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気になるヴィブラート(コロラトゥーラソプラノ) [声楽]

先日FMでスミ・ジョー(ヨー)のリサイタルを聴きました。(2007年春のリサイタルだと思います。曲目はこちら。)

以前も記事にしたことのある韓国のソプラノ歌手で、”夜の女王”などもやる大物コロラトゥーラソプラノです。

私も結構好きだったし、特に夫がとても楽しみにしていました。(わざわざ新しいCDラジカセを買ってエアチェックしたほどです。)

ところが・・・

聴いていて何だかしっくりこないのですね。

特にヘンデルなどは聴きたくない気がしました。

ヘンデルはNAXOS MUSIC LIBRARYなどで海外の優秀な古楽系歌手の歌で馴染んでしまっていて、普段でも普通のオペラ歌手の演奏では聴きたくなかったりします。

でもスミ・ジョーはそんなに悪くないと思っていたはずなのに・・・。

スミ・ジョー、声は出ています。

コロラトゥーラのテクニックにも陰りはありません。

それなのにどの曲を聴いてもこちらが入っていけない何かがありました。

私は”声の揺れ”が音楽性の邪魔をしているのでは・・・と思いました。

コロラトゥーラ・ソプラノ、私は好きか嫌いか両極端ということが多いです。

テクニックがすごい・・・というだけでは好きにはなれません。

どんなに高い声が出ても、どんなに細かい音符が歌えたとしても。

表現するのが難しいのですが、妙に甲高いだけの声の人っていますよね。

リリコの要素・・・というか、声に潤いがないとダメです。

今までのスミ・ジョーは好きなタイプのコロラトゥーラ・ソプラノでした。

ところが今回はそうではなかったのです。

私は他のことをしながら聴いていたのですが、どうも入っていけない・・・と思っていました。

でも私だけでなく夫も「全然よくない。」と言っていました。

夫は声楽の詳しいことはよくわからない人なのですが、ロックなどを聴くのと同じ感覚でクラシックを聴きます。

 

今回のスミ・ジョー、声が揺れまくっていました。

ほとんどに細かいヴィブラート(ゆるやかならわかる)がついていたのです。

ヴィブラートに関しては意見もいろいろありますが、オペラなんだし構わないではないか・・・とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうけれど、あまりにもついていたため歌詞がわかりにくかったのです。

スミ・ジョーが本来声量のある人なのかどうかわかりませんが、コロラトゥーラに向く人というのはドラマティックな声の出し方には向かないことが多いです。(滅多にいませんが両方を兼ね備えている人というのもいることは事実です。)

本来細い声であるコロラトゥーラソプラノの人がドラマティックな声を出そうと思うと細かいヴィブラートがついてしまうのでは、と思います。

ヴィブラートが悪い・・・というのではけしてないのですが、細かいヴィブラートがつくと上で書いたように歌詞がわかりにくくなり、それが気になって聴き手が歌の世界に入っていけません。

どんなに立派な声ですごいテクニックだったとしても、このことがとてもマイナスに働いてしまいます。

よってこのヴィブラートは”縮緬”ではないのかもしれませんが、”よいヴィブラート”とは言えません。

 

とてもがっくりです。

スミ・ジョーさん、初心に戻って~!

それとも普段はそうではないのでしょうか??


追記

検索すると、リサイタルに行った人の感想などが出てきますが、べた褒めしている記事がほとんどですし、この強いヴィブラートがいい・・・という人も!

人それぞれなのでしょうけれど、私は全然よくないと思います。

 

 

 


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すとん

 私はテノール命の人なので、ソプラノ歌手については、その動向について、あまり詳しく知らないのですが、スミ・ジョーに関しては、近年レパートリーを広げているという話を聴いた様な気がします。たしか、椿姫を歌うようになったとか…?
 たしかに同じコロラトゥーラ・ソプラノのグルベローヴァも椿姫を歌いますが、コロラトゥーラの人が椿姫を歌っても、声が消耗するだけで、良いことは一つもないと思います。だいたい椿姫って、たしかに第1幕はコロラトゥーラのテクニックが必要だけれど、第2幕以降は、むしろ強い声が要求される役だったと思います。スミ・ジョーには声が合わないと思います。
 しかしプロの歌手の皆さんは、マネージャーの要請でしょうか、レパートリーを広げてゆく傾向があります。そのため、本来の自分の声に合わない曲を歌うようになり、自分の声に合わない曲を歌い続けていくと、声があっという間に消耗してしまい、今まで歌えていた歌まで歌えなくなってしまうようになるようです。テノールの場合は、一流のプロであっても、声に合わない後期のヴェルディやプッチーニを歌って、あっと言う間に声を消耗してしまった歌手が、掃いて捨てるほどいます。
 スミ・ジョーもそんな感じなのではないでしょうか? 先日、テレビ出演していたスミ・ジョーを見て「声が太くなったんじゃないの、この人」って思いましたもの、私。
by すとん (2008-02-18 19:13) 

nyankome

それは残念でしたね。
私は「バロックの旅」を聴いてよいな、と思ったので余計残念です。
チューナーを手放したのでFMを聴けないのですが、聴いていたら私もショックを受けていたかも知れませんね。
by nyankome (2008-02-18 20:01) 

しょう

はじめまして。

「狩人アレン」を検索していたら
ここにたどり着きました。

もう既にご存知かとも思いましたが、
ようつべに原語?バージョンがあったので
貼っておきます。

http://jp.youtube.com/watch?v=n7cKp9bRqfw http://jp.youtube.com/watch?v=ymqn5emcipY
by しょう (2008-02-19 00:51) 

Cecilia

すとんさん、コメントありがとうございます!
「椿姫」はプログラムの中でも歌っていますね。
この話だと以前「禁止される・・・ということ」で話題にしました内容が絡んできますが・・・。
コメントいただいていますが一応リンクを張っておきます。
http://blog.so-net.ne.jp/santa-cecilia/2007-09-29-1
まあアリアだけ歌う、というのと全幕通して歌う、というのでは訳が違いますからね~。
ちなみに私は「椿姫」のアリアは"Addio~"しかやっていません。
「花から花へ」は高音がきついのでできませんでした。
以前森麻季さんの「花から花へ」をラジオで偶然聴いて、「一体誰の声だろう!?」とハッとさせられました。
全く無理のないテクニック、そして音楽性・・・に驚嘆しました。
後で森さんと知って納得。
そのだいぶ前にニューイヤーオペラコンサートで実力を知っていましたので。
時々声のタイプもわからなくなります。
成長(成熟)と共に変わるものですしね~。
ちなみにマリア・ユーイングは私はケルビーノで知ったため、軽い声のメゾ・・・というイメージだったのですが(これは相当若い時のですよね。)、サロメやカルメンをやっているところを見るとかなりドラマティックな声の人なんですよね。
パヴァロッティはそこのところ、とても慎重にレパートリーを増やした人のようで正解だったのでしょうね。
私もプッチーニを歌いたくて仕方がなかった頃、どの先生のところでも黙っているとアリアではモーツァルト、歌曲ではシューベルト・・・が続いた時期があります。
それでも希望を出してプッチーニを歌わせていただきましたが・・・。
役柄にふさわしい声ではないのでしょうけれど、レッスンとしてやる、ということもよくあることですよね。
蝶々夫人もアリアだけならできる人は多いのでしょうけれど、ドラマティックソプラノでもリリコ・スピントでも全幕通して歌える人はあまりいないのではないでしょうか?
あと驚いたのは、私の大好きなバーバラ・ヘンドリックスがCDでカルメンを歌っていることです!(オフィシャル・サイトから試聴しただけですが。)
彼女はミカエラに合うタイプのソプラノなのですが・・・確かに繊細な中にもリヒャルト・シュトラウスなども歌えるドラマティックな要素もある声ですが、彼女はソプラノでリリコでしょうね。(リリコ・レジェーロ?)
本当に歌えて、わきまえている人なら、(アリアとして歌う分には)何を歌ってもいいんだな~と思いました。
それにしても彼女がカルメン・・・。
でも上で書いたマリア・ユーイングもソプラノの役どころからアルトの役どころまでこなしているし、音域が何とかなれば別にソプラノ、メゾ、アルトにこだわる必要はないのですね。
むしろレジェーロとかリリコ、ドラマティコ・・・そこに気をつけるべきなのでしょうね。
とりとめもなくなりました・・・。
by Cecilia (2008-02-19 09:04) 

Cecilia

nyankomeさん、nice&コメントありがとうございます!
期待感が大きかっただけにかなりショックでした。
でもけして歌えてないわけでも、力が落ちたわけでもないのですね。
うちの夫は「手を抜いているんじゃないか。」と言っていましたが。
ヴィブラートがなければよいのではと思うのですが、どうしてあのような歌い方になってしまったのでしょうね。
やはりドラマティックな声を出そうと思うあまり・・・なのでしょうか?
昨日調べたところ、本来ソプラノ(特に高音を歌うコロラトゥーラソプラノ)は言葉が聴き取りにくい・・・ということが科学的に証明されているようなのですが、ただでさえ聴き取りにくいのですからオペラ歌手たるものは少しでも言葉を聴き取りやすくする使命があるのでは・・・と思うのです。
そのためには言葉を聴き取りにくくする強いヴィブラートは害にしかなりません。
オペラなどのソロ、オペラ合唱・・・ノン・ヴィブラートとまでいかなくても、もう少しヴィブラートに敏感になるべきでは・・・と思います。
昨日、スミ・ジョーの以前の録音を聴いてみましたが、全然ヴィブラートが気になりませんでした。
by Cecilia (2008-02-19 09:23) 

Cecilia

しょうさん、はじめまして。
コメントありがとうございます!
YouTube、拝見させていただきました。
あの記事を書いた時点ではYouTubeで検索しようということを思いつきませんでした。
ますますこの曲を合唱で歌いたくなりました~。
過去記事はご覧いただいているのでしょうけれど、念のため貼り付けておきますね。(楽譜が見れるので)
http://blog.so-net.ne.jp/santa-cecilia/2007-09-11
by Cecilia (2008-02-19 09:30) 

みど

昔はよかったんですけどねーーーーー。。
もうお年だし。。。って言ってみたり。。あはははははは。。。
by みど (2008-02-19 21:17) 

Cecilia

みどさん、nice&コメントありがとうございます!
もうお年・・・って・・・。(苦笑)
おいくつでしたっけね~?
まだまだこれからの人ですよね~!?
そんなこと言わないで~!!
by Cecilia (2008-02-20 10:19) 

Cecilia

アートフル ドジャーさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2008-02-23 10:45) 

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