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米良美一withセントラル愛知交響楽団 [音楽鑑賞]

更新が滞っていましたが、ブログは毎日チェックしていました。
実家のほうも震災で大変な状況だったりして更新する気になれなかったというのが一番大きな理由です。
被災地域が広範囲で、大変なのは実家のほうだけではないので、何か書くにも言葉を選ばなければという思いもありました。しかし、私の住む地域はまったく(でもないですが)のどかな日常だったりします。
今日は予定していたコンサートに行ってきました。

コンサートは米良美一さんとセントラル愛知交響楽団のスプリング・コンサートで、愛知県一宮で行われました。
ファン仲間でお食事を楽しみ、”出待ち”のための楽屋出口もチェック。
米良さんのコンサートは特に音楽通でなくても楽しめる選曲であるのが普通ですが、今回もそうでした。私にとってはオケとのコンサートは初めてだと思います。

1・「フィガロの結婚序曲」(W.A.モーツァルト)

オケは総合的にはなかなか良い感じでした。でもこの曲はもっと刺激的に演奏して欲しかったです。オペラの内容を暗示する序曲です。主人公のフィガロ、機知に富んだ役柄ですからね~。(間抜けなところもありますが。)

2・「彼は蔑まれ、人々に見捨てられ」(G.F.ヘンデル・オラトリオ「メサイア」より)

私が合唱で参加した「メサイア」でのソリストは今日米良さんが歌ったアリアの中間部を演奏していませんでした!米良さんはBCJとの録音でも今日のように中間部を歌っていたように思います。もう一度CDを聴いてみます。この曲になったら管楽器の人たちがほとんど退場し、ファゴットだけになりました。(後は弦楽器)米良さんはいつも思うことですが巻き舌がかなりしっかりしていて、英語であってもかなり巻いて発音しています。♪He was despised,despised and rejected~~♪という歌詞なのですが、rejectedのrは恐ろしく巻いていました。あとで曲の解説がありましたが、言葉をかなり強調して歌っているのがよくわかりました。中間部以外は普通流れるように歌われているように思うのですが、米良さんは言葉を強調し切り気味だったように思います。”攻め”のエネルギーを感じたし、非常に伝わるものがありました。折りしも受難節ですから、時期的にもぴったりでしたね。選曲した時点ではまさか震災があるなどとは思われなかったでしょうけれど、神のひとり子イエス・キリストが罪なくして人々から蔑まれるこの場面の曲を選択されたということを、私は「神は苦しむ人々と共にある。」というメッセージとして受け止めました。古楽好きの私としてはちょっとだけ古楽の米良さんが戻ってきてくれたようでうれしかったです。音楽的にも”攻め”のエネルギーが満ちていたように思います。後のトークで「もう40になります。カウンターテナーをやるのは正直きついです。」とおっしゃっていましたが、でもまだ若いし”守り”に入るのは早すぎます。確かに20代と同じことはできないでしょうけれど、私は心からうれしい気持ちで聴きました。ファン仲間も同様に感じられたようでうれしかったです。


3・「アメイジング・グレイス」

ちょっと前に今「アメイジング・グレイス」の映画が上映されていることを知りました。すぐに(見たい!)と思った私ですが、このサイトに米良さんの言葉も出ていますね。
「メサイア」とは全く違うソウルフルな歌い方。どうしてこのようにいろいろな音楽様式に対応できるのでしょうか。
もちろん「メサイア」もある意味ソウルフルなのですが。


4・交響曲第7番1楽章(L.V.ベートーヴェン)

「のだめ」で有名になった曲ですね。若い指揮者(角田鋼亮さん)の後姿がドラマの千秋様のようでした。(笑)

前半の米良さんは運を呼び込みそうな真っ赤な衣装でした。(ドレス?)


~休憩~

後半の米良さんは蛍光色のようなオレンジと黄緑色の衣装(水玉模様のカジュアルな雰囲気の和服)で登場。

5・「花の街」(團伊玖磨)

米良さんの頭に赤い花飾りが・・・。ちょっとギャグっぽかった。七五三みたいではないですか!
ピアノ伴奏でない「花の街」は初めて聴きます。


6・「誰も寝てはならぬ」(G.プッチーニ・オペラ「トゥーランドット」より)

米良さんの歌を期待する人も多かったかもしれませんが、やはりオケ版でした。悪くないですけれど・・・やっぱりこの曲は歌で聴きたいと思う私です。


7・「もののけ姫」(久石譲)

CDではオケですが、コンサートで聴く時はいつもピアノでした。ハープやツリーチャイムに目が行きますね~。
CDとは違うテンポになったりしていますが、オケが米良さんに合わせるのは大変だと思います。まあプロのオケならできて当たり前でしょうけれど。合わせの時間はそんなに取れてないはずと思っている私です。
前の曲で頭についていた花飾りは帯留め風に留めてありました。


8・オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲(P.マスカーニ)

この間奏曲の「アヴェ・マリア」を米良さんの歌で聴いてみたいです。


9・「ヨイトマケの唄」(丸山明宏)

いつも聴いているピアノ伴奏と違うアレンジ。オケ用に編曲した人は誰でしょう。新鮮な気持ちで聴けました。
打楽器や管楽器の使い方がおもしろかったです。
先ほどの花はもう付いていませんでした。


(アンコール)
「花~すべての人の心に花を」(嘉納昌吉)
「美しき青きドナウ」(J.シュトラウス)

米良さんの「花」はいつもの曲なのですが、歌詞に♪川は流れてどこどこ行くの~♪とありますよね。
その後はオケの演奏でやはり川にちなんだ曲。
思わず今回の震災の被災地・・・とくに福島第一原発周辺地域の川を含めた自然のことを考えてしまいました。

米良さんのトークは希望を感じさせてくれるものでした。
石原都知事の「天災は天罰」発言にも触れていましたが、敢えてそのとおりであると肯定していました。
私は石原都知事の発言を直接聞いていないのでなんとも言えないのですが、米良さんの言葉なら素直に聞けます。
基本的に、「何か悪いことをした人々が天罰として天災に遭うならわかる。しかしなぜ悪いことをしているわけでもない人々が天罰を受けなければならないのか。天災に遭わなければならないのか。」・・・私の思いはそこにあります。(すみません。括弧内は私の心のつぶやきです。)
聖書にも障害を持った人についてその人が罪を犯したからなのか・・・という問いがありますよね。
旧約聖書のヨブ記では義人のヨブがたくさんの災難に遭います。
米良さんのトークの主旨は聖書の中の「ただ神の栄光が表れるため」(引用ではなく、記憶のままに書いています)に近いものですね。

米良さんの自己宣伝にあたる部分で「私を使ってください。」というのがありましたが、これ私も使ってみたいと思っている台詞です。

米良さんの言葉を、自分の解釈を通してではなくありのままにここに書きたいですが、読む方に誤解されないように書かなければという思いがあります。”出待ち”の時にちょっとお話ができましたが、私は実家のほうの話をして「祈っていてくださいね。」と申し上げました。(もちろん祈っていてくださっているということはトークで充分わかっていましたが。)、米良さんからは被災地にも最近も講演等で行っていらっしゃる話をお聞きしました。「祈っています。」との力強いお言葉をいただきました。

noripさんも記事を書いていらっしゃいます。





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伊閣蝶

晴れてはいますが、相変わらず寒い日が続きます。

米良美一さんとセントラル愛知交響楽団のスプリング・コンサート、これはなかなか内容の濃い演奏会ですね。
米良さんは巻き舌がしっかりしている、という点。
私もそのように思っていましたが、メサイアでもそのように美しく歌っておられたのですね。
なるほどと感心しました。
また、ベートーベンの7番の第1楽章を歌うという試みも大変興味深く思います。
この曲の第2楽章を歌っている例はかなりありますが、第1楽章まで歌唱の対象になっているとは思いもしませんでした。

ところで石原氏の「天罰」発言は、決して被災者や被災地が天罰を受けた、ということではなく、人間のこれまでの自堕落で不遜極まりない行動が引き起こしたものであり、これを機会に悪いものを流してしまうべきだ、というような内容だったと思います。
石原氏がそんなことをいうわけですから反発が大きかったのでしょうが、奢ることなく誠実に生きてきた人が神(というよりも自然・地球でしょうか)の怒りを感じて発言したのであれば、また違った反応もあったことでしょう。
米良さんが、被災されたCeciliaさんのご実家の方に祈りをささげて下さったという下りに、思わず胸の熱くなる想いがしました。

by 伊閣蝶 (2011-03-28 12:05) 

norip

こんばんは。

きのうは素敵なときをご一緒できて楽しかったです。
相変わらず的を得た感想でさすがというしかありません!
ウフフな写真明日にはつくと思います。お楽しみに~~♪

私はまだ手のぬくもりの中にいます・・・ポッ

by norip (2011-03-28 22:07) 

Cecilia

伊閣蝶さん、nice&コメントありがとうございます!
米良さんが歌う「メサイア」のアリアはこのCDで聴けます。
http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-919
この録音はBCJの「メサイア」のものと同じですね。
http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-891-92
先日はこの録音よりも更に言葉を強調した演奏でした。
それからベートーヴェンの第7一楽章は普通にオケの演奏でした。二楽章を歌うことがあるとは知りませんでした。
石原発言、たぶんそのような感じなのだろうと思いましたが、公の立場にある人は言葉を慎重に選ぶ必要がありますね。
米良さんは講演会などで震災以前に被災地になっている地域のいくつかを訪れていることもあり、そこに集った人たちのことを特に心配しておられるようでした。
このような時だからこそ、音楽の力が必要という言葉には力がありました。
by Cecilia (2011-03-29 08:27) 

Cecilia

noripさん、コメントありがとうございます!
あの後私は帰り道でいろいろあって大変でした。(笑)
帰宅は夜10時過ぎになってしまいました。(11時近かったかも・・・)
でも書けるうちに書こうと思って頑張りました。
お写真ありがとうございます。楽しみです~♪
by Cecilia (2011-03-29 08:30) 

Cecilia

kiyoさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-03-29 08:30) 

Cecilia

cfpさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-03-29 08:31) 

Cecilia

Promusicaさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-03-29 08:31) 

伊閣蝶

ベートーベンの交響曲第7番の第1楽章はオケでしたか。
これは失礼しました。
ところで第2楽章は私も大変好きな旋律ですが、有名どころではサラ・ブライトマンがこの旋律に詞を付けて歌っていますね。
by 伊閣蝶 (2011-03-29 12:20) 

Cecilia

伊閣蝶さん、再コメントありがとうございます!
2楽章にはシューベルトもよく使う♪ジャ~ジャッジャ、ジャ~♪というリズムパターンがありますね。(葬送行進曲のイメージ)
私は1楽章よりも2楽章が好きな気がしてきました。(一般には「のだめ」の影響もあって1楽章のほうが有名なのでしょうね。)
サラ・ブライトマンの歌も聴いてみたいです。
余談ですが、ベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」の2楽章も歌われることが多いですよね。

by Cecilia (2011-03-30 08:24) 

Cecilia

みほさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-03-30 08:25) 

Cecilia

tmさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-03-30 21:31) 

Cecilia

YaCoHaさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-03-30 21:31) 

hikoma

Cecilia様

東北関東大震災、ご実家の皆様のご無事をお祈り申しあげます。

米良さんと愛知セントラル交響楽団とのコラボ、nolip さんの「さえずりを聞く」と、Ceciliaさんのブログからその場にいたような雰囲気が味わえて、じっくりと読ませていただきました。
昨年11月に「メサイヤ」を聞きましたが、やはり私も“古楽の米良さん”に再会できた喜びを感じた曲。
私は、なにか強く訴えかける憤りのような激しさを感じましたが、ある意味で、Ceciliaさまが書かれている「攻め」と共通するかもしれません。

「アメイジング グレイス」、たしかにソウルフル!

非常に沢山の方が歌われている曲ですが、米良さんの「アメイジング」
私はとても好きです。
それから白鳥英美子さんという方の「アメイジング」も好きでCDを購入、今また思い立って「オムニバス アメイジング」をアマゾンで注文しました。

今回の「震災」、今はまだ明らかにされていないけれど、これから次々にあらわれるであろう多くの問題(特に動物の)を思うと、なんとも言いようがないほどの怖ろしさを覚えます。

このような時、音楽が支えてくれることに、ただただ感謝あるのみです。

(認証がうまくいかないとおっしゃるのでnoripが転送させていただきました。)


by hikoma (2011-04-01 07:35) 

Cecilia

hikomaさん、コメントありがとうございます!(noripさん、転送ありがとうございます!)
そちらも大変な状況だと知っていましたが、なかなかコメントもメールもできずにいました。
いまだに余震があり心を落ち着けることができませんね。
実家の家族は結局福島県いわき市の自宅に戻って生活をしていますが、今のところ直接的な支援をまったくしておらず、気をもむばかりの毎日です。
そのような日々にあって、毎日忙しくもあったのですが、米良さんのコンサートで癒されるひと時でした。米良さんの力強い励ましと慰めを感じました。
“古楽の米良さん”でなくても私が米良さんの音楽・・・そして米良さんが好きであることに変わりはないのですが、やはりヘンデルやバッハなどを歌ってくれるとうれしくなってしまいますね。しかも今回は挑戦的な姿勢を感じました。過去にCD録音もされていてご自分のものになっていることは確かなのですが、そのような作品だとついつい過去のものと比較してしまい、過去の出来が良いほど聴いていて辛くなってしまうことも多いと思うのですが、歌詞の意味がよく伝わる素晴らしい演奏だったと思います。
「アメイジング・グレイス」、映画のサイトやパンフに米良さんもコメントを寄せていますが、昨日観に行ってきました。
米良さんの「アメイジング・グレイス」の歌いまわしも、感情の込め方も絶品ですね。私が知っているいろいろな演奏の中でも最高のものの一つだと思っています。

by Cecilia (2011-04-01 09:23) 

hikoma

テンプレート、爽やかな春の趣!

(noripさんのお陰で、今日はこちらに直接書き込むことが出来そうです。)

私の居住地では、まだ映画館は閉鎖中で観ることも出来ませんが、今どうしても劇場で観たい映画が「英国王のスピーチ」、そして、この「アメイジング グレイス」。

“映画館、早く復帰して!”です。

米良組BBSにお書きになっていた、トビー ジョーンズ、「ミスト」での好演が
印象に残っています。


by hikoma (2011-04-02 06:56) 

Cecilia

hikomaさん、再コメントありがとうございます!
認証の件、わかりましたか?何度も申し訳ありません。
そちらのほうは映画館が閉鎖中なのですね。次の記事のコメント欄で福島県の玄侑宗久さんの原作の映画の話題になっていますが、この方の地元のほうも大変だということですね。何もなければ地元でも映画の話題で盛り上がっていたと思うのですが・・・。
早く映画館が復活するとよいですね。
トビー・ジョーンズさんをすでにご存知だったとは!私は今回初めて知りました。映画自体久しぶりでした。
by Cecilia (2011-04-02 20:36) 

Cecilia

ユーフォさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-04-03 23:25) 

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