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こころ(萩原朔太郎)とテルーの唄(ゲド戦記) [読書]

こころ

こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて

こころはまた夕闇の園生のふきあげ
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめども
かなしめどもあるかひなしや
ああ、このこころをばなににたとへん。

こころは二人の旅びと
されど道づれのたえて物言ふことなければ
わがこころはいつもかくさびしきなり。

                             萩原朔太郎


公開初日に「ゲド戦記」を観てきました。(こちらで「テルーの唄」と「こころ」の比較ができます。)

「テルーの唄」について先日書きましたが、何か聴き覚えがある歌詞だと思っていたら、萩原朔太郎の詩からインスピレーションを受けて作詞されたそうですね。しかも映画の内容よりも先に歌手が決まっていたようですし、彼女の声のイメージで作曲されたそうですね。宮崎吾郎さんはたった一晩で書き上げたそうな!

私は大学時代の卒論は萩原朔太郎でした。稚拙な論文だったので真にお恥ずかしいのですが、「詩と音楽」がテーマでした。

なので宮崎さんは朔太郎に関心があったのだろうかと気になって調べたら、どうも違うようです。

詳しくはインタビューをご覧下さい。

朔太郎は音楽を愛した人で、マンドリンを演奏しました。

慶応にもマンドリンをするために入ったということです。

自宅を開放してゴンドラ洋楽会というものを結成し、作曲もしたそうです。

しかし、彼は自分の詩に曲を付けられるのを好みませんでした。

彼の言う「詩の音楽」とは、例えば音楽家が違った調性(音)に違った感情を抱くように、詩人が言葉に対して持つ感覚のことでした。

彼の詩をご覧下さい。

音楽を付けなくても、声に出して読むときに語感の中に彼の淋しさを感じるはずです。

又、視覚的にもそれを感じるはずです。

今年は彼の生誕120周年だったのですね。

前橋文学館などでは記念の催しがあるようです。

 

 

 

 

 


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コメント 15

imari♪

ステキな詩ですね。
詩は思いを伝えたり言葉を遊んだり、詩と唄の関係はよく分かりませんが、以前、図書ボランティアの読み聞かせ講座で詩の読み聞かせを聞いたときに、詩は声に出して読むとまた感じるものが違うと言うことが分かりました。
いい詩には、メロディーをつけなくとも十分そのすばらしさを感じることができます。
あの歌は映画館での予告で、初めて聴きました。
娘はあのメロディーが頭についてしまったらしく、帰り道にさわりだけ歌っていましたが。
メロディーにインパクトありすぎなような気がします。
メロディーありの詩、詩ありのメロディー。
なんか、うまくいえませんが、お互い干渉あっての歌なのでしょうね。
by imari♪ (2006-07-31 08:54) 

Cecilia

伊万里さん、nice&コメントありがとうございます!
朔太郎のこの詩は比較的一般の人にも読みやすいですが、官能的なもの、病的なものも多いです。
しかし全体を貫いているのは「孤独感」ですね。
うちの長女は今椎名林檎にはまっているのですが、ああいう世界が好きなら朔太郎の病的な世界もきっと好きになるかもしれない、とこれをきっかけに朔太郎を読ませてみたいな、と考えています。

福音館の「おーい、ぽぽんた」は小学生の音読としてもいいですし、童話屋の「ポケット詩集」(三巻まで出ていたと思います。)にも茨木のり子、新川和江、谷川俊太郎・・・・の素晴らしい詩がたくさんあります。
是非図書ボで読んで欲しいですね。(「ポケット詩集」は中学生向けかも・・・。)
言葉を大切にする歌い手に出会うと感激します。
何度も書いているのですが、米良さんは何語で歌っても言葉がわかりやすいだけでなく、聴き手が知らない言葉にも感情を感じられるような歌い方をしてくれる方です。声がきれいなだけならファンにはならないのですが、それゆえに私は彼のファンです。
「テルーの唄」、詞もまあまあだと思いますが、やっぱりメロディー主体かな・・・?
そうです。
素晴らしい歌というものは、おっしゃるとおりメロディーありの詩、詩ありのメロディーなのだと思います。
by Cecilia (2006-07-31 09:34) 

nyankome

いつかblogに書こうと思っているのですが、私は谷川俊太郎の詩に武満徹が曲をつけた、武満ソングが好きです。
確かに詩には音楽性というか、リズムや色彩感がありますね。
マンドリンは、いろいろな文学者に愛されてきたのですね。
by nyankome (2006-07-31 10:47) 

Cecilia

nyankomeさん、nice&コメントありがとうございます!
谷川&武満といえば「死んだ男の残したものは」ですよね!
これも米良さんの「ヨイトマケの唄」のCDに載っているのですが、大好きです。
今でこそ詩人として評価されている朔太郎ですが、医者の家に生まれて、文学や音楽にうつつを抜かす出来の悪いボンボンだったようで・・・。妻にも逃げられ、かなり年をとってからも実の母からも子ども扱いされていたようです。
by Cecilia (2006-07-31 11:05) 

みどりのこびとちゃん

みどりのこびとちゃんです。
萩原朔太郎は、作曲もしていて、
最近、機織る乙女 と言う曲のマンドリンとギターの譜面もでています。
なぜか、この譜面を持っていて、弾いてみたこともあるのです。
短い曲で単純ですが、味はありますね。
by みどりのこびとちゃん (2006-07-31 22:32) 

Cecilia

「みどりのこびとちゃん」さん、コメントありがとうございます!
「機織る乙女」・・・ご存知だっただけでなく、譜面をお持ちということに驚いています!
やはり「みどりのこびとちゃん」さんは只者ではない・・・と感じています。
一体どこで入手されたのですか?
何かきっかけがあったのでしょうか?
マンドリンかギターをお弾きになるのでしょうか?
写真で譜面を見たことはあるのですが、どういう曲か演奏してみたいものだと思っていました。
by Cecilia (2006-08-01 00:43) 

violin-123

こんぱんは。
私はあまり詩は読んだ事がなかったのですが、朔太郎さんの読みやすいですね。(とりあえず理解できる!)「孤独感」のある話とか曲とか人間とか…魅かれます。何故でしょう???私って根暗なのでしょうか(笑)
それはそうと、「ゲド戦記」は如何でしたか。Cecilia様のご感想を伺いたいです♪
by violin-123 (2006-08-01 21:16) 

みどりのこびとちゃん

みどりのこびとちゃんです。
ははは、実は、・・・と言いたいとこなのですが、
だた単に音楽が好きな、アマチュア鑑賞家です。
しかし、あるアマチュアの音楽団体に入っていて、
その演奏会(東京)が11月にあります。
まあ、そのうちに、自分のブログで宣伝するのでお楽しみに。
機織る乙女は、最近、譜面で売り出されましたよ。
by みどりのこびとちゃん (2006-08-01 21:38) 

Cecilia

「みどりのこびとちゃん」さん、鑑賞するだけでなく演奏もなさるのですよね?
ピアノ、作曲(編曲?)、或いは指揮・・・??
演奏会の情報を早く知りたいです。東京が近くないので行けないのが残念ですが・・・。
「機織る乙女」・・・どこから出ているのでしょう?やはり生誕120周年だからでしょうか??
by Cecilia (2006-08-02 00:29) 

Cecilia

バヨリにすとさん、コメントありがとうございます!(順序が後になってしまいすみません。)
私も何か分析しろ、と言われたら無理なのですが・・・(国語の教師をしていたくせになんですが・・・卒論もやっと何とか・・・というレヴェルでしたし。)、でも朔太郎が大好きです。
長女が「腐女子」度数が上がっているのは気になりますが、サンラブさんやバヨリにすとさんのようになるのならいいや、と安心しています。
好きな色は黒だし、今暗いものに惹かれる年頃のようで、親としてはフクザツなのですが、私も「暗い感情」には惹かれます。
どうも「ネアカ」にはなれないようですし、人は誰しも孤独で「ネクラ」な部分があると思うのです。

「ゲド戦記」・・・かなり酷評されていますが、私はそうは思いません。
・・・というか原作を読まずに行き、全くの白紙状態で見ました。
原作が長いのに端折っているため、どうしても説明不足になるところは出てきますが、多少は仕方ないのでは?あれに「宮崎アニメ」を求めるのはおかしいと思いますね。
これから原作を読みますが、たぶん宮崎吾郎さんは原作を非常に愛していて、かなり誠実に作っていると思います。
主人公の父親殺しは原作にはないようですが、あの抑えることの出来ない「闇の部分」がある主人公を描く、ということは今の時代に合っているのではないでしょうか?
やはり爽やかな主人公だけでは「うそ臭く」なりますからね。
記事を書きたいのですが、今ちょっと反芻しているところです。
by Cecilia (2006-08-02 00:54) 

Cecilia

バヨリにすとさん、上の記事の朔太郎のリンクから萩原朔太郎研究所に行けます。そこで「月に吠える」「青猫」「蝶を夢む」などに収められた詩を読むことができますが、「あっ!」と驚くような官能的表現、怪しげな表現が多く、なかなか独特です。
by Cecilia (2006-08-02 00:57) 

violin-123

こんにちは。ゲド戦記の感想ありがとうございます。世間では酷評されているので、どうなのかな…と思っていたのですが、「闇の部分のある主人公」、良いですね!描きにくい人物を表現すると一般的でないので、酷評されてしまったのでしょうか…。
お勧め頂いた朔太郎さんの研究所へ行ってきました。
「月に吠える」は、地中から這い出たゾンビに足首を捕まれるような感じです。「青猫」等は読みやすかったです。「ぶむぶむ」は何を表現しているのでしょう??
朔太郎さんは、バラを口にくわえてレースのブラウスを着て熱い口説き文句を言う青年の日本人バージョンな方、と思ってしまいました。変なたとえでスミマセン。
by violin-123 (2006-08-02 18:09) 

みどりのこびとちゃん

機織る乙女 の楽譜は、現代ギター社から出ている
「マンドリンとギターのためのベストセレクション1」に入っています。
Amazonでも入手できますし、
現代ギター社もインターネット販売しています。
しかし、この他にも曲を作っているみたいですね
by みどりのこびとちゃん (2006-08-02 21:55) 

Cecilia

「みどりのこびとちゃん」さん、情報ありがとうございます!
文学関係ではなく、音楽関係から出ていたのですね。
それなりに評価されている、ということなのでしょうか?
朔太郎のマンドリンの先生も一流だったようですし、彼も指導していたらしいので、単に「好き」という域を超えていたのでしょうね。
by Cecilia (2006-08-03 06:39) 

Cecilia

バヨリにすとさん、再訪ありがとうございます!
(又順序を間違えてしまいました・・・。)
ソネブロだけでも随分いろいろな意見を見ましたが、ジブリの良さは小さな子供からお年寄りまで皆に受け入れられるところにある・・・ということを誰かが書いていました。
この作品ではそれは無理ですね。そもそも全ての年齢に受け入れられることを目的としていないのでは・・・と思うのです。
それから今回はマスコットキャラがありません。それでがっかりしている人も多いようです。
絵が荒いとかいう意見もありますが、そう思いますか?
しかし総じて原作には誠実に作っていると評価されていますね。長編なのでそれを短くする上で無理があった・・・ということでしょうか?
「指輪物語」みたいに三部作にすればよいのかも。
それにしても初めの部分での「父親殺し」・・・これはどうなのかな・・・と思います。(原作にはないらしい。)

バヨリにすとさんの朔太郎像・・・笑えます!!
by Cecilia (2006-08-03 06:50) 

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