU
海ガメのスープ
ロシア産キャビアのドミドフ風
うずらのフォアグラ詰めパイケース入りソースペリグディーヌ
季節のサラダ
チーズ:カンタル・フルムダンベール・オーベルニュブルー
ババのラム酒風味
フレッシュフルーツ
コーヒー
☆
アモンティヤード
ヴーヴ・クリコ
クロ・ヴージョ
ハイン・コニャック
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このメニューを見ただけで、よだれが出そうですが・・・映画で観た時は、本当にため息が出るような晩餐シーンでした。
晩餐会に参加した者の中でこれらがどれほどのものか知っているのは、レーベンイェルム将軍(昔マーチーネーと恋仲になりかけた人物)と彼の叔母くらいでした。
牧師の死後何年もたつうちに、「一派の調和は不安定になり始め、意見の対立が目立ち始めた」のでした。
そんな彼らの心を再び神の前で固く結びつける働きをしたのが、邪悪なカトリック信者であるバベットがつくった料理(まるで「悪」のように言われている。)だったのです!!
はじめて観る前は単なる「グルメ映画」と思っていましたが、いろいろな意味で考えさせられる奥深い映画です。
こんばんは
「バベットの晩餐会」は、まだ観たことがありません。
奥深い作品だったのですね。なんだかCeciliaさんのレビューを拝見していたら興味が沸きましたよ。
機会があったらこのレビューを参考にして観て見ようと思います。
なによりこの献立が凄く興味が・・・
美味しそうです(笑)
by サンラブ (2006-01-30 22:24)
サンラブさん、おはようございます。
nice&コメントありがとうございます!
昨晩管理ページでサンラブさんのコメントがあるのは知っていたのですが、重すぎて全部見ることが出来ませんでした。
お料理の材料を調達するところから、作る場面、食べる場面が長く、どんなにか美味しいだろうと、想像力が膨らみます。
by Cecilia (2006-01-31 08:11)