SSブログ

「テス」(トマス・ハーディ) [読書]

中一の娘と漫画や本をめぐって口論になることが多い毎日です。
本当に漫画が多いです。
自分自身も漫画は好きでしたが、私が中一のころは家には「ガラスの仮面」しかありませんでした!
お友達から情報を仕入れてきて、「これは・・・」と眉をひそめたくなるようなものまで読んでいます。
本に関しては、いろいろ読んではいるようですが、いわゆる「純文学」とは縁遠いものをたくさん読んでいるようです。

さて私が中一のころ、何を読んでいたか・・・
家の近くには本屋さんはなかったし、図書館も近くありませんでした。
学校の図書室だけが頼りだったのですが、今は売られていない旺文社文庫という文庫本のシリーズがありました。
中学のころはこのシリーズをよく借りていたように思います。
その中ではまったのがトマス・ハーディの「テス」。

テス 上

テス 上

  • 作者: トーマス・ハーディ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2004/06/10
  • メディア: 文庫


テス 下

テス 下

  • 作者: トマス・ハーディ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2004/07/08
  • メディア: 文庫


テス 下    岩波文庫 赤 240-2

テス 下  岩波文庫 赤 240-2

  • 作者: トマス・ハーディ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1960/01
  • メディア: 文庫


私は旺文社文庫で読んだ後、集英社から出ていたハードカバー(グリーンの世界名作文学の本)を買いました。

世慣れていない田舎娘のテスが、親戚筋の家に奉公に行き、アレックという男性に犯されてしまうのです。(出産するものの赤子はすぐに死んでしまいます。)
新境地を求め、働き始めた牧場で彼女は好青年エンジェルと出会うのです。
二人は恋に陥るのですが、テスは自分の過去の過ちからなかなか結婚に踏み出せないでいます。
彼が自分の過ちを語ったため、彼女も自分の過ちについて語るのですが・・・
「僕が愛したのは君ではない。君の姿をした別の女性だ。」と言って、遠いところへ旅立って行くのです。
テスはその後、ひどく貧しい暮らしを強いられるのですが、再びアレックと出会う派目に・・・。
やむを得ない事情から、テスはアレックの愛人としての暮らしを始めます。
放浪から戻ったエンジェルはテスを探していました。しかし再会した彼の前に現れたのは他の男性の愛人となったテスでした。
結末はテスがアレックを殺し、二人で逃亡するのですが、捕らえられ最後には処刑される・・・というなんとも悲しい結末です。

男性の「偽善」を鋭く抉り出した小説・・・と集英社版の本の帯についていた記憶があります。
(ちなみにエンジェルは牧師の息子。)

あ~、私は中一の時にこんなにドロドロしたものを読んでいたのですね~!

しかしやはり文学作品だけあって、表現も奥が深かったですね。
「一人のラケルを手に入れるために三人のレアか。」など、聖書を読まなければわからないような表現が多く、当時の私には解説を見ながらでもわかりませんでした。

この本に限らず、背伸びして読んでいた作品がかなり多いです。

ご存知の方も多いかと思いますが、この作品は映画化されていて、ナスターシャ・キンスキーがテスを演じています。

テス プレミアム・エディション

テス プレミアム・エディション

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2005/12/22
  • メディア: DVD


このDVD、欲しいです!!
イギリスの田園風景が美しく、ナスターシャ・キンスキーも初々しく世間知らずな娘の役にはまりきっています。
これが映画化されたとき、私は高校生だったように思います。
もちろん初めて見たのはテレビででしたが、大変どきどきしながら見た記憶があります。


nice!(2)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 4

はっさく

「テス」、大好きというのとは違いますが、心に深く残っている作品です。あの時代の道徳や既成概念をものともせず、こんなものを書いた人がいたなんて!と大きな衝撃を受けました。因みに20代半ばのことです。
中1の時といえば、松本清張の「黒皮の手帳」を読みました。これも中1の女の子に相応しいのか、どうでしょうね(笑)

本については、その人にとって読む時期が来れば読む、という考え方もありますね。私も、ちっとも本を読んで勉強しない後輩に失望するたび、マリー・アントワネットの逸話を思い出して自分を宥めてます。とはいえ、後輩は所詮他人なので気も楽なのですけども・・・。
by はっさく (2006-03-25 21:29) 

Cecilia

はっさくさん、nice&コメントありがとうございます!
娘は読まないわけではないのですが、この前はお友達から「バトル・ロワイヤル」を借りてきていましたし、今時の10代20代の人の投稿小説みたいなものにはまっています。
貴重な10代・・・もっと文学作品に触れてほしいのですが・・・。今読んでいるものも、それを読んだからすぐにどうこうというのはないのでしょうけれど、どう影響してくるのかな・・・と心配な母です。

かといって、自分も「年に相応しい本」を読んでいたわけではないし、難しいですね!
by Cecilia (2006-03-25 23:50) 

びっけ

子どもに本を薦めるのは、なかなか難しいですよね。
親に薦められる本よりも友達や先輩に薦められる本の方を読みますものね。
私の場合は、高校でいわゆる文学少女の先輩と出会ってから、随分、いろいろな本を読むようになりました。お嬢さんにも、そういう方との出会いがきっとこれからあると思いますよ。

息子の中学校では毎月、読書感想文の宿題があります。
本は予め決められていて『少年H』(妹尾河童)、『蹴りたい背中』(綿矢りさ)、『蜜柑』(芥川龍之介)と、いろいろな本を半ば強制的に読まされています。
私が読んでいない本もあって、息子が読んだ後に私が読んで、何気なく感想を言い合ったりすることもあります。
今、息子の読書に関わりあうのは、せいぜいそれくらいという感じです。

『テス』を中1で読まれていたというのには、やはり感嘆!
私の中1・・・推理小説とSFと・・・『チボー家の人々』は途中で挫折したし・・・。トホホですわ。
by びっけ (2006-12-30 15:18) 

Cecilia

びっけさん、nice&コメントありがとうございます!
見てくださってうれしいです。

最近長女は漫画ではなく本をかなりたくさん読むようになりました。
「蹴りたい背中」や「蜜柑」ならともかく、かなりハードな感じのものも多いです。
ホラー系なども大好きなのですが、あまり勧めたくないようなものもあったりしますけれど、見極めが難しいのですね。
朝読書の時間がありますが、決めてもらうほうが良いかもしれません。
エ?と思うような内容のものを読んでいる子も多いと聞きます。
しかし、今はかなり読書にのめりこんでいて、国語力はアップしたので文句も言えないのですが、私の立ち入ることの出来ない世界にはまっているところもあり、時々心配になります。
「テス」は我ながら中学生向きではないと感じます。
「ジェーン・エア」も好きですが、これで中学時代感想文を書こうとして親からはかなり反対されました。
勧められたのは初潮を迎えた少女の手記!
こんなもので感想文書くほうが恥ずかしいですよね!
by Cecilia (2006-12-30 20:40) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。