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自然な歌声は参考にならない? [声楽]

Handelの"Semele"とか"Giulio Cesare"(ジュリアス・シーザー)を最初に知ったのはKathleen Battleのテープだったと思います。
これを買ったときは大学を卒業して仕事を始めて一人暮らしを始めたばかりの頃です。
CDプレイヤーがなかったのでテープを買うしかなかった頃ですね。
別にKathleen Battleが一番と思っていたわけではないと思いますが(当時はMirella Freniが好きでした。)、その名前だけで買う気になる歌手でした。
Kathleen Battleと言えば"Ombra mai fu"。
このCDは今もよく売られていますが、"Semele"や"Giulio Cesare"のアリアが入ったCDは今は売られてないのでしょうか。
Amazonで検索したけれど出てきませんでした。
収録曲は

"O sleep,why dost thou leave me"(Semele)
"Where'er you walk"(Semele)
"Care selve"(Atalanta)
"Piangero la sorta mia"(Giulio Cesare)

の4曲だったと記憶しています。(・・・というのは人に貸したまま戻ってこないので。でもその4曲のはずです。)
"Oh,had I Jubal's lyre"(Joshua)も印象深いですがこれは別のCDで聴いたのだと思います。
これらの曲を歌いたくなって輸入楽譜を初めて購入した私です。
そう考えるとKathleen Battleの功績は大きいです。
他にもいくつかCDを持っていますし、何度も聴いているのですが、最近はご無沙汰でしょうか。
Handelの素晴らしいアリア集はいまや非常に多いので、わざわざBattleを聴かなくても・・・というところがあります。
CDを買う余裕はあまりないのですが、ありがたいことにNMLがありますので・・・。

Battleも最近は以前ほど活動していないのかもしれませんが、軽やかで清楚な歌声はたぶん健在なのだと思います。
いつも彼女の歌について思いますが、たぶん生まれ持った声がとても恵まれていて声楽レッスンで努力する必要がなかったのではないのだろうか・・・という気がします。
私たちが必死にやっていることが(あちこち引っ張ったりとか・・・)まったく見えない歌声です。
いや、見えないからすごいのかもしれませんが、実はたゆまぬ努力をして得られた声・・・というわけではなくて、もともとの声で歌えているのではないのだろうかと想像します。
それが悪いというわけでもありません。
うらやましい話です。
それからもちろんこれは”声”限定の話で、それ以外の部分ではきっととても研究しているのだと思います。

それからBattleの歌声というのはちょっと聴いただけで彼女の声とわかるほど個性的ですよね。
海外の歌手には個性的な声の人が多いような気がします。
日本人歌手(演歌とかポップスではなくいわゆる”声楽家”)は昔に比べたら技術的にとても進歩していると思うのですが、皆同じように聴こえます。
ソプラノで言うと軽いとか重いとかの違いはもちろんあるのですが、重い人はそう多くなくてほとんどが軽いソプラノなのですが、誰が歌っても同じように聴こえる気がします。
極端な言い方かもしれませんが。
もちろん日本人らしい声のソプラノと言う点は良いと思うのですが・・・。

まあこれが正しい見方なのかどうかは置いておいて、私は常日頃そういう風に感じてしまうという話です。
だからと言って”個性的な声”を出すための努力をしなければならないという話ではありません。
”個性”というのはおのずから出てくるものだと思うし、声に限らず世の中「個性、個性・・・」ってうるさいですよね!
”自分らしさ”を出すのも大切ですが、あまりにもそれを前面に出されると疲れてしまうと言うか何と言うか・・・。

Battleの話に戻りますが、音源をあまり持っていなかった頃、Battleの歌声を参考に歌っていた時期があります。
でも真似もできないし、参考にならないのです!
歌い方はともかく、声の出し方はまったく参考になりませんよね!?
そこいくとあの頃大好きだったFreniの声のほうが真似しやすいし(自分の中では)参考になりました。

自然な発声で素直に歌っている歌手の声は聴いていて素敵なのですが、”声を作って”いる私たちにはあまり参考にならないかも??
(Freniの声も自然だし、きっと本人はそんなに努力して声作りしていなかったと思うのですが。)



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すとん

 私はソプラノではないので、ソプラノ歌手の発声について、考えたことはありませんでした。

 フレーニはパパロッティと同じ先生(アリゴ・ボーラ)の元で、同じ頃に、お互い励まし合って練習したそうですよ。同じように努力していたのに、先に認められたのがフレーニの方で、パパロッティはなかなか芽が出なくてつらかったそうです。

 このアリゴ・ポーラは後に日本(国立音大だっけ?)にやってきて、多くの日本人歌手を育てています。私の大先生の先生がポーラなくらいですから(笑)。なので、ポーラの教えた発声方法って、広く日本人に伝わっていると思います。だから、フレーニの歌い方って、マネしやすいし、参考にしやすいのだと思います。

 一方、バトルは…かなり個性的な歌い方をしているそうで、倍音唱法と言ったかな? ファルセットを極限までパワーアップしたような、通常ではダメ出しされかねない発声方法なんだそうです。なので、彼女の歌は、まさにワン・アンド・オンリーなのど、マネはできないと思いますよ。


by すとん (2010-07-14 15:28) 

シズコ

>”個性”というのはおのずから出てくるものだと思うし・・・・
”自分らしさ”を出すのも大切ですが、あまりにもそれを前面に出されると疲れてしまうと言うか何と言うか・・・。

Ceciliaさん、こんにちは。
大変興味深く読ませていただきました。私は素人合唱団なのでよくはわかりませんが、学生時代の練習を省み感じるのは、仰るとおり「個性」や「良さ」は何十回もの練習を重ねる。または何回も良い演奏を聴く、などして自ずから生まれてくる。そんな気がしてなりません。
個性と言うのはある意味、怖い言葉だと思います。芸術において、それが強く出てくると、反対に嫌悪感を引き出す恐れもあると思うからです。
昨日BShiのプレミアム8の「カラヤン」の出だしをちょっと見て、そう思いました。私はカラヤンも実は名前と有名な指揮者だ、くらいしか知らないのですが、あまり良い印象が無いのです。
大変大雑把な言い方をお許し願えば、「個性」は「好み」の問題になってしまうのかもしれませんね。
by シズコ (2010-07-14 16:32) 

Cecilia

すとんさん、コメントありがとうございます!
パヴァロッティとフレーニが幼馴染で同じ先生についていたというのは知っていました。
その先生は日本に来て指導していたのですね~。
知りませんでした。
私が最初についた先生は国立なのでもしかしたら少しは影響があるのかもしれません。
なお私は昔パヴァロッティのCDをかけまくって結構歌い方を真似していた時期があります。
フレーニは大学時代、サントリーホールでのリサイタルに行ってお花を渡したこともあります。
学生の癖に1万5千円の席でした。
握手しましたがフレーニの手はとても柔らかかったです。

倍音唱法、初めて聞きます。






by Cecilia (2010-07-14 17:51) 

Cecilia

シズコさん、コメントありがとうございます!
自分でもまとまらない考えをなんとなく書いてしまったのですが、そういえば娘たちが小学生の頃100マス計算関連で読んだ岸本裕史さんの本に、あるピアニストの言葉がありました。
「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」を暗闇で弾けるくらいにならないと個性というものは出てこないという話だったと記憶しています。
それまでのものはただ未熟なだけである・・・とおっしゃっていたように思います。
ピアノコンクールなどでも何とかして情感を込めているように見せるために必死な演奏が多いのですが、それってどうなのだろうかといつも思っています。
自分なりの演奏、自分なりの情感・・・を求める前にやはり作曲家に近づく努力をすべきという考えです。

カラヤン・・・きっとすごい指揮者だと思うのですが、私もよくわかっていません。

by Cecilia (2010-07-14 18:00) 

REIKO

個性は「出す」のではなく「出る」ものだ・・・と思います。
本人が自覚して「出してる」ようでは、まだホンモノの個性ではないような気がしますね。
出したくなくても「出て」しまうのが個性・・・?
何かちょっと怖いですが。(笑)

Where'er you walkは男性(テノール)の曲ですが、バトルが録音してたのですね。ちょっと驚きました。
歩く雰囲気の曲って好きなのが多いですが、これもそうですね♪
by REIKO (2010-07-14 19:40) 

nyankome

日本でも「個性を伸ばす」ということが言われるようになって久しいですが、まだ個性的でないことを望む社会になっているのではないでしょうか。
芸術の分野ではどうかは分かりませんが。

プロは基本ができている上での個性ですからなかなか真似はできませんが、個性的でない演奏家の方が参考にしやすいということはよく分かります。

私は最近、自分が練習しているときは、その曲のプロの演奏(CD)をなるべく聴かないようにしています。レベルが違いすぎて参考にならないからです。
by nyankome (2010-07-14 20:56) 

yablinsky

キャサリン・バトルは私も好きで、まさに"Ombra Mai Fu"というCDを持っています。1987年ですね。ずいぶん前のCDです。本当に美しい演奏です。
by yablinsky (2010-07-15 01:04) 

yablinsky

年代からすれば私が一番貧乏なときに買ったCDですね。そのくらい好きだったということです。
by yablinsky (2010-07-15 07:49) 

matcha

フレーニは、好きですね。「ラ・ボエーム」のミミ役が、特にお気に入りで、あの柔らかな優しい歌声は、僕の中でリリックソプラノの代名詞になってます。
僕の一番尊敬する指揮者カラヤンのお気に入りのソプラノでもあります。カラヤンのボエームも最高でパバロッティとの競演となってます。他にフレーニは、カラヤンにベートーヴェンの第九でも起用されてますね。
カラヤンについて言わせて頂ければ、あの精神の集中度は半端じゃない。すべての演奏する楽譜は、暗譜。譜面台がない。それと、映像的な指揮者と言われた、指揮のスタイルが、俗に言う「カッコイイ」。無駄な動作が一切ない。
言ったら切が無いので、この辺で。
フレーニは、素晴らしい。
by matcha (2010-07-15 07:59) 

Cecilia

REIKOさん、コメントありがとうございます!

>出したくなくても「出て」しまうのが個性・・・?
>何かちょっと怖いですが。(笑)

ホント、怖いですね~。

Where'er you walk、男性の曲だと昨日初めて知りました。
同様にバトルが歌っているパーセルの「妖精の女王」の中の"Come all ye songsters of the sky"、これも男性の歌だったので驚きでした。
これも歌いたくて楽譜を買ったのです。
by Cecilia (2010-07-15 09:13) 

Cecilia

nyankomeさん、nice&コメントありがとうございます!
「個性を伸ばす」と言うと聞こえは良いですが、教育の現場で真剣にそういう取り組みがされているとは思えません。
「個性を大事にする」というのも同様に聞こえは良いですが、単に放置されるだけのような・・・?

>プロは基本ができている上での個性ですからなかなか真似はできませんが、個性的でない演奏家の方が参考にしやすいということはよく分かります。

フレーニは参考にしやすいですが個性的でないというわけではありません。
お分かりだと思いますが念のため。
フレー二も個性的なわかりやすい声ですが、発声面で参考になるのです。

私も本番直前にはプロの演奏を聴かないようにします。
単なる模倣にはなりたくないですし。
by Cecilia (2010-07-15 09:20) 

Cecilia

yablinskyさん、nice&コメントありがとうございます!
一番貧乏な時に購入されたのですか!
バトルの発声は真似したくてもできないし、真似したくないというのもあります。
揺れない声で歌いたいと常々思っているのですが、彼女の声はヴィブラートが多いです。
でもだからだめかというとそんなことはなく、やはり魅力的な歌声だと思います。

by Cecilia (2010-07-15 09:25) 

Cecilia

ヒロさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2010-07-15 09:28) 

Cecilia

matchaさん、nice&コメントありがとうございます!
私も彼女のミミは大好きです。
譲ってしまいましたが、パヴァロッティと共演したLDを持っていました。
またDVDで手に入れたいです。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2765087
指揮はカラヤンではないですが・・・。
カラヤンに限らず指揮者の良し悪しがよくわかりません。
歌手でCDやDVDを選ぶことが多いし。
カラヤンと言えば韓国のソプラノのスミ・ジョーがカラヤンに見出され、彼の前で歌っている映像を見たことがあります。
by Cecilia (2010-07-15 09:34) 

matcha

DVDではないのですが、CDなら全曲版があります。発売当時から、名盤のひとつに挙げられていますが・・。出演者もすごい面々です。
http://hmvjapan.jp/product/detail/79967
カラヤンは、よくカラヤン節と言われて嫌う人もいますが、この人の演奏を聞いてると、脳のα波がよく出ます(笑・・)。
カラヤン節と評される人の口癖は、「カラヤンが演奏すると、ベートーヴェンもモーツアルトもバッハも皆カラヤンになってしまうと・・。」
僕にとっては、一番音楽をわかり易くし、旋律の持つ美しさを最大限に引き出し、綺麗で時には興奮しすぎて指揮棒を振り回すことも・・・・あります(汗・・)。
あれだけ、オーケスラに通じていた人は、もういない。亡くなってからは、悲しみの余り、音楽を15年封じたこともあります(苦笑・・)。
一度、聞いてみてください。
by matcha (2010-07-15 10:52) 

matcha

DVDは、アマゾンにありました。
DVDは、アマゾンにありました。
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%8B-%E6%AD%8C%E5%8A%87%E3%80%8A%E3%83%9C%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%8B%E5%85%A8%E6%9B%B2-DVD-%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%A4%E3%83%B3-%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3/dp/B001RVISPA
但し、パウァロッティではなく、ライモンディです。
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
ミラノ・スカラ座合唱団・管弦楽団
ミミ … ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)
ムゼッタ … アドリアーナ・マルティーノ(ソプラノ)
ロドルフォ … ジャンニ・ライモンディ(テノール)
マルチェルロ … ローランド・パネライ(バリトン)
ショナール … ジャンニ・マッフェオ(バリトン)
コルリーネ … イヴォ・ヴィンコ(バス)
ブノア … ミカルロ・バディオリ(バリトン) 他
演出・舞台装置:フランコ・ゼフィレッリ
【1965年4月、5月 ミラノ・スカラ座】
by matcha (2010-07-15 11:20) 

Cecilia

matchaさん、再コメントありがとうございます!
ライモンディってルッジェーロ・ライモンディしか浮かびませんでした。
なぜテノールの曲を・・・と思ってしまいました。
別なライモンディさんでしたね。
ご紹介のものはオペラ本などで見たことがあると思います。
フレー二もかなり若い頃ですね。

>脳のα波がよく出ます

それは是非聴かなくては!(笑)
by Cecilia (2010-07-15 17:56) 

Cecilia

ぶんろうさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2010-07-15 17:56) 

Cecilia

伊閣蝶さん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2010-07-15 17:57) 

Cecilia

Webプレス社さん、niceありがとうございます!

by Cecilia (2010-07-16 09:06) 

センニン

"Ombra mai fu"、Kathleen Battle が TV で一躍有名にする前、音楽の教科書には「ラルゴ」というタイトルで載っていました。
日本語の訳詞で歌い出しは「こーーーーかげーよー」でしたので「(美しき)こかげ」と呼ばれる事もありました。
この曲、Euphonium の先輩がよく吹いていました。
オペラのタイトル(Xerxes)も当時は「クセルクセス」と呼んでいたように思います。
一説によるとこの旋律はヘンデルのオリジナルではないようです。
by センニン (2010-07-16 21:24) 

Cecilia

センニンさん、nice&コメントありがとうございます!
日本語訳の「ラルゴ」、日本語訳の「メサイア」に匹敵するものがあります。(苦笑)
私も「ラルゴ」で覚えていたほうです。
そういえば「セルセ」は「クセルクセス」とも呼ばれていますね。
どちらが正しいのかよくわかっていません。

>一説によるとこの旋律はヘンデルのオリジナルではないようです。

以前nyankomeさんが話題にされていたので知りました。

by Cecilia (2010-07-17 18:39) 

Cecilia

エルティアさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2010-07-19 09:28) 

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