「天使の声・生きながら生まれ変わる」 [読書]
12月のリサイタルの時に予告を聞いて以来楽しみにしていた米良さんの本、ようやく手に入りました。
米良さんは以前も自伝的な本を出していますが、全く趣が異なります。
下のほうの本は米良さんが絶頂期に出版されたものでCDブックになっています。
正直・・・CDは米良さんの他のCDに入っているし、内容は良いのですが、写真が・・・。
この頃の米良さんのメイクは、「かれん」(CD)の写真と同じで怪しげと言うか、あまり好きではありませんが・・・。
今回出された本(上のほう)はかなり長編で、今まで語られることのなかった養護学校時代のことや、ご両親の職業のことなど、”負”の部分が多く書かれています。
たぶん、TVなどでもいくらか語っていらっしゃると思うのですが、米良さんの不遇な子供時代、脚光を浴びる立場から一転して長いスランプに陥った苦しい時期のことが、「ここまで・・・!」と思うほど、冷静に語られています。
先日このブログでご紹介したグルベローヴァとの共演の時の苦しい状況も。
私も米良さんのリサイタルには数回行っていますが、どの回も祈るような気持ちで聴いていました。(初めて行った時はうれしいだけでしたが・・・)
きっと歌っている米良さんは、想像している以上に苦しい思いで舞台に立たれていたのだろうなあ・・・とあらためて思いました。
何度も書いていますが、私が楽しみにして行ったライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団&聖トーマス教会合唱団の「マタイ受難曲」・・・ソロの米良さんが出られなくなったのは本当にショックでした。
米良さんはその頃、ヨーロッパでもガーディナーなどと共演する予定がありましたが、どれもこれも降板しなければならなかったのですね。
絶頂期の直後だっただけにどんなに苦しかったか。
ご本人の文章では自分がいかに傲慢だったか書かれていますが、子供時代の苦しみを経てこれから・・・という状況でしたから、神様はこれほどの苦難をどうして与えるのか・・・という気持ちになりました。
いろいろな試練を経た米良さんはきっと今も生きる苦しみの中にいらっしゃるのでしょうけれど、それらを受け止めて自然体でいらっしゃると思います。
後書きに「うぐひす」のことが書かれていたので、聴いてみました。
Nightingale: Japanese Art Songs
- アーティスト: Sadao Bekku, Ikuma Dan, Shiro Fukai, Fumio Hayasaka, Hikaru Hayashi, Yoshinao Nakada, Kosaku Yamada, Yoshikazu Mera, Gunilla von Bahr, Kikuko Ogura
- 出版社/メーカー: BIS
- 発売日: 2000/08/07
- メディア: CD
全曲試聴できます。
すでに何度も載せているのですが・・・。(過去記事です。「うぐひす」「曼珠沙華」・・・他にも何度か取り上げましたが省略♪)
米良さんのCDの中でも最も・・・と言ってよいほど気に入っています。
英語の題名の通り、かなり芸術性の高い日本歌曲です。
米良さんが馴染んできた詩吟や民謡のテイストも入った独特の歌い方。
このCDで團伊玖磨の「さより」(Saury fish)を知り、よくうちの娘達と歌いました。
何度聴いても日本歌曲の素晴らしさを感じさせてもらえます。
誰が何と言おうと、私は絶頂期の米良さんも、スランプ期の米良さんも、今の米良さんも好きです!
そしてカウンターテナーの歌い方でクラシックのほうがどちらかというと好きですが、地声のような歌い方でも好きなのです。
米良さんの音楽が好きなのでしょうね。
もうちょっとでファンになってから10年になります。
Krauseさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2007-07-25 08:43)
米良さんの私的な部分についてはほとんど知りませんが、子ども時代から順風満帆な人生を歩んだ方ではないのですね・・ 表現の陰影が、優等生的な歌唱ではないところなど、やはりという感じで、納得です。
by euridice (2007-07-25 17:29)
米良さんのデビュー・アルバム『アリアンナの嘆き』、愛聴しています。
人生ままならないことが多いですが、困難を乗り越えなければ成功はないですよね。成功したからといって、新たな困難がやってこあにとも限りません。
米良さんには、ずっと頑張って歌い続けて欲しいですね。
by nyankome (2007-07-25 20:15)
xml_xslさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2007-07-26 11:05)
euridiceさん、コメントありがとうございます!
バッハやヘンデルも素晴らしいですが、日本歌曲やクルト・ワイルの曲で感じる表現の陰影・・・凄まじいものがありますよね。
この本の中で「人間の暗い面や負の部分を見抜き、理解する点では誰にも負けない。」と語っていらっしゃいます。
「いじめ」に対しても、いじめられた経験から独特の考えを展開していらっしゃいますが、私は非常に共感しています。(いじめはなくならない・・・という視点から。)
by Cecilia (2007-07-26 11:11)
nyankomeさん、nice&コメントありがとうございます!
米良さんのデビューアルバム、夢が詰まっているのだと思います。
その頃はあまり忙しくなかったし。
米良さんをずっと応援していきたいと思っています。
愛聴してくださってありがとうございます。
by Cecilia (2007-07-26 11:16)
けさのテレビ『波乱万丈』で初めて、米良さんのを拝見しました。チラッと名前を見て、Ceciliaさんがいつも取り上げている人に名前が似ているなぁと思ったからです。今まで、米長良一さんだと思っていました。メラ・ヨシカズさんと読むのですね。熊本弁の様なしゃべりかたで、とても面白かったです。
(もののけ姫の歌はおばさんが歌っていると思っていました。)
それと、洗足学園大学と知って、驚きました。
by 降龍十八章 (2007-11-04 13:37)
降龍十八掌さん、nice&コメントありがとうございます!
ああ・・・『波乱万丈』、そういえばあるって知っていたのに~。(いろいろあって忘れていました。残念。)
米良さんはリサイタルではその土地の方言でトークされることもあるんですよ。
歌の才能はもちろん、話がおもしろく話題も豊富・・・という才能もお持ちだと思います。
声も顔も男性離れしたところがあり、心無いことを言う人もいますが、「男なのに女みたい」・・・というのは又ちょっと違うのですね。
高い声でも女性の声とは違うし、米良さんは非常に男性的な声も出せるのです。
彼は芸大を目指していたそうです。
洗足学園ではトップだったそうですよ。(ご近所?の大学ですね。)
by Cecilia (2007-11-05 10:53)
ええ、松田聖子の歌を裏声で歌っているうちに、裏声をマスターしたと言っていました。
洗足は中学受験で名前を知っているだけです。変わった名前なので、なにか言われがあるかもしれませんね。
by 降龍十八章 (2007-11-05 13:58)
降龍十八掌さん、再コメントありがとうございます!
洗足ですが、名前からキリスト教系かと思っていました。(イエスが弟子の足を洗う・・・という話がありますよね。)
しかしそこのところよくわかりません。
そうそう・・・私がブログで交流させていただいているネコタマメイさん(チェンバロ奏者)は米良さんとCDで共演されている上、卒業生ですよ。
http://blog.so-net.ne.jp/santa-cecilia/2006-09-14
このことは偶然知ったのですが、びっくりでした。
by Cecilia (2007-11-05 14:12)
こんにちは。
すみません!こちらにコメントする前に自分のブログにこちらの記事のURLをリンクさせてしまいました。
そうそう!ほんとに!と思えることばかりで・・感想を書こうとするととても長くなりそうでしたので・・・私のブログの皆さんにも是非お伝えしたかったものですから。
この本をもう一度読み返してみようかな?と思っています。
by norip (2009-08-06 15:53)
noripさん、コメントありがとうございます!
事後報告でも全然気にしません。
私のブログに限っては報告なしで一向に構いません。
私もこの2冊をじっくり読み返したいです。
実は「天使の声・・・」のほう、ある方が古本屋さんでサイン入りを買ったとおっしゃっていました。
もう読んだので譲ろうかとおっしゃっていましたが、サインはいくつかのCDに書いていただいたし、本も持っているので、「持っていてください。」といいました。
こうしてブログでいろいろ書いていると、私の記事に関心を持ってくださっている方には「Ceciliaさんが好きな米良さん・・・」と関心を持っていただけるようです。(笑)
noripさんの記事とコメント欄で皆様の米良さんへの想いがびんびん伝わってきました。
by Cecilia (2009-08-07 06:50)