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アリスの服が着たい [読書]

アリスの服が着たい―ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生

アリスの服が着たい―ヴィクトリア朝児童文学と子供服の誕生

  • 作者: 坂井 妙子
  • 出版社/メーカー: 勁草書房
  • 発売日: 2007/07/27
  • メディア: 単行本

Amazonで注文していた本が届きました。

ちょっと前に朝日新聞の書評欄に載っていて、非常に興味のあるテーマだったのですぐに注文してしまいました。(他に一緒に頼んでいたものがあったせいか届くのに日数がかかりました。)

この本に惹かれた理由としては、ヴィクトリア朝のファッションに興味があった・・・というのはもちろんなのですが、うちの長女が大好きな(いわゆる)”ゴスロリ服”のブランドでヴィクトリア朝ファッションをコンセプトにしているところが結構多く、しかも「不思議の国のアリス」の服装など(アリスのファッション、トランプ模様、王冠、帽子屋、白うさぎ、ティーカップ・・・など。)がデザイン化されていることが多いことに興味があった・・・というのがあります。。

長女もアリスが好きでよく読んでいるのですが、テニエルの挿絵をこよなく愛しています。

鏡の国のアリス (講談社 青い鳥文庫)

鏡の国のアリス (講談社 青い鳥文庫)

  • 作者: ルイス=キャロル, 高杉 一郎, ジョン・テニエル, Lewis Carroll, John Tenniel
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1994/04
  • メディア: 新書

ふしぎの国のアリス (講談社 青い鳥文庫)

ふしぎの国のアリス (講談社 青い鳥文庫)

  • 作者: J. テニエル, ルイス キャロル
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1986/08
  • メディア: 新書

うちには今これしかないのですが、いずれ豪華愛蔵版もほしいと思っています。

私もですが長女もディズニーのアリスが好きではありません。

同じく青いワンピースに白いエプロン・・・なのですが、ディズニー映画の陰りのない明るい雰囲気はこのテニエルの挿絵の持つ雰囲気とはかなり違いますよね。

ロリータ服ブランドでアリスがデザイン化されているのもこのテニエルの挿絵の雰囲気が受けているからでしょう。

ついでに言うと「ロリータ」ではなく「ロリヰタ」とか「ロリィタ」と書くことで区別しないと、このファッションの愛好家たちに叱られます。

「ロリータ」というと男性が好むいかがわしさがつきまといますが、「ロリヰ(ィ)タ」服の真の愛好家たちは男性好みではなく、どちらかと言えば男性が引いてしまうタイプのファッションではないかと思います。

「ロリータ」と言えばメイド服、メイド服と言えば”萌え”・・・これと混同してほしくない・・・と長女は言います。

以前も書きましたが、私は以前はロリヰタ服と言えば「ゴスロリ」しか知りませんでしたが、パステルカラーを基調とした甘ロリ、ヴィクトリアンファッションを基調としたクラロリ(クラシックなファッション)・・・などいろいろあるのですね。

うちの長女は”ギャル系”ファッションが大嫌いなのですが、”ギャル系”が露出度が高いのに比べ”ロリヰタ”は露出度が極端に少ないのです。

例えば日に焼けるのを嫌ってフリフリのパラソルをさすし、頭には大きなヘッドドレス(リボンなどもありますが、ヴィクトリア朝みたいなボンネットもある!)。

フリルの多いワンピースは露出度が少ない上、”真のロリヰタ”達はパニエドロワーズを穿くのが基本のようです。

そして靴下はロングソックスで、ワンストラップシューズや厚底靴を履いたりします。

 

うちの長女はアリスのような横じまのロングソックスにワンストラップシューズなどを合わせるのですが、私の感覚ではその合わせ方は不思議で仕方がありませんでした。

しかし、テニエルの絵のアリスはそういうファッションなのですね。

一番上に載せた「アリスの服が着たい」でもそれが出版された当時いかに流行っていたかということが書かれていましたが、その頃少女だったビアトリクス・ポター(「ピーターラビット」の作者ですね。)も同じようなファッションをしている写真が載っていて興味深かったです。(「ミス・ポター」の話題でビクトリア朝ファッションが楽しめると書きましたが本当にそうですね。)

この「アリスの服が着たい」では「不思議の国のアリス」などの児童文学によって子供服というジャンルが誕生し、どのように発達していったかがたくさんの資料をもとに書かれていてとてもおもしろいです。

登場するのは「不思議の国のアリス」、ケイト・グリーナウェイの絵本、ハバードおばさん、「小公子」、セーラー服・・・です。

そのどれもが興味深いのですが、特に「小公子」の”フォントルロイスーツ”ですね!

小公子 (偕成社文庫)

小公子 (偕成社文庫)

  • 作者: 坂崎 麻子, フランシス・ホジソン バーネット, Frances Hodgson Burnett
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 1987/09
  • メディア: 単行本

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この表紙のセドリックが着ているのが”フォントルロイスーツ”と言うそうなのですが、私が子供の頃に読んだ「小公子」はどこの本でもこの服になっていました。(こちらのサイトで昔の挿絵の変遷がわかります。)

フォントルロイというのはイギリスのドリンコート伯爵家に引き取られたセドリックに付けられた名前(フォントルロイ卿)ですね。

”フォントルロイスーツ”の大きなレースの襟と袖口、濃いブルー、7分丈(?)のパンツ、サッシュ・・・そしてセドリックの長い金髪の巻き毛に青い目・・・これらに非常に憧れました!!

男の子が生まれたら着せたい・・・とか思ったりもしましたが(苦笑)、この服が流行った当時の男の子たちにはいやいや着せられていて良い思い出がないようですね~。

 

娘達が幼い頃はフェリシモで売られていた「不思議の国のアリス」をコンセプトとしたエプロン付きワンピースをよく着せていたものですが・・・。

日本語のアリス本では言葉遊びの感覚が分かりにくい・・・と言うので、この前解説付き洋書まで買ってしまいましたが、親子ではまりそうです。

”アリス”が好きな長女ですが、次女はセーラー服好きです。

「アリスの服が着たい」ではセーラー服に関しても詳しく書かれていますが、支持されなかった”フォントルロイスーツ”に対してこちらは身分を問わず多くの人々に支持されたファッション。

でも最近はセーラー服の制服も減っているし、”ゴスロリ”ブランドのお店でないと見かけないほどなんですよね。(”ゴスロリ”ブランドのお店にはたくさんある!)

ちなみに検索して探そうと思ったらいわゆる”コスプレ用”ばかり出てきました。

”ゴスロリ”ブランドのお店では品の良い可愛いセーラー服が多いです。

”コスプレ用”を作っているメーカーは学校用も作っているようですが・・・。(とても複雑な気分になりました。)

それにしても従来の日本の制服のセーラー服・・・どこか欧米のセーラー服と違うんですよね!

どこが・・・と言われると困りますが、おしゃれ度が違う気がします。


追記

ケイト・グリーナウェイについては以前も書きました

私が小学生の頃、絵が森永チョコレートのパッケージに使われていたことがあるのですよね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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コメント 17

かあか

実はわたし、スクエアーなヨークのワンピとかチュニックが大好きなんです!大人になってでも着たい!と普段着によくさがして着ています。
可愛いですもの~!それとメタボなお腹も隠れちゃうから~^^;
by かあか (2007-10-03 14:36) 

Cecilia

かあかさん、nice&コメントありがとうございます!
私もメタボなお腹を隠したいですよ~!
それなのに・・・気になるデザインは細身の人が似合いそうなものばかり!
本気でダイエットしなければ・・・と思っています。

そうそう・・・この前言っていたのは「レコーディング・ダイエット」でした。
by Cecilia (2007-10-03 17:01) 

nyankome

>”コスプレ用”を作っているメーカーは学校用も作っているようです
そうなんですか!
勤務先も夏はセーラーです。最近変えたのですが、伝統の夏のセーラーは少しデザインを変えて残りました。
こどもたちの評判はイマイチですが…。
私の出身地では、中学校と伝統校の高校はセーラーでした。(多分今も。)
by nyankome (2007-10-03 21:18) 

Cecilia

2ndLTさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2007-10-04 08:08) 

Cecilia

xml_xslさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2007-10-04 08:08) 

Cecilia

nyankomeさん、nice&コメントありがとうございます!
全てのメーカーではないですが、そうらしいですよ。
私の中学は最も基本的なセーラー服でした。
紺に白線が3本、赤いスカーフで。
あまりにも基本的すぎて嫌でしたが、うちの娘達はそれがいい・・・と言います。
そしてうちの次女が私服で購入するセーラー服の基準は”限りなく制服(の雰囲気)に近い”ものです。
うちの中学、ジャージで登校・・・なのですが、あまり使われない制服がもったいない・・・と思っていたら、次女は(セーラー服に合わせて)スカートを、長女はカッターシャツを私服と合わせて着るのです。
そういう発想は私にはありませんでしたね~。
by Cecilia (2007-10-04 08:16) 

Cecilia

Krauseさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2007-10-04 08:17) 

スザンナ

なるほど~、夏に下妻を回られたのは、あの映画のファッションからでしたか~!!
アリスの原作者、チャールズ・ドドゥソンはオックスフォードのクライスト・チャーチ出身でした。クライスト・チャーチのすぐ近くには アリスショップ もありましたが、観光客ばかり(特に日本人^^;)で、イギリス人はあまり感心がないように見えました。
イギリスの若い人たちは、ジャージにスウェットという、がっかりするような格好で街の中を歩いていましたよ。
きちんとした服装を着ているのはお年寄りばかりです。
by スザンナ (2007-10-04 22:47) 

Cecilia

スザンナさん、nice&コメントありがとうございます!
そうなんですよ~。
姉と義兄が凝りまくって写真集まで作ってしまったんですよ!
(ちゃんと製本されている!)
アリスの原作者・・・ルイス・キャロルではないのでしょうか?
そのチャールズ・ドドゥソン・・・どこかで名前が出てきたような・・・。

ジャージにスウェット・・・がっくりですね~。
でも娘もいつもロリータの服だと疲れるそうで、楽なファッションばかりしています。(パニエを穿いていたら車で座りにくいし、しわも気になるし・・・、ヘッドドレスの大きなリボンは頭が疲れるそうで。)
HP見るとコートが又可愛いのばかりなんですよ~。
絵本に出てきそうなものばかり!
by Cecilia (2007-10-05 23:39) 

Papalin

中世~ルネサンス~バロックの宮廷音楽家の衣装を何とかゲットしたいなと思っているPapalinです。あれを着て演奏してみたい!まがいもんじゃなくて、本物を。どうしたら手に入れられるか、ご存じないですか?
by Papalin (2007-10-06 08:34) 

Cecilia

Papalinさん、nice&コメントありがとうございます!
どうしたらよいのでしょうね~?
オペラとかバレエで使ったものを安く払い下げ・・・なんてあるかもしれませんね。
でも器用なPapalinさんですから、いっそのこと絵画を元に手作りするとか・・・!
いや、マジで絶対できるのでは・・・と思っています。
by Cecilia (2007-10-06 12:13) 

びっけ

こんばんわ。
読みごたえのある記事で、なるほど、ふむふむ、と大いに勉強になりました。ありがとうございます。
制服のセーラー服は‘憧れ’でした!
とうとう、一度も着ないまま(小学校・高校・大学は私服、中学はブレザータイプの制服)で、ここまできてしまったのが残念。

小公子のセドリック!
本を読んでいると、上質のベルベットの感触も伝わってくるようで、大好きな服でした。
さすがに息子には着せませんでしたが・・・。
黒髪に一重のアーモンド・アイですから・・・。(^^;
by びっけ (2007-10-07 22:52) 

Cecilia

びっけさん、nice&コメントありがとうございます!
お褒めいただき、ありがとうございます!
・・・というかこの本が読み応えがあって面白いのですよ!
同じ坂本さんの本に洋服を着た動物の絵本に関しての研究もあって、それも読みたいと思っています。

黒髪に一重のアーモンドアイ・・・の息子さんには「千と千尋の神隠し」のハクみたいな格好はいかがでしょうか?

夫は中高も私服でしたので学生時代は制服を着たことがない人です。
by Cecilia (2007-10-08 01:47) 

降龍十八掌

アリスって言葉遊びが多いのですか?
そういえば、中1の英語教科書の最後に、アリスの話があります。ハンプティダンプティってのは、ズングリムックリのことだと聞きました。

フォンテルロイスーツ、私も着たことはありません。ただ、やはり、半ズボンに背広みたいな正装じみた服は大嫌いでした。
by 降龍十八掌 (2008-03-30 13:48) 

Cecilia

降龍十八掌さん、nice&コメントありがとうございます!
ピーターラビットシリーズを読むとイギリスのわらべ歌(マザーグースの歌)やなぞがいろいろ出てくるのですけれど、英文学を理解するためにはこれらを知る必要があります。
私は中1の時、基礎英語で聴いて覚えたことが後々とても役に立っていると思っています。

いくらなんでもフォントルロイスーツは日本で着たことのある人はいないでしょう。(笑)
この服が流行った当時も男の子には不評だったようですしね。
by Cecilia (2008-03-30 17:57) 

morichanの父

情報ありがとうございます。amazonのページに並んでいる大人の服の洋書も一緒に読んでみたいと思いました。
by morichanの父 (2009-10-15 15:24) 

Cecilia

morichanの父さん、nice&コメントありがとうございます!

>amazonのページに並んでいる大人の服の洋書

ヴィクトリア朝の服か何かですね?(見てないのでわかりませんが。)
こういう本は英語がわからなくても見ているだけで楽しめそうです。
by Cecilia (2009-10-16 08:34) 

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