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二日連続でオペラ観劇してしまいました [音楽鑑賞]

二日連続で同じ人の演出による「フィガロの結婚」を観てきました。
名古屋二期会第43期研究生・研修生のオペラ公演で出演者の半分が研究生・研修生、半分は会員でした。
また一部の役を除いてダブルキャストでした。
出演の会員は若手が多かったでしょうか。研究生・研修生は音大卒ばかり、若手ばかりではないようでしたが。研究生と研修生の違いが今ひとつよくわかりませんが(東京の二期会も関西二期会も同じシステムなのかもわかりません。)、中には音大卒でなくて頑張っている方もいらっしゃったかもしれません。

研究生・研修生のカリキュラム終了記念の公演ということなのでしょうかね?とにかくチケット代が1000円という安さもあって二日連続で観に行くことになったのでした。(ほかにも用があり、そのついでに行けるという理由もありました。)

大劇場ではなく小劇場での公演で、一応オーケストラピットのように低くなった場所にはグランドピアノ(K.KAWAIと書いてありました。)とRolandの電子チェンバロ(3本足)が。ピアノの方は二日間伴奏をしていましたが、休憩が多いチェンバロの方と違いとてもハードだったのではないだろうか、と思いました。もちろん経験豊富な伴奏者&コレペティトゥーアのようなのでこれが当たり前なのかもしれませんが、歌手より大変そうでした。譜めくりさんもぼ~っとしていられないし、こちらも大変そうでした。だからと言ってチェンバロ奏者が暇だったというわけではないのですが、ピアノに比べれば演奏も緩やかな感じで、休みが多かったので楽そうでした。とにかく15分の休憩はありますが約3時間ですからね~。しかも二日連続。絶対歌手より大変だと思うのですが・・・。それとチェンバロ奏者と言ってもいわゆる「チェンバロ奏法を学んでいてオリジナル楽器のチェンバロで演奏している人」ではないと思います。あくまでもピアニストが電子チェンバロを弾いていたのだと思います。少なくとも経歴からはそのように思います。でもあまりにも良い音でうっかり本物のチェンバロかと思ってしまいました。モダンピアノとピッチが合うのはそのように調律しているせいかと思ったのですがやっぱり電子チェンバロでした。

結論から先に言うと大変お得感のある公演でした。
私は研究生・研修生の公演ということで何か学芸会のようなものを想像していたし、賛助出演の会員にもあまり期待をしていませんでした。
実際その想像通りの方もいましたが、全体を通してこれで1000円は安すぎると思いました。特に初日の公演が素晴らしく、私は5000円以上払っても良いと思うほど満足だったのです。二日目のメンバーも健闘していましたが、初日と比較するといろいろな面で残念なところが多かったです。でもおそらくは初日が良すぎたのでしょう。

その良すぎた初日ですが、この日の公演を通じて感じたことは以下のとおりです。主に良かった点から二日目と比較したりして考察しています。

☆最近の日本の若手歌手は歌唱力だけでなくダンス(バレエ)の力もある人が多い。

初日のフィガロはモデルもやっているほどルックスがよかったです。ダンスの経験は人それぞれかもしれないけれど、軽やかな身のこなしがストーリー展開にも重要だとさえ思いました。特にこの日のフィガロとスザンナは歌唱力・演技力が素晴らしかっただけでなく身のこなしが軽やかでダンスが達者。それがこのオペラのストーリー展開とか役柄に求められる重要な要素ではないかとすら思いました。

☆小道具の使い方

「もう飛ぶまいぞこの蝶々」の場面で、フィガロとケルビーノの靴の音が印象的でした。他の公演でも使われると思うのですが歌詞でいうとファンダンゴとか軍隊とかが出てくるところで効果的に使われた靴音、同じ演出でもちょっと違っていました。初日のフィガロがタップダンス用みたいな靴を使用していたのかな、と思います。確か踵が高い靴でしたが、良い音が印象的でした。二日目のフィガロは見たところウォーキングシューズみたいな感じでしたが初日と同じ音を期待していたら普通の靴音でした。靴はそれぞれの歌手が自分で選んでいるだけなのでしょうか?だとするとこの歌のためにわざわざタップダンス用(そうでなくても音を意識した靴)を使用している初日のフィガロ役はすごいですね。また靴の違いだけでなく、初日のフィガロとケルビーノの靴音が音楽にぴったりと合っていた(二日目が合っていなかったわけではないのですが)ということも付け加えなくてはなりません。







次に初日と比較すると残念なことが多かった二日目からの考察です。残念だった面から初日と比較して書いています。

☆レチタティーヴォの巧拙はアリアの巧拙よりわかりにくいと思うが、うまいと面白さが倍増する。

私がこのオペラを何度も見ていて、場面によっては経験があるので巧拙がわかるというわけではないと思っています。おそらくあまり観たことがなかった人にもレチタティーヴォの巧拙は伝わったのではないのでしょうか。下手なレチタティーヴォは言葉がまず自分のものになっていないし、必死感が見えてしまいます。イタリア語がわからない(あるいは勉強していてもよくわかっているわけでもない)日本人聴衆の多くはきっと音楽として聴いていると思います。目は字幕を追いかけていてレチタティーヴォは音楽として何となく聴いているというのが多くの人の聴き方かなと思いますが、言葉としてのリズムや抑揚が伝わると心地よいですよね。

☆演奏者のルックスや体型、身のこなしも重要だが、最終的には声と歌唱力。

実は前半は良すぎた初日と比較してまったく楽しめなかったのですが(比較するなと言われても無理!)、後半バルバリーナ(研究生か研修生)が登場してほっとしたのでした。特に声と歌唱力が素晴らしかったです。
かなりふっくらした方でしたが、そんなことはまったく気になりませんでした。

☆ハーモニーとリズムを意識した歌唱をしてほしい

これも初日は花まる。二日目はお互いの声質が溶け合わなかったり、ピッチのズレなどからハモらなかったりという場面が多かったような気がします。また歌い手という人種はリズムに意識が向かないことが多いように思うのですが、これも初日は花まるでした。二日目は伴奏と合わないところが何箇所かありました。指揮者とベテラン伴奏者が大変な努力で合わせていたと思います。

☆棒立ちの演技と歌唱にならないための工夫

私に何か考えがあるわけではないのですが、二日間の公演は同じ演出なのに明らかに違っていました。
上で書いたように最終的には声と歌唱力だと思いますが、それプラス演技力と身のこなし(ダンスの力)も重要です。その演技力とか身のこなしの部分に含まれることなのかもしれないのですが、歌唱力はまた別としてつまらなく見せるか面白く見せるかはそれぞれの資質や経験もあるのでしょうけれど、工夫もあるのかもしれないと感じました。歌しかやってない人とほかにも色々経験している人とでは当然違ってくると思いますが、演技を面白く見せている歌い手は演出家に従うだけでなく細かいところで工夫をしているのでしょう。上手な人はちょっとした目の動きとか体の動きに意味があってムダがない、と思いました。

ほかにもいろいろあったと思いますが今思いつくのはこれくらいでしょうか。

伯爵は両日とも会員で別な人でしたが、初日は短気でエッチなところが可愛いコミカルな伯爵、二日目はクールなイケメン。両方とも素敵で上手でしたが、どちらかといえば初日が良かったです。出てくるたびに嬉しくなってしまって(キタ━(゚∀゚)━!)っていう感じでした。(笑)
バルトロ&バジリオ(クルツィオ)は両日とも同じ人でしたが、このコンビはなかなかいい味出していたと思います。

今回この二日間の公演で、日本人によるオペラもいいなあと思った私です。(もちろんものによるけれど)積極的に聴きに行きたいとは思っていませんでしたが、今回のようならもっと聴きに行きたいと思いました。今回の公演、出演者にノルマはあったと思いますが、かなり宣伝不足だったと思います。小劇場なのに空席が多かったです。字幕付きでオペラ初心者にも親しみやすい演目だったので、宣伝すれば満席になったと思うのですが。

それにしても初日のスザンナは研究生・研修生とは思えないほど歌唱力・演技力・身のこなし、ルックス・・・どれをとっても素晴らしかったです。もうすでに会員なのかと思ってしまいました。これからの活躍が楽しみです。

それからフィガロのアリア"Aprite un po' quegli occhi"が歌われなかったのは残念。二日目は「お山羊とめ山羊は仲がいい」というアリアが歌われていましたが(確か初日はなかったです。)、初めて聞きました。省略されることが多いアリアみたいですね。






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