SSブログ

関ヶ原のコンサート [音楽鑑賞]

関ヶ原に行ってきました。「関ヶ原の戦い」のあの関ヶ原です。
関西に住んでいた時は関東方面に行く場合に、今は関西方面に行く場合に必ず通過する関ヶ原。
だけど降りたことがなかった関ヶ原。
冬は雪が多く大変気になる場所なのですが、あるときはここを避けて遠回りしたこともありますね。
前日は大変な雨で心配しましたが良いお天気になり、高速道路のドライブも快適でした。
関ヶ原はとても寒いかもしれないと思っていましたが、思ったほどではなくほっとしました。

さて関ヶ原に行ったのは米良美一さんのコンサートだったからです。
自由席なので席を取るため早く行きました。13時開場13時半開演のために10時20分から並びました。
ほかのファン仲間が10時半に駅に着くという話だったのでその時間を目指して行ったところ若干早く着いたので駅に行こうかどうしようか悩んでやはり会場で並ぶことにしました。
この時間なら一番乗り!と思って入ってみると先客がひとりいらっしゃいました。その方は9時半から並んでおられたそうです。
とにかく先が長いなあ・・・と思いながら携帯を見たり壁の掲示物を眺めたりしていましたが、建物の外の風の音に混じって時折米良さんの発声練習が聞こえ、こうして待つのも良いものだなあ・・・と静けさを楽しんでいました。(先客さんはホールに入る米良さんに会えたとのことです。あと5分早ければ私もお見かけできたのに!)
そうこうしているうちにファン仲間が到着。一人はnoripさん、あとお二人は初対面の方々です。(お二人ともジュリーのファンで最近米良さんのファンになられたとか。)一気に賑やかになりました。しばらくは立って並んでいましたけれど床に座って楽しいおしゃべり。時間が経つのはあっという間です。
開場の時間になると長蛇の列が出来上がっていました。私たちはとにかく最前列の席を確保しようと意気込んでいて実際大丈夫でしたが、係の方からは「走らないで」「急がないで」としつこいくらい言われました。

プログラムはこんな感じです。(☆はピアノ独奏)

80日間世界一周☆
シェルブールの雨傘
黒猫のタンゴ
北風小僧の寒太郎
幸せなら手をたたこう
小さい秋みつけた☆
手のひらを太陽に
村祭
まっかな秋
アシタカ聶記☆
もののけ姫

~休憩~

恋の奴隷
伊勢佐木町ブルース
星の流れに
二人でお酒を
ひまわり娘☆
世界は二人のために
ひとり寝の子守唄
あの日にかえりたい
君こそわが命

(アンコール)
ヨイトマケの唄
愛して愛して愛しちゃったのよ



まずは全体的な感想から・・・。
米良さんは声が乗っていて絶好調な感じがしました。気持ちにも声にも力みがないというのがよくわかりました。特に何度も聴いている「ヨイトマケの唄」でそれを強く感じましたが、私生活も仕事も充実していらっしゃるのか穏やかなオーラが漂っていたように思います。「もののけ姫」はもちろん映画の時よりは低い声なのですが去年の11月のコンサート(緑川まりさんとのジョイント)の時よりは高いと思いました。去年のことなので何調かまではわかりませんが去年は4度くらい下げていると感じましたが今回のはたぶん3度くらい下なのではと感じました。とにかく去年の「もののけ姫」は完全に男声だったのが今回はカウンターテナーの声質でした。
前半はこの「もののけ姫」を含めカウンターテナーの声が目立っていたと思います。いかにも高い声で歌っているという感じがなくごく自然に聴こえたのは、今の米良さんに無理な音がなかったというのもあるのかもしれませんが、やはり調子が良かったからなのでしょう。しかし米良さんの声が高いとか低いとかもう問題ではないような気がします。高くても低くても米良さんは美しい声ですし、詞と曲の命が伝わる歌はさすがです。
そこで敢えて米良さんの歌に難癖をつけるとすれば”エ段”がiに聞こえる傾向があるということです。これも気をつけて聞いてみるとカウンターテナーの声(ファルセット)で歌っていた前半がそういう傾向が強く、男声(地声)で歌っていた後半はちゃんとeに聞こえるということがわかりました。
ここで自分の話になってしまいますが、私は頭声で歌うとピッチが不安定になる傾向があります。ある時音痴矯正で有名なY先生の講座を受けたのですが地声オンリーで歌ってみたらピッチは安定しました。これとはまったく別問題だと思うのですが、舌の形がちょっと変わるだけで高音が楽に出ることもあれば、発音に影響することもあります。米良さんの発音は何語であっても本当に素晴らしいのですが(ご本人にもこだわりがあるはず)この”エ段”がiに聞こえる傾向はご本人は気がついてないのかな?ほかの人にはわからなくても米良さんなら気づくのではと思うのですが。「もののけ姫」でブレイクしていた頃には高音であってもこのような発音の問題はなかったと思いますので(録音を聴けばわかります。いくらなんでも修正はされていないはず・・・)最近の傾向なのかもしれません。まあここでこんなことを書いてもご本人に伝わるとは思えませんが、(誰かご本人に指摘して~!)って思います。
もちろんこんなことは全体から見れば取るに足らないことではあります。でもだからこそ惜しいというのもあるのです。

あと伴奏の北原葉子さんのこと。彼女の伴奏を聴くのは久しぶりでしたが北原さんがスケールアップしているように感じているのは私だけでしょうか?以前よりもゴージャス&デラックスに聴こえました。以前は安心して伴奏を任せられるピアニストという程度の認識でしたが(それはそれですごいことなのですが)、ソロの演奏も素晴らしかったですし、こんな伴奏で歌いたいと思わせてくれる演奏でした。長町さんや塩入さんたちの編曲が良かったというのもありますが。

米良さんは今回4種類の衣装でした。
①赤いスーツ+ストライプのシャツ(ピンク?)(カツラの前髪部分にピンクのストライプのリボンのピンどめが乙女チック。←うちの娘がしそうなリボンでした・・・)
②紫の着物(永田萌さんのイラスト?)+金色の帯(カツラに赤い大きなお花)
③赤い半袖チャイナドレス(金髪ボブのカツラに着物の時と同じ赤い大きなお花。真っ赤な口紅。)
④白黒のストライプのスーツ(マシュルームカットの栗色のカツラ)

個人的に米良さんの着物姿は好きですが大きなお花は”七五三”みたいでちょっと・・・と思っています。
でも同じお花でも今回のチャイナドレスの時は良かったです。カツラもこっちのほうがいいかも。(ちょっと”やり手ババア”みたいな感じがして笑えました。)

コンサート終了後は皆さんと”出待ち”をしましたが急いでいるにも関わらずひとりひとりと目を合わせての握手をしてくださいました。握手漏れがないように気を使われたため2回も握手できましたし、ちょっと一言言っている間ずっと握手したままでした。(笑)

今回私は会場で本と米良さんのストラップ(2種類)を購入。


母

  • 作者: 米良美一
  • 出版社/メーカー: 藤原書店
  • 発売日: 2011/06/22
  • メディア: 単行本



昨晩ざっと読んだ程度なのですが、石牟礼さんの詩の世界に引き込まれ、宮崎や天草の郷土料理が無性に食べたくなり(またまったく違う地域なのですが自分が子供だった頃の田舎のお料理が恋しくなり)、石牟礼さんと米良さんの詩的な対談に引き込まれます。あらためて米良さんは文才もあると思いましたが、石牟礼さんの詩の世界を理解し言葉にして語ることができる彼はやはり歌がうまいだけの歌手とは違う、との思いを新たにしました。
米良さんがそうでありたいと何度も語っておられる”言霊”の伝え手の姿勢、私の中ではある牧師の言葉と繋がっています。聖書の中に「荒野で呼ばわる者の声がする。」とありますが(記憶で書いています。)、バプテスマのヨハネのように「荒野で呼ばわる者の声」になりきりたい、とおっしゃっていた牧師の話を思い出します。これは言い換えれば「自分はイエス=キリストへ通じる道を備えているだけ」というヨハネの姿勢に倣いたい、ということだったと記憶していて、強烈な印象がありました。有名な牧師、話のうまい牧師というのはともすればその人自身がカリスマ的な存在になり”神”になってしまいます。
米良さんは”言霊”の伝え手に徹したいという思いがあると思います。自分の声の美しさの自覚なしにプロ活動をするということは難しいかもしれませんが、自分自信を誇示するのではなく素晴らしい歌の世界を伝えたい、そのような思い・姿勢は私たちアマチュアも見習いたいものだと思います。
面白い米良さんも好きですが、やっぱりこういう部分に惹かれます。


(11月21日追記)
noripさんも記事をアップされました。(こちらです。)
nice!(5)  コメント(11)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 5

コメント 11

Enrique

またすごいところでのコンサートですね。米良さんのコンサート評ですとやはり気合いが入っていますね。
演奏者は自分の誇示ではなくて,音楽を伝える,あくまでメッセンジャーだということを忘れたらいけないですね。そう思えば,必要以上な自意識からも逃れられるかもしれないですね。
by Enrique (2012-11-19 22:18) 

伊閣蝶

今回もとっても濃厚な米良さんのコンサート体験をなさったとのこと。
演奏曲目は、私でもほとんど知っている曲ばかりで、とっても楽しそうな雰囲気です。
eの発音がiになること。なるほどなあと思いました。
実はこれは結構気になるところではあったのですが、これも声楽、それも独唱の場合は仕方がない部分なのかなと感じていましたので。
やはり、Ceciliaさんクラスでは、きちんとした演奏を目指される上で看過できない部分なのだなと感得したところです。
ところで、石牟礼道子さんと米良さんがこのような形で共著をしておられたとは驚きました。
私は、石牟礼道子さんのファンで、「苦海浄土」「天の魚」「十六夜橋」などを感動しながら読みふけったものですから。
さすがに分かりあえる人たちなのだなと感じ入ったところです。
by 伊閣蝶 (2012-11-19 22:24) 

norip

こんばんは。

昨日は楽しいひと時をご一緒できてうれしかったです。
暗い道をご無事に帰られて何よりでした。お世話になりました。
感想>さすがです!そして早いですね~~~W
私はなんだか気が抜けてしまって今夜も書けそうにありません苦笑
ゆっくりじっくり思い出しながら書きたいと思います♪
by norip (2012-11-19 23:37) 

norip

伊閣蝶さま

横レス失礼いたします。

私も石牟礼氏の「天湖」を読んでなんともいえない感動が湧き上がりました。
このような本に始めて出会いました。素晴らしいですね。
by norip (2012-11-19 23:40) 

Cecilia

Enriqueさん、nice&コメントありがとうございます!
米良さんのコンサート評、気合入っていますか?
聴く耳のあるファンでいたいと思っていますし、これからも見守って行きたいと思っています。でもそう思える演奏家に出会えたというのは幸せなことですよね。
おっしゃるとおりアマチュアであってもメッセンジャーであるという意識を持ち、過剰な自意識から自由になることをめざしたいですね。
by Cecilia (2012-11-20 12:17) 

Cecilia

伊閣蝶さん、コメントありがとうございます!
今回も濃厚なコンサート体験でした。ちょっと前までは米良さんも自分に対する反省の言葉や世直しに関するトークが多かったように思うのですが、肩の力が抜けたのでは、と思える良いコンサートでした。
寛いだ気持ちにさせてくれるコンサートはまさに”音楽療法”だと思いました。
石牟礼道子さん、私もファンになりそうです。
まずは「苦海浄土」を読まなければ、と思っているところです。
実は伊閣蝶さんは読まれているのではないかなあ・・・と想像していました。ファンでいらっしゃるとのことで、「やっぱり!」と嬉しく思ったのでした。
by Cecilia (2012-11-20 12:21) 

Cecilia

noripさん、コメントありがとうございます!
きのうは余裕があり早く投稿できました。なかなか語り尽くすことはできませんね。
私が書けなかったことについて書いていただけると嬉しいです。
リンクを貼り付けた本、レビューを見たらnoripさんの文が!(笑)
私は遅ればせながら・・・でしたが、これを機会に石牟礼さんにはまりそうです。米良さんとのやり取り、響き合うものが読者に伝わってきて素晴らしいですよね。
by Cecilia (2012-11-20 12:26) 

Cecilia

krauseさん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2012-11-20 12:27) 

Cecilia

伊閣蝶さん、niceを追加してくださってありがとうございます!
by Cecilia (2012-11-21 09:45) 

Cecilia

bee-15さん、はじめまして。
niceありがとうございます!
by Cecilia (2012-11-22 08:25) 

Cecilia

九子さん、niceありがとうございます!
by Cecilia (2012-11-27 09:12) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。