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米良美一&塩入俊哉@名古屋Blue Note(2011) [音楽鑑賞]

名古屋ブルーノートでの米良美一さんと塩入俊哉さん(ピアノ)のコンサートに行ってきました。
去年も同じ場所での二人のコンサートに行きましたが(記事はこちら)、今年は急遽決まったもので、ピアノも最初は長町順史さんが予定されていたけれど塩入さんに変更になったというコンサートです。

去年は知っている曲のほうが多かったのですが、今年は昭和歌謡と言っても知らない曲のほうが多かったです。米良さんの歌唱力と塩入さんのピアノ編曲に酔いしれた夜でした。昭和歌謡ということで、最初から”古楽の米良さん””カウンターテナーの米良さん”を期待せずに行きましたが、本当にこの方はさまざまなジャンルの曲を「自分のものにする」天才だと思います。ブルースやジャズ(詳しい定義から言えば和製ブルース・和製ジャズになるのでしょうか。)の歌い方も素晴らしく、痺れるようでした。私がちゃんと知っているのはテレサ・テンの「つぐない」くらい(あとはお馴染み「もののけ姫」と「ヨイトマケの唄」)でしたが、”カバー”の曲であってももともと米良さんの曲だったのではと思わせる歌い方でした。これからおいおい元の歌い手による演奏を聴いてみたいと思いますが、”カバー”というのはたいていの場合”借り物”みたいな感じがしてしまう私です。たいてい元の歌い手のほうが良かったりしますよね。そのような”借り物”感がなく、心の奥底にぐっとくるようなそんな歌い方でした。
また塩入さん自身によるアレンジの伴奏は去年も書きましたがお洒落なだけのものではなく、歌い手を自由に羽ばたかせてくれるもので、より歌の世界に引き込んでくれる素晴らしいものだったと思います。私は米良さんの歌に聴きほれながら塩入さんの奏でるピアノの和音の一つ一つに耳を傾けていました。どこを切り取ってもぐっと来る和音でしたが、”哀愁”と”ノスタルジー(郷愁)”を感じますね。それから私はピアノを弾いている時の塩入さんの”音の職人”のような風貌に惹かれてしまいます。即興で弾いていらっしゃるところもあるのだろうとは思いますが、深い学びに裏打ちされたものであって、一つ一つ堅実に積み重ねての演奏なのではないのだろうかと思いました。今回のコンサートは急遽決まったものであるにも関わらず何ヶ月も前から準備されていたもののように感じられ、それがプロの技なのだとは思いますが、あらためて二人の実力を思い知ったわけです。またおそらく塩入さんほどの人ならご自分のアレンジですし譜面を見なくてもちょちょいと伴奏を即興で弾けてしまうとは思いますが、譜面台にきちんと立てて(去年は譜面台が倒れていた)慎重に、しかし大胆に米良さんをサポート・リードされていました。こんな伴奏で歌うのはどんなにか気持ちが良いだろうなあと思いながら聴いていました。

私が行ったのはセカンド・ステージで21時過ぎからでした。2000円程度の洋風プレートをいただきながらファン仲間とおしゃべりを楽しみ、そしていよいよ塩入さんのソロで始まりました。
米良さんは前半は紫の着物(鳳凰のような柄が・・・。)に金の帯(鯱にちなんで)、”金髪”に紫の大きな花を飾られていました。3月の一宮でのコンサートの時も同じように赤い花を髪につけていらっしゃいましたが、あの時は(七五三みたい・・・)と思ってしまいました。今回は見慣れたせいかまったく自然に見えましたし、(似合っている!)とさえ思ってしまいました。(笑)
後半はピンクを基調とした虹色のスーツ姿(縦じま)。途中で羽のショール(ピンク)を羽織っていらっしゃいました。

曲名が正確に書けないのですが、元の歌手とか手がかりになることを括弧内に書きます。

(ピアノソロ)
1・喝采
2・君待てども(平野愛子)
3・港が見える丘(平野愛子)
4・つぐない(テレサ・テン)
5・一人静か(ちあきなおみ)
6・わすれな草をあなたに(菅原洋一)
(ピアノソロ)「ラストコール~記憶を消して」
1・港町ブルース(森進一)
2・伊勢佐木町ブルース(青江三奈)
3・涙じゃないのよ(?アルジェリアとかマロニエとかシャンゼリゼという言葉が出てきました。)
4・こんな女に誰がした
5・赤いハンカチ(石原裕次郎)
6・君こそわが命(水原弘)

☆アンコール
ありのままで(米良さんのために作詞作曲された曲)
もののけ姫(米良美一)
ヨイトマケの唄(丸山明宏)


全体的なテーマは”ノスタルジア日本”だったようですが、大震災の被災地を意識した選曲もありました。(「港町ブルース」など)
失恋したり悲しいことがあってもカーッとしたりせず、自分を大切にしていきたいという主旨のことを語られていました。
あの震災の日はテーブルにもぐりながら「私の心が悪いから神様許して!」と祈っておられたようですが、自分にできることをほがらかに行っていきたいとおっしゃっていました。

忙しい日々の中の楽しいひとときで、これからの活力を与えていただき、自分がやってみたいことへのヒントもいただきました。


去年も載せた塩入さんの動画です。


ヤマハのサイトで塩入さんが「音楽は哀しみを癒すもの」ということを語っています。(米良さんのコメントも!)上の動画もヤマハのです。
このサイトで塩入さんが「それから自分の曲の楽譜が作れたらいいな。僕の曲って結構弾きやすいと思うし。(笑)誰かにピアノを聴いてもらいたいと思った時にぜひ使って欲しいんです。難しい曲はたくさんあるけれど、気持ちを簡単に込められる曲ってそう多くはないでしょ?探すのも大変だし。ぜひ僕の曲をみんなに弾いて欲しい!・・・」と語られていますが、私楽譜あったらほしいです!特に「ヨイトマケの唄」の伴奏。


今も頭の中には昨夜の「つぐない」が流れています。記憶ではタンゴ・ハバネラのアレンジです。
昔父がよく聴いていたカラオケ用カセットテープに「さざんかの宿」「Love is over」「北酒場」と共に入っていて、大学受験の頃嫌と言うほど聴かされた記憶があります。(苦笑)テレサ・テンも素晴らしいけれど、昨日の米良&塩入ヴァージョン、良かったです。






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Promusica

相変わらずジャンルにこだわらない米良さんですね。
でもちゃんと自分のものにするところがすごい所ですね。
歌っている姿を想像してしまいます。
by Promusica (2011-05-18 20:43) 

シズコ

いーいなーーーーーーーーーあ・・・・コンサート。
うらやましいです。
丁度ね、今日、「クラシックへの飢え」と言う詩を書いたばかりだったんですよ。それでここに来たらコンサート・・・・えーん(涙)羨ましいデス。
フジコ・へミングは、値段に手が届かなくて諦めました。
今、すごーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーくクラシックが聴きたいです。それも、超一流のが。合唱でもソロでもオーケストラでも良いから。
でも、吹奏楽だけは・・・・聴かなくていいです。(なんなんだ!?)

「北酒場」懐かしいな~♪私の高校時代!?の持ち歌でした。
(ど~ゆ~高校生じゃ!?)

    by 吹奏楽が好きでなく、演歌は結構好きなシズコ
by シズコ (2011-05-18 21:37) 

Cecilia

Promusicaさん、nice&コメントありがとうございます!
本当に何でも歌ってしまいますね~。(笑)
「伊勢佐木町ブルース」の♪シュビドゥバ~♪とか♪~ハ~ッ!♪(←わかります?)とかとてもうまいです!(笑)
クラシック歌手が演歌やポップスを歌う時、”クラシック崩れ”みたいな感じがしますが、演歌は演歌のように、ポップスはポップスのように歌えるところが米良さんの凄さですね。
by Cecilia (2011-05-19 08:37) 

Cecilia

cfpさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-05-19 08:38) 

Cecilia

シズコさん、コメントありがとうございます!
そちらの記事も拝見させていただきましたよ~。
今回のコンサートはクラシックとは言えないのですが、よかったです。
米良さんも塩入さんもクラシックで勉強されていますけれど、ブルースやジャズ(今回のは和製ですが)がとても素敵でした。
フジコ・へミングさんは私はファンではないですが、絶対高すぎると思います!前の記事に載せたフィリップ・ジャルスキー、同じプロモーションで(一昨年フジコさんと共演しています。)、フランスからやってくるジャルスキーより彼女のほうがチケット代高いのですよね。
確かに知名度高いですが・・・もっと安くてよいと思うのですが。
「北酒場」ですが、私は細川たかしさんが結構好きなんです♪
吹奏楽は経験者なので嫌いではありません。
日本で言う”吹奏楽”ではなくブラス(金管だけの)とかバロックのブラスが好きです。爽やかなハーモニーに癒される!
by Cecilia (2011-05-19 08:45) 

伊閣蝶

Ceciliaさん、こんにちは。
昭和歌謡をアレンジした、大変興味深いコンサート、曲目を拝見しているだけで、何だか頬が緩む思いです。
私はほとんどの歌を知っていますので、米良さんどのように歌われたのか、やはり興味は尽きませんね。
「涙じゃないのよ」と書かれているのは、エト邦枝が歌った「カスバの女」ではないでしょうか。

涙じゃないのよ 浮気な雨さ
ちょっぴりこの頬 濡らしただけさ
ここは地の果てアルジェリア
どうせカスバの夜に咲く
酒場の女のうす情け

こんな感じの歌だったと思いますが(二番の歌詞に「花はマロニエ シャンゼリゼ」という個所が出てきたはずです)。
思えばこの歌は、アルジェリア独立戦争の時期(1950年代)に映画の主題歌として世に出たのですが、恐らくブレイクしたのはベトナム反戦運動の頃(60年代後半)ではなかったかと思います。
アルジェリアもベトナムももともとはフランスの植民地でしたから、オーバーラップするものがあったのかもしれませんね。
すみません、あまりにも懐かしくちょっと脱線してしまいました(この記事を拝見し、アルジェリア民族解放戦線の指導者でもあったフランツ・ファノンの「地に呪われたる者」を読んだ時の衝撃を改めて思い起こしています)。

by 伊閣蝶 (2011-05-19 11:51) 

norip

こんにちは、お疲れさまでした。

今年もブルーノートでの米良さんのライブが楽しめて至福のひと時でしたね~いつもながらの素晴らしい感想パチパチ~!

ジャパネスク・ニッポン>米良さんプロデュースのカクテルも美味しかったですね。

塩入さんサイトのtakako.さまにもお知らせしてくださるとうれしくて卒倒されるかもしれません。そこは塩入さんも読まれていますので是非お願いしたいところです。さえずりにリンクしています♪

by norip (2011-05-19 12:35) 

norip

PS

涙じゃないのよ>カスバの女です♪

by norip (2011-05-19 16:30) 

シズコ

Ceciliaさんへ、これはお知らせです。山浦先生の番組です。

これはブログの記事と直接関係無いのですが、ごめんなさい、私のブログにコメントしてくださった方がいらしたので、お知らせです。
明日22日(日)朝5時から山浦先生の放送があるようです。

http://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20110522-35-26125 

よかったら、どうぞご覧になってください。

吹奏楽、好きじゃないって書いてしまってごめんなさい。お許しください。
今体調を崩してほとんど寝ています。
私のためにどうぞお祈りください。
by シズコ (2011-05-21 20:30) 

Cecilia

伊閣蝶さん、nice&コメントありがとうございます!
非常に忙しくてお返事が遅くなってしまいました。昨日は本番が一つ終わりました。
noripさんもコメントくださっていますが「カスバの女」という曲だったのですね。エト邦枝さんのことは知りませんでしたので聴いてみます。

>アルジェリア独立戦争の時期(1950年代)に映画の主題歌として世に出たのですが、恐らくブレイクしたのはベトナム反戦運動の頃(60年代後半)ではなかったかと思います。

ますます興味が湧きました。

>アルジェリア民族解放戦線の指導者でもあったフランツ・ファノンの「地に呪われたる者」

こちらも気になります。

米良さんが歌うとその曲の持つ魂がより鮮やかに浮き出てきます。そのようなことを考えるとやはり音楽というものは美しいだけではなく、武器にもなりうるのでしょうね。
by Cecilia (2011-05-23 05:20) 

Cecilia

noripさん、コメントありがとうございます!
そちらの記事も拝見させていただいていますし(写真つきで私が書きそびれたことも書いてくださって楽しい記事でした。またコメントに伺います。)、米良組の掲示板にも書き込みたいのですが、怒涛の忙しさでした。
昨日は本番が一つあり、何とか無事に終わりました。
ジャパネスク・ニッポン、飲みたかったです・・・。今度ブルーノートである時は電車で行かなくちゃ。
塩入さんサイトにも書き込ませていただきたいのですが、なかなか暇がなく・・・いずれゆっくり・・・。(勝手に報告してくださっても一向に構いません。)

by Cecilia (2011-05-23 05:25) 

Cecilia

シズコさん、再コメントありがとうございます!
山浦さんの番組はとても見たかったのですが、昨日はちょっと気の張る本番があり、しかも前日非常に忙しくて体調を整える必要がありその時間は起きることができませんでした。再放送があれば是非見たいです。
でも偶然か、昨日うちにあった聖書の特集本(宝島みたいなムック本。)が目に入り、何気に読んでいたら山浦先生のコメントが!!
今後はケセン語ならぬセケン(世間)語で聖書を翻訳したい・・・とおっしゃっていますね。
できあがるのが楽しみです。
せっかく教えていただいたのにすみません・・・。
by Cecilia (2011-05-23 05:31) 

Cecilia

momoeさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-05-23 05:32) 

Cecilia

goingさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-05-26 08:06) 

Cecilia

krauseさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-05-30 08:40) 

Cecilia

コトキャンさん、はじめまして。
niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-05-30 08:41) 

Cecilia

ユーフォさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2011-06-12 08:43) 

Cecilia

タッチおじさんさん、niceありがとうございます!

by Cecilia (2011-06-19 09:02) 

March Hare

「こんな女に誰がした」→「星の流れに」
かな。
当初、レコード会社は淡谷のり子に歌わそうとしたけど拒否されたことで有名です。
米良さんはこういう曲を歌うのがうまいんですよね。
だけど、私は裏芸は裏芸だと思っていて、裏芸を表に出していいのはタモリだけとも思っています。
私はやはり、モンテヴェルディやディンディアが聴きたいというのはわがままなんでしょうか。
by March Hare (2011-07-27 16:05) 

Cecilia

March Hareさん、コメントありがとうございます!
淡谷のり子、昔はけばいおばさんだと思って興味なかったのですが、最近とても興味深いです。
二葉あき子さんにしてもクラシックから歌謡界に行った人が多いですよね。
裏芸がうまい米良さんも良いのですが私もやはりモンテヴェルディを歌って欲しいと願っています。

by Cecilia (2011-07-29 22:09) 

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