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「王妃マリー・アントワネット」のミュージカル [読書]


全く知らなかったのですが、遠藤周作の「王妃マリー・アントワネット」が帝国劇場で舞台化されるのですね!!

http://www.toho.co.jp/stage/ma/welcome-j.html

涼風真世がアントワネット!
彼女にはオスカルのイメージが・・・。どんなアントワネットを演じるのでしょう?
私は宝塚での彼女はオスカルしか知らないのですが、「ときめき夢サウンド」などで彼女の歌を聴き、うまいな~と感じていました。
オスカルも「女らしさ」のある「可愛い」オスカル・・・という印象が。

修道女アニエスを演じるのは土居裕子。
結構有名みたいですが、私は「マドモワゼル・モーツァルト」(音楽座)で一度観ただけです。
この方も実力派という感じがしました。

そして・・・オペラ座の怪人の山口祐一郎も出るのです!

あ~~、これは観に行かなくちゃ!という感じです。

上演期間は11、12月の二ヶ月だけなのでしょうか・・・?

「王妃マリー・アントワネット」・・・初めて読んだのは中3の頃だったでしょうか?

王妃マリー・アントワネット (上巻)

王妃マリー・アントワネット (上巻)

  • 作者: 遠藤 周作
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1985/03
  • メディア: 文庫


王妃マリー・アントワネット (下巻)

王妃マリー・アントワネット (下巻)

  • 作者: 遠藤 周作
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1985/03
  • メディア: 文庫


華やかな生活を送るアントワネットと、同い年で貧しい生活のために身売りする少女マルグリット・・・二人の生き方を軸にストーリーが展開されていきます。

中学生の私には衝撃的な内容でした。(サド侯爵も出てくるし・・・)


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もう一度読んでみたい気になる本 [読書]

小学校高学年の頃、学校の図書室でよく借りていた本のシリーズを時々思い出して、読みたくなります。
世界の文学のシリーズだったのですが、出版社は講談社だったのでしょうか?
一冊の厚さは5cmほどで、フランス編、イギリス編・・・というようにほぼ国別になtっていました。
ベージュ色の革のような素材で製本され、独特の匂いがしました。
表紙にはその国に合った名画が貼られてありました。
児童向けになっていましたが、児童文学に限らず、文学作品が収められていたと思います。

このシリーズのことをご存知の方がいらっしゃったらコメントがほしいです。

中に収められていた作品も大変気になっています。

まず、北欧編・・・
「日向が丘の少女」・・・トルビヨンの家には先祖代々、子供の名前をつけるのに決まりがありました。男の子(長男?)が生まれたらセームン、その息子にはトルビヨン、そのまた息子にはセームン・・・というように、名前をつけていくのです。セームンと名づけられた子は幸せになりますが、トルビヨンとつけられた子は不幸になる・・・というジンクスがありました。主人公はトルビヨンと名づけられた青年です。彼は不幸な日々を過ごしていましたが、日向が丘の少女シンネーべとの愛を通して、幸せになっていく・・・という話です。

ソ連(当時はソ連でしたから・・・。)編・・・
「若き親衛隊」・・・当時は難しくて部分的にしか読みませんでした。「粛清」みたいな場面もあったような気がして、大変気になる作品です。

フランス編・・・
「ポールとヴィルジニー」・・・これは大変有名な話なのでご存知の方は多いと思います。しかし、原題は確か「海の○○」だったように思います。(私が読んだその本では「ポールとヴィルジニー」でした。挿絵が銅版画みたいな感じの泰西名画調で気に入っていました。題名が知りたいです!図書館でも書店でもなかなか見つからず、気になっています。

今思いつくままに書いていますが、他にも気になるものはたくさんあります。
もう一度読みたい・・・と思っても題名の訳の違いなどもあり、なかなか読むことが出来ません。
「本の探偵」の赤木かんこさんに問い合わせるしかないかな・・・・?


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「テス」(トマス・ハーディ) [読書]

中一の娘と漫画や本をめぐって口論になることが多い毎日です。
本当に漫画が多いです。
自分自身も漫画は好きでしたが、私が中一のころは家には「ガラスの仮面」しかありませんでした!
お友達から情報を仕入れてきて、「これは・・・」と眉をひそめたくなるようなものまで読んでいます。
本に関しては、いろいろ読んではいるようですが、いわゆる「純文学」とは縁遠いものをたくさん読んでいるようです。

さて私が中一のころ、何を読んでいたか・・・
家の近くには本屋さんはなかったし、図書館も近くありませんでした。
学校の図書室だけが頼りだったのですが、今は売られていない旺文社文庫という文庫本のシリーズがありました。
中学のころはこのシリーズをよく借りていたように思います。
その中ではまったのがトマス・ハーディの「テス」。

テス 上

テス 上

  • 作者: トーマス・ハーディ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2004/06/10
  • メディア: 文庫


テス 下

テス 下

  • 作者: トマス・ハーディ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2004/07/08
  • メディア: 文庫


テス 下    岩波文庫 赤 240-2

テス 下  岩波文庫 赤 240-2

  • 作者: トマス・ハーディ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1960/01
  • メディア: 文庫


私は旺文社文庫で読んだ後、集英社から出ていたハードカバー(グリーンの世界名作文学の本)を買いました。

世慣れていない田舎娘のテスが、親戚筋の家に奉公に行き、アレックという男性に犯されてしまうのです。(出産するものの赤子はすぐに死んでしまいます。)
新境地を求め、働き始めた牧場で彼女は好青年エンジェルと出会うのです。
二人は恋に陥るのですが、テスは自分の過去の過ちからなかなか結婚に踏み出せないでいます。
彼が自分の過ちを語ったため、彼女も自分の過ちについて語るのですが・・・
「僕が愛したのは君ではない。君の姿をした別の女性だ。」と言って、遠いところへ旅立って行くのです。
テスはその後、ひどく貧しい暮らしを強いられるのですが、再びアレックと出会う派目に・・・。
やむを得ない事情から、テスはアレックの愛人としての暮らしを始めます。
放浪から戻ったエンジェルはテスを探していました。しかし再会した彼の前に現れたのは他の男性の愛人となったテスでした。
結末はテスがアレックを殺し、二人で逃亡するのですが、捕らえられ最後には処刑される・・・というなんとも悲しい結末です。

男性の「偽善」を鋭く抉り出した小説・・・と集英社版の本の帯についていた記憶があります。
(ちなみにエンジェルは牧師の息子。)

あ~、私は中一の時にこんなにドロドロしたものを読んでいたのですね~!

しかしやはり文学作品だけあって、表現も奥が深かったですね。
「一人のラケルを手に入れるために三人のレアか。」など、聖書を読まなければわからないような表現が多く、当時の私には解説を見ながらでもわかりませんでした。

この本に限らず、背伸びして読んでいた作品がかなり多いです。

ご存知の方も多いかと思いますが、この作品は映画化されていて、ナスターシャ・キンスキーがテスを演じています。

テス プレミアム・エディション

テス プレミアム・エディション

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2005/12/22
  • メディア: DVD


このDVD、欲しいです!!
イギリスの田園風景が美しく、ナスターシャ・キンスキーも初々しく世間知らずな娘の役にはまりきっています。
これが映画化されたとき、私は高校生だったように思います。
もちろん初めて見たのはテレビででしたが、大変どきどきしながら見た記憶があります。


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アーミッシュを扱った児童文学 [読書]

アーミッシュに生まれてよかった

アーミッシュに生まれてよかった

  • 作者: ミルドレッド ジョーダン
  • 出版社/メーカー: 評論社
  • 発売日: 1992/09
  • メディア: 単行本

この本を今手元に置いていないので、詳しいあらすじは書けませんが、アーミッシュってご存知でしょうか?(「目撃者」という映画にも登場するらしいです。)
ペンシルバニア・ダッチ・カントリーで、18世紀の暮らしを守り続けているキリスト教の一派の人たちで、戒律がたくさんあります。
私の姉はインディアナのほうに住んでいたことがありますが、そちらのほうにもいたようです。
私の大好きな「ステラ・おばさんのクッキー」のステラおばさんもその一派らしいです。(アーミッシュにもゆるやかなところと厳しいところがあるらしい。)

主人公の女の子はアーミッシュの家庭の子。(年齢は忘れましたが、たぶんうちの娘くらいのはず。)
アーミッシュは赤などの派手な色の服を身につけてはいけません。それから、自分を飾り立てることもできません。
アーミッシュでない友達とのかかわりを通して、主人公の心が揺れ動いて行く様子が描かれています。
最後には自分がアーミッシュであることに誇りを持って、「本物のアーミッシュになってみせる!」と決断するのですが、『~してはいけない』という頑なさではなく、自由な意思が感じられるところが素晴らしいと感じました。
読んだのが数年前で記憶が不確かになってきたので、もう一度読みたいと思いますし、今度は是非娘達にも読んでほしいと思います。

アーミッシュを扱った児童文学作品に「カレジの決断」があります。

カレジの決断

カレジの決断

  • 作者: 中村 悦子, アイビーン ワイマン
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 単行本


これも読んだのがだいぶ前なのですが、アーミッシュの戒律と、自分の意思の中で迷う少女の姿を描いています。
(結論は確か自分の意思に従って生きる決心をしたのだったと思いますが、もう一度読んでみます。)

アーミッシュみたいな暮らしはなかなか出来ないと思いますし、彼らを語る時に、興味本位のものの見方しかできませんが、情報が氾濫している今の時代の便利さに慣れきった私たちの生活は豊かと言えるのでしょうか?
今大変疑問を感じています。
(私たちからみたら)不自由な暮らしをしている彼らですが、パッチワークをしたり、きちんとした食事を整えたり、本を読むとうらやましいくらい贅沢な暮らしをしているように感じてしまいます。

アーミッシュの食卓

アーミッシュの食卓

  • 作者: 菅原 千代志
  • 出版社/メーカー: 丸善
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ステラおばさんのアーミッシュカントリーのお菓子

ステラおばさんのアーミッシュカントリーのお菓子

  • 作者: ジョセフ・リー ダンクル
  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 単行本


アーミッシュ・キルトと畑の猫

アーミッシュ・キルトと畑の猫

  • 作者: 菅原 千代志
  • 出版社/メーカー: 丸善
  • 発売日: 2001/05
  • メディア: 単行本

アーミッシュは結婚も早く、12、3歳ともなれば、嫁入り支度を始めるようです。(「アーミッシュに生まれてよかった」にもありました。)このように、自分の将来というものももう決まっているような彼らですが、それもある意味、うらやましいと感じてしまう今日このごろです。

私たちは大人も子供も「自由」の中で自分の進むべき方向を模索していて、今の世の中は「不安」が多いのでは、と感じています。
けして真似はできないし、そのような暮らしをすることは不可能ですが、進むべき方向が定まっていて、その中で淡々と日常生活を送っている彼らのような生活はけして否定できないもののような気がします。


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Edith Holden"The Country Diary" [読書]

昔からお花を育てることはどうも苦手なのですが、お花が大好きです。
だから、身につけるものも花柄が多くなります。

昨日の記事に関連しますが、大学一年の頃、Edith Holdenという方の"Country Diary"という本に描かれた花々が印刷されたグッズが出回っていたことがありました。
少なくとも、私は日記帳、ラッピング用ペーパーを買いましたし(大学の購買部で。)、その頃には不要でしたが、玄関マットをいただいたこともあります。

植物図鑑の絵のような細密さが好きです。

"Country Diary"は日本ではサンリオから出版されていました。

カントリー・ダイアリー

カントリー・ダイアリー

  • 作者: イーディス・ホールデン
  • 出版社/メーカー: サンリオ
  • 発売日: 1980/03
  • メディア: 単行本

今でも出ているのでしょうか?

ネイチャー・ノート

ネイチャー・ノート

  • 作者: イーディス ホールデン
  • 出版社/メーカー: サンリオ
  • 発売日: 1991/03
  • メディア: 単行本

Country Diary Nature Notes

Country Diary Nature Notes

  • 作者: Edith Holden, Alan C. Jenkins
  • 出版社/メーカー: Godfrey Cave Associates Ltd
  • 発売日: 1993/09
  • メディア: ペーパーバック

Vom Glueck mit der Natur zu leben.

Vom Glueck mit der Natur zu leben.

  • 作者: Edith Holden
  • 出版社/メーカー: DTV, Mchn.
  • メディア: Perfect

The Country Diary of an Edwardian Lady

The Country Diary of an Edwardian Lady

  • 作者: Edith Holden
  • 出版社/メーカー: Friedman/Fairfax Pub
  • 発売日: 2001/03
  • メディア: ハードカバー

Adressbuch.

Adressbuch.

  • 作者: Edith Holden
  • 出版社/メーカー: Heye Vlg., Unterhaching
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: ペーパーバック


グッズがなければ、せめて本でも・・・と思います。
昔、使っていたフランス語の教科書にこの紙をカバーとして使用していました。


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Kate Greenaway "The Illuminated Language of Flowers" [読書]

花言葉
ヴィクトリア朝の恋人たち


ぼくは恋人に、仙人草を贈ったのだ
ロセッティの詩集を読みながら
庭を散歩していたぼくの恋人は
その花言葉をすぐにわかってくれた

仙人草 それは心の気高さを意味し

恋人は眼を伏せた
私たちの、恋のはじまり・・・・

けれどある日、ぼくに贈られて来た花は白薔薇の蕾
ぼくは知っていたのだ

白薔薇 それは
「私は愛の虚しさを知っているのです」

ぼくの日々から満足は消え去り
ぼくはまた贈った 一輪の花を

アイリス それは情熱

恋人の摘んだ はこべが届く

はこべ それは
「あなたは邪気がなくて純で」

恋することの苦しみがぼくをつかまえて離さない
愛することの哀しみが ぼくを黒い淵へと誘う
ためらいながらぼくは選んでいた

ガム・シスタス それは明日の死

返って来たのは

いちい それは悲しみ

花言葉の約束を守るために
ぼくは死んだ
黒い喪のヴェールをかむり
恋人がぼくの墓に花々を手向ける

まんねんろう それは
「永遠に忘れません」
ヘンルーダ それは悔い

日々は流れ月はたち
ぼくの墓の上には土がふえた
そして恋人は植える

天人花 それは愛

そのときぼくは土に帰った体と魂の中から
ひとつの花を芽吹かせ恋人に贈ったのだ

ガーデンディジー それは
「恋人よ 君の哀しみを二人でわかち合おう」

そう・・・・ぼくは許していたのだ
この花言葉の恋を・・・・

                             ランドルフ・ストウ

           ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
大学に入学したばかりのときに、東京ではじめて買った本「ケイト・グリーナウェイ 花言葉」(白泉社)から巻頭詩を引用しました。

昔森永のチョコレートでケイト・グリーナウェイのパッケージに入っていたものが売られていたのを、覚えていらっしゃる方も多いのでは・・・?
あの絵が表紙になっている本です。

今は日本では絶版になっているのでしょうか?

たぶん下に挙げるものがそれにあたると思います。
          ↓

Illuminated Language of Flowers

Illuminated Language of Flowers

  • 作者: Kate Greenaway, Jean Marsh
  • 出版社/メーカー: Macdonald & J
  • 発売日: 1978/10/19
  • メディア: ハードカバー


Language of Flowers (From Stencils and Notepaper to Flowers and Napkin Folding)

Language of Flowers (From Stencils and Notepaper to Flowers and Napkin Folding)

  • 作者: Kate Greenaway
  • 出版社/メーカー: Dover Pubns
  • 発売日: 1993/01
  • メディア: ペーパーバック

アルファベット順の花の名前と、花言葉が書かれ、花にまつわる詩や花言葉の歴史が紹介されています。
Valentine Day の今日、直接的な表現が氾濫する時代にあって、花に託して気持ちを伝えた奥ゆかしい風習に想いを馳せる・・・というのも一興かと思います。


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高学年の「読み聞かせ」 [読書]

たった今、小学校の「読み聞かせ」に行ってきました。
読んだのはこの中から「パンドラ」を。
  ↓

ギリシア神話

ギリシア神話

  • 作者: 富山 妙子
  • 出版社/メーカー: のら書店
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 単行本

この世になぜ、「苦しみ」がやってきたか?
そして「苦しみ」と共に「希望」がやって来たことを忘れてはならない・・・という話になっています。
(児童向けなので。)

自分の娘のクラスで読む、というのは緊張しますね。
しかも五年生ですし。

このくらいの年齢だと子供によって読んでいる本も違うし、夏に6年生のクラスで読んだ時もそうでしたが、選ぶのに苦労します。
優れた絵本であるなら、高学年のクラスで読んでもおかしくはないのですが。

この程度ならいけるだろう、と思って読みましたが、子供達の反応は?
先生に「静かにするよう」厳しく(?)注意されているらしく、シーンと静まり返ったクラス。
(6年生の時もそうでした。いつもそうでないことは、直前の朝の会でわかる。)

本当にお話に聴き入っているのかはちょっと不安でもありますが、まあ読みやすい雰囲気ではありました。

それにしても「読み聞かせ」という言い方は、押しつけがましい感じがします。

今日は私の誕生日です。

     ↑
娘達からのプレゼント。


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「長い冬」 [読書]

風邪でダウンしていました。
パソコンのある部屋が寒い上、頭がボーっとしていたため、何かを集中して書くということができませんでした。

本当にこの冬は寒さが厳しいですね。
私の人生の中で一番寒い冬である、と感じています。

・・・というわけで、今日はローラ・インガルス・ワイルダーの「長い冬」のお話・・・。

長い冬

長い冬

  • 作者: ローラ・インガルス・ワイルダー, 谷口 由美子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


おなじみの「大草原の小さな家」のシリーズの本です。
しかし、「大きな森~」「プラムクリークの土手で」などとは趣を異にしているように感じます。
・・・というのは他のシリーズは章ごとに単独のお話としても読めるのですが、この「長い冬」はそういう読み方が出来ない、というという点においてであります。
ローラが13歳の年に、長く厳しい冬がやってきます。
最初の場面はとうさんと干草刈りをしているところで8月か9月。(大変暑い様子です。)
9月にはもう霜が降りた・・・とあり、翌年の5月までの長い冬の様子が大変ドラマチックに緊迫感をもって描かれています。
初めのころは燃料も食料もあるのですが、大雪のために汽車も止まってしまい、それらが乏しくなっていきます。
燃料を節約するために干草を縒って棒を作ったり、母さんが料理を工夫する様に感動します。
はじめのころには熟していない青いカボチャでアップルパイのような味のパイをこしらえたりします。食料が乏しくなると、少しの小麦、グレーヴィー(肉汁)が大変なごちそうです!
ローラたちの貧しい食事と対照的に小麦をたくさん蓄えているアルマンゾ(ローラの未来の夫)たちはそんな中でも豊かな食事をしています。(山のようなパンケーキにブラウンシュガーをかけて食べる場面が多い!!)

そういった乏しい状況において、一家を支え生かしているもの・・・

それは「言葉」であり「音楽」でした!

「長い冬」には詩や聖書を暗誦する場面がたくさん出てきます。
これが当時の「勉強」なのですが・・・これがまた寒さと飢えに追い込まれた状況の時に大きな力を発揮するのです。

一家が寒さに立ち向かうように歌う場面が印象的です。(最後のころには、とうさんは得意なヴァイオリンすら弾けなくなっているのです!)

最後の5月のクリスマスの場面で(雪に埋もれていた汽車がやっと動き、クリスマスに届くはずだった荷物がようやく手に入る。)、やはり「音楽」が登場します。

とうさんの弾くヴァイオリンに合わせて皆でコーラスをします。
           ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
くよくよしたってしかたがない
意思さえあれば 道は開ける
明日は日が輝くかもしれない
たとえ 今日は曇っていても

 うたっているうちに、あの長い冬の恐怖も苦労も、黒い雲となって空へあがっていき、音楽にのって、どこか遠くへ流れていってしまう気がした。春がきたのだ。ほかほかと日が照り、そよ風がやわらかく吹き、草が緑に萌えていく。

                              (最後の部分より引用)

            ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
クランベリーのジェリー、七面鳥、ジャガイモのグレーヴィーソースがけ、パイやケーキ、コーヒー・・・などの「長い冬」には考えられなかったような食卓を囲んでのこんな風景にほっとさせられます。

そして私は娘達が小さかった時に読んだ絵本も思い出すのです。

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

  • 作者: レオ・レオニ
  • 出版社/メーカー: 好学社
  • 発売日: 1969/01
  • メディア: -


皆が働いている時に「詩」をつくっていた風変わりな野ねずみ「フレデリック」のお話。

極限状況のときに人を生かす「言葉」・・・そして「音楽」の力について考えさせられます。


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ポケット詩集Ⅱ(童話屋) [読書]

8月に書いたブログです!

ポケット詩集(童話屋)
ポケット詩集

作者: 出版社/メーカー: 童話屋発売日: 1998/11メディア: 文庫
「雨ニモマケズ」「君死にたもうことなかれ」などの有名な詩が載っているが、どれもこれも心に響く詩ばかりで、愛読している。全部お薦めだが、その中から。

        汲む            茨木のり子
         -Y・Yに-

大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと会いました

そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

私はどきんとし
そして深く悟りました
大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと・・・・・・
わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです



そのポケット詩集の今度はⅡからご紹介します。

有名な詩人達の素敵な詩がセレクトされていて大変お気に入りです。
谷川俊太郎、石垣りん、まどみちお、茨木のり子、新川和江、吉野弘、高村光太郎・・・など。
特に女流詩人の詩に惹かれます。

           ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

「ふゆのさくら」      新川和江

おとことおんなが
われなべにとじぶたしきにむすばれて
つぎのひからはやぬかみそくさく
なっていくのはいやなのです
あなたがしゅろうのかねであるなら
わたくしはそのひびきでありたい
あなたがうたのひとふしであるなら
わたくしはそのついくでありたい
あなたがいっこのれもんであるなら
わたくしはかがみのなかのれもん
そのようにあなたとしずかにむかいあいたい
たましいのせかいでは
わたくしもあなたもえいえんのわらべで
そうしたおままごともゆるされてあるでしょう
しめったふとんのにおいのする
まぶたのようにおもたくひさしのたれさがる
ひとつやねのしたにすめないからといって
なにをかなしむひつようがありましょう
ごらんなさいだいりびなのように
わたくしたちがならんですわったござのうえ
そこだけあかるくくれなずんで
たえまなくさくらのはなびらがちりかかる

ポケット詩集〈2〉

ポケット詩集〈2〉

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 童話屋
  • 発売日: 2001/10
  • メディア: 文庫


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さびしい人格(萩原朔太郎) [読書]

さびしい人格が私の友を呼ぶ
わが見知らぬ友よ、早くきたれ
ここの古い椅子に腰をかけて、二人でしづかに話してゐよう、
なにも悲しむことなく、きみと私でしづかな幸福な日をくらさう、
遠い公園のしづかな噴水の音をきいて居よう、
しづかに、しづかに、二人でかうして抱き合って居よう、
母にも父にも兄弟にも遠くはなれて、
母にも父にも知らない孤児の心を結び合はさう、
ありとあらゆる人間の生活(らいふ)の中で、
おまへと私だけの生活について話し合はう、
まづしいたよりない、二人だけの秘密の生活について、
ああ、その言葉は秋の落ち葉のやうに、そうそうとして膝の上にも散つてくるではないか。

わたしの胸は、かよわい病気をしたをさな児の胸のやうだ
わたしのこころは恐れにふるえる、せつない、せつない熱情のうるみに燃えるやうだ
ああいつかも、わたしは高い山の上へ登って行つた
けはしい坂道をあふぎながら、虫けらのやうにあこがれて登って行った、
山の絶頂に立つたとき、虫けらはさびしい涙をながした。
あふげば、ぼうぼうたる草むらの山頂で、おほきな白っぽい雲が流れてゐた。

自然はどこでも私を苦しくする。
そして人情は私を陰鬱にする。
むしろ私はにぎやかな都会の公園を歩きつかれて、
とある寂しい木蔭に椅子をみつけるのが好きだ、
ぼんやりした心で空を見てゐるのが好きだ、
ああ、都会の空をとほく悲しくながれてゆく煤煙、
またその建築の屋根をこえて、はるかに小さくつばめの飛んで行く姿を見るのが好きだ。

よにもさびしいわたしの人格が、
おほきな声で見知らぬ友をよんで居る、
わたしの卑屈な不思議な人格が、
鴉のやうなみすぼらしい様子をして
人気のない冬枯れの椅子の片隅にふるへて居る。


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「火垂るの墓」(原作)・・・No.2 [読書]

★(本文より)満池谷は周囲のほとんどが農家で、やがて未亡人米袋をかかえてかえり、清太の、梅干の入っていた広口瓶にいっぱい満たすと、残りは自分宅用の木の米びつにざあっとあけ、二、三日はたらふく喰ったが、すぐ雑炊にもどり不平をもらすと、「清太さんもう大きいねんから、助け合いいうこと考えてくれな、あんたはお米をちっとも出さんと、それで御飯食べたいいうても、そらいけませんよ、通りません」通るも通らんも母の着物で物々交換して、娘の弁当下宿人の握り飯うれしそうにつくっときながら、こっちには昼飯に脱脂大豆のいった飯で、いったんよみがえった米の味に節子は食べたがらず、「そんなこというたって、あれうちのお米やのに」「なんや、そんなら小母さんが、ずるいことしてるいうの、えらいこというねえ、みなし児二人あずかったってそういわれたら世話ないわ、よろし、御飯別々にしましょ、それやったら文句ないでしょ、それでな清太さん、あんたとこ東京にも親戚いてるんでしょ、お母さんの実家でなんやらいう人おってやないの、手紙出したらどう?西宮かていつ空襲されるかわからんよ」さすがすぐに出ろとはいわなかったが、いいたい放題いいはなち、それもまた無理ではない、ずるずるべったりにいついたけれど、もともと父の従弟の嫁の実家なので、さらに近い縁戚は神戸にいたが、すべて焼け出されていて連絡とれぬのだ。・・・・・・・・・
台所を別にすれば、気は楽だが万事いきとどかず、どこでうつったのか、黄楊の櫛ですけば節子の髪から虱やその卵がころげおち、うっかり干すと「敵機にみつかりまっせ」未亡人にいやがらせいわれる洗濯も、必死に心がけているのだが、なにやら垢じみて来て、なによりも風呂を断たれ、銭湯は三日に一度、燃料持参でようやく入れてくれ、これもついおっくうになり勝ち、昼間は夙川駅前の古本屋で母のとっていた婦人雑誌の古本を買って、ねころんで読み、警報がなると、それが大編隊とラジオが報ずれば、とてもなまなかな壕に入る気はせず、節子ひっちょって、池の先にある深い横穴へ逃げこみ、これがまた未亡人はじめ、戦災孤児にあきた近隣の悪評を買う、・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・夜、節子が夢に怯えて泣き声立てると、待ちかまえたように未亡人やって来て、「こいさんも兄さんも、御国のために働いてるんでっさかい、せめてあんた泣かせんようにしたらどないやの、うるそうて寝られへん」ピシャリと襖を閉め、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・国民学校になってから、ドレミはハ二ホへトイロハにかわり、そのいちばん初めにならった鯉のぼりの唄を、おぼつかなくひき、節子と唄っていると、「よしなさい、この戦時中になんですか、怒られるのは小母さんですよ、非常識な」いつの間にかえったのか怒鳴り立て、「ほんまにえらい疫病神がまいこんで来たもんや、空襲いうたって焼くにも立たんし、そんなに命惜しいねんやったら、横穴で住んどったらええのに」
・・・・・・半分は、年相応の冒険ごっこのようなはずみもあって、警報解除になると、何もいわずに荷物をまとめ、「えらい長いことお邪魔しました、ぼくらよそへうつります」「よそて、どこへ行くの」「まだはっきりしてませんけど」「はあ、まあ気イつけてな、節ちゃんさいなら」とってつけたような笑顔うかべ、さっさと奥へひっこむ。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~この短編小説に、「西宮のおばさん」が登場するところをほぼ全部引用しました。

文体が「饒舌体」で独特ですね。

お分かりになったと思いますが、話の進行は淡々としています。

一応清太・節子側に立っているようです。

野坂昭如の原体験を基にしたこの小説・・・野坂は「ぼくはせめて、小説『火垂るの墓』に出てくる兄ほどに、妹をかわいがってやればよかったと、今になって、その無残な骨と皮の死にざまを、くやむ気持が強く、小説中の清太に、その想いを託したのだ、僕はあんなにやさしくはなかった」と述べています。

こうしてあらためて読んでみると、「西宮のおばさん」ははじめから「優しくない人」として描かれ、清太(野坂がモデル)が中心の話であることは間違いありません。

先日、『火垂るの墓・・・アニメとドラマ』のなかで、「どちらにもたっていない」・・・と申し上げましたが、清太・節子寄りの展開なので、アニメ版のほうがより忠実ですね。

「おばさん」の過去は、小説では触れられてなく、読み手の想像に委ねられています。

それでも、アニメ版と共に、ドラマ版も(原作に忠実とは言えないまでも)素晴らしい作品に仕上がっている、と思うのでした!!

先日も言いましたが子役・・・特に節子役の子の演技が光っていて、本物の感動を与えてくれました。
神戸の言葉がうまく、神戸の子かと思いましたが、千葉出身のようです!!




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「火垂るの墓」(原作)・・・No.1 [読書]

先日、「火垂るの墓」について書きましたが、原作本が出てきたので、原作における「西宮のおばさん」像を追ってみたいと思います。(原文より引用)

★西宮の家・・・お互いに焼けたら身を寄せ合う約束の家(ドラマではそういう設定。アニメには出てこない。)
★家族構成&同居人・・・未亡人(おばさん)、商船学校在学中の息子と娘、神戸税関へ勤める下宿人。(ドラマでは女の子3人、男の子1人の4人の子持ち。下宿人は義弟)

★(本文より)・・・清太は知らなかったが、母はこの西宮の親戚に着物夜具蚊帳を疎開させてあって、未亡人は「海軍さんはええわ、トラック使うてはこぶんやから」いや味ともつかずいいながら廊下の隅に、唐草の風呂敷でおおわれた荷物を示し、中の行李をあけると・・・・。
・・・・ここでも未亡人「軍人さんの家族ばっかりぜいたくして」文句いいつつ、うれしそうに我物顔で近所にまで梅干しのおすそ分けをし・・・・。
・・・・・また清太と節子も、海軍大尉の家族で、空襲により母を失った気の毒な子供と、これは恩着せがましい未亡人の吹聴したためで同情をひいた。
・・・・・・・その七千円ばかりの額を告げると未亡人は、「私の主人が亡くなった時は退職金七万円やった」と胸を張り、「幸彦は中学三年やったけど、社長さんに立派にあいさつして賞められたもんです、しっかりしとったわ、あのこは」息子の自慢、夜なかなか寝つかず、時おり怯えたように泣きさけび、そのつど目覚めて、つい朝おそくなる清太へのあてこすりときこえ、十日ばかりのうちに広口瓶の梅も乾燥バターたちまちなくなり、罹災者特配も消えて二合三勺も半分は大豆麦唐きびとなっては、食べ盛りの二人だけに未亡人、おのが分まで食われるのではないかと疑い、三食の雑炊もやがてぐいと下までしゃくって飯のあたりを娘によそい、清太節子にはすいとつまみ菜ばかりの汁を茶碗にもり、時に気がとがめるのか「こいさんお国のための勤労動員やもん、ようけ食べて力つけてもらわんと」台所ではいつも、焦げた雑炊の底をお玉でがりがりけずる音がし、さぞかし味がしみて香ばしく歯ごたえのあるそのお焦げ、未亡人のむさぼる姿思うと腹が立つよりつばきがにじむ。税関に勤める下宿人は闇のルートにくわしく、牛肉水あめ鮭缶を未亡人におくって、ごきげんとり結び、娘に気があった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「お母さんの着物な、いうてはわるいがもう用もないのやし、お米に替えたらどう?小母さんも前から少しずつ物々交換して、足し前してたんよ」そのほうが死んだお母さんも喜びはると未亡人はいい、清太の返事きかぬ先から、洋服箱あけて、不在中にさんざん調べたのであろう、なれた手つきで二、三枚とり出すと畳にどさっと置き、「これで一斗にはなる思うよ、清太さんも栄養つけな、体丈夫にして兵隊さんいくねんやろ」


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「緋の十字架」と「田園交響楽」 [読書]

朝、家族を送り出した後、ブログを書く私。
昨日と一昨日は、週末で書けませんでした。
夜中でもいいから書こうと思ったけれど、もう眠くって!
書きかけたけれどやめました。
堅くない記事なら、と思ったけれど、やっぱりだめ。
やはり、頭が働いている時じゃないと無理ですね!

今は大変暇なので、朝こんなことをしていられるのですが、来週から又仕事が始まります。
・・・と言っても、短時間だし、歩いて行ける場所なので、大したことないですね!

他の方を尊敬します!
フルタイムでお仕事、そして、ピアノ練習、家族との時間・・・いろいろあるのに、きちんとした記事を書いていらっしゃる。
10月の私は、ブログ書くのが仕事みたいになっていました。
いつもなら、仕事ないときはワイドショーにはまるのですけれど。
そして、家族がいると見ることが出来ないドラマを見る!
今、「緋の十字架」というのをやっていて、ときどき見ています。
あの「真珠夫人」とかやっていた時間のドラマです!
(「真珠夫人」、原作とまったく違います。菊池寛はやっぱりすごい!)
「緋の十字架」はアンドレ・ジイドの「田園交響楽」を下敷きにしているらしいです。
「田園交響楽」、私の少女時代の愛読書の一つ。
姉が買ってきたので、家にありました。
盲目の身寄りがない少女が牧師館に引き取られ、美しく、聡明な、感性豊かな女性へと成長します。
牧師は妻子があるにもかかわらず、少女を精神的に愛しています。
そして、息子も少女を愛するようになります。
最後には少女は目が見えるようになるのですが、自分が愛していたのは息子(ジャック)の姿をした牧師であったこと、牧師に妻がいるのに自分がそこに入り込んでいるという罪に気付きます。
少女は川に身を投げ、助けられたものの、息をひきとります。
そして、ジャックはカトリックに改宗し、父親の元から去っていきます。

なかなか、子供には理解できない話でした。
プロテスタントとカトリックというキリスト教的な背景を知らないと難しいです。
それに、三角関係(妻もいれて四角関係?)のドロドロも。

「真珠夫人」といい、あの局の昼ドラはドロドロ路線を売り物にしているので、又視聴率が高くなるかな?

日本語の題名にもなっていますが(原語でもそうなのか分かりません)、牧師とオーケストラ(田園交響楽)を聴きに行く場面があり、少女(ジェルトリュードと名付けられる)が牧師と音楽について語り合う場面(色のイメージを音のイメージと結びつけて想像する)が印象的でした。

それに、少女は一時他の教会に預けられるのですが、その間にオルガンを習得し、即興演奏が出来るレヴェルにまで上達するのです!(牧師がこっそり見に行くと、ジャックが手取り足取り教えているので、大変嫉妬心に駆られます。牧師はジャックを遠くの神学校にやってしまいます。)

「罪は生き、われは死にたり。」という聖書の言葉が最後に出てきて、理解できませんでした。

ドラマもやっていることですし、もう一度読んでみたいと思います。

田園交響楽

田園交響楽

  • 作者: アンドレ・ジイド, 川口 篤
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1965/02
  • メディア: 文庫


田園交響楽

田園交響楽

  • 作者: 神西 清, ジッド
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1952/07
  • メディア: 文庫


田園交響楽

田園交響楽

  • 作者: ジィド
  • 出版社/メーカー: 金の星社
  • 発売日: 1967/01
  • メディア: -


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「椿姫」の思い出 [読書]

「椿姫」を初めて読んだのは、小4の時でした。
書店で何を買おうか悩んでいたら、姉が「これにしなよ。」と言ったので。
少女向けに出ていた本なので、もちろん完訳ではありませんでした。
「椿姫」のマルグリット・ゴーチェは高級娼婦。その商売のことは「男の人に気に入られて、プレゼントをもらう」こと、と表現されていました。
挿絵も宝塚風で、たてロールの髪に素敵なドレスを着て、椿の花束を持ち、オペラ観劇やパーティーに行く様子が描かれていました。
何も分からなかった私は、「これ素敵でしょう!?」とおばに見せて得意になっていました。おばは「いやらしい。」と。・・・どうしていやらしいのか理解できませんでした。挿絵のマルグリットは大変清楚な顔でした。

次にたぶん完訳と思われる本を小6の時に読みました。
難しくて、理解できない部分もありました。
挿絵があまりなかった上、子供好みでない絵でした。
ほんの少し大人の世界を覗き見した気分でした。

「ガラスの仮面」を愛読していたので、姫川歌子さんが演じる「椿姫」の舞台の場面で、名前が違うのが気になっていました。

原作ではマルグリットにアルマン(恋人の名)。
舞台ではヴィオレッタにアルフレード。
オペラなんて縁がありませんでしたから。

オペラを観劇しながら「ボンボン」を食べる場面があるのですが、「ボンボン」といえば、田舎のよろず屋や、スーパーで売っているような「ウイスキーボンボン」という中に液体(ウイスキーなのでしょうか!?)が入っている安いお菓子しか知りませんでした。子供ながらに、「こんなものをオペラを観ながら食べるのだろうか?」と疑問でした。「干しぶどう」の「ボンボン」も登場したと思います。

そして、ふしだらな生活をやめて田舎暮らしをするのですが、私の中では田舎暮らし=簡素でお金がかからない暮らし。なぜ、その生活を維持するために、いろいろなものを売り払わないといけないのか、まったく分かりませんでした。

カシミヤのショール、というものもこの小説で初めて知りました。

オペラの「椿姫」は「La Traviata」(道を踏み外した女)という意味です。
いくら少女向けにしてもこの世界が分かるはずがないし、分かったら困るかも。

しかし、すぐ主人公に同化してしまう私は、肺病に憧れていたのでした。
「息子と別れてくれ。」と迫るジェルモン(オペラでの名。アルマンの父。)は悪の存在。
しかし、私に息子がいて、商売女と付き合っていたら、そう言ってしまうと思います。

高級娼婦は教養がないとなれません。
マルグリットは貧しい百姓の家に生まれたのに、オペラやダンス、ピアノなどの教養を身につけています。

オペラの舞台を観に行ったのは一度だけ。
後はテレビです。
東京文化会館で、ヴィオレッタは佐藤しのぶ。
指揮は前に「声楽の先生いろいろ」で書いたイタリア人のF先生です。





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にぐるまひいて・・・私の好きな絵本 [読書]

スーパーで仕事(短期バイトなので、今は行ってないですが)していると、本当にたくさんの商品があることにびっくりします。
お客として行っていた時は気付きませんでしたが、値引きも頻繁にあります。
何で今まで気がつかなかったのか、と損した気分になったり。

娘たちの部屋に入れば、たくさんのファンシーグッズ。
使い切れないほどのかわいい文具。

私の子供時代はすでに豊かな社会になっていたので、母のようにノートや半紙を真っ黒になるまで使う、ということはしませんでしたが。
折り紙は今のように「お徳用」など売られてなくて、近所のよろずや(?)で買ったものを何度も何度も使いました。(子供たちは一回折ったらおしまいでした。)

にぐるまひいて

にぐるまひいて

  • 作者: ドナルド・ホール
  • 出版社/メーカー: ほるぷ出版
  • 発売日: 1980/01
  • メディア: -


10月に、「とうさん」は家中で作り育てたもの(羊の毛、それを紡いで織ったショール、それを編んで作った指なし手袋、ろうそく、亜麻から育て仕上げたリンネル、切り出した屋根板、白樺の箒、じゃがいも、りんご、はちみつ、はちのす、かぶ、キャベツ、かえで砂糖、放し飼いのガチョウから集めた羽)を売りに行きます。
牛を引いて10日がかりでポーツマスの市場へ!
それらのものを全部売った上、空き箱、空き樽、空き袋そして荷車も売り、
牛さえも売ってしまいます!!
くびきと手綱も売ってしまい、
「とうさん」は家族のために買い物をします。
鉄のなべ、イギリスの刺繍針、バーロウナイフ、はっかキャンディーを。
それらを持って、にぐるまで来た道を歩いて帰ります。
「とうさん」にお土産をもらうと、家族のものはすぐ仕事にとりかかります。
娘は刺繍、息子は木を削り、
新しい鍋で夕飯をつくり、
皆ではっかキャンディーをなめます。
「とうさん」はその夜、若牛のために新しい手綱を編みます。
そして冬中、新しいくびきを削り、新しいにぐるまの板を挽き、屋根板を切り出します。
冬中「かあさん」は亜麻をリンネルに仕上げ、娘はそれに刺繍を、息子はインディアン風の箒を作り、
皆でろうそくを作ります。
3月にはかえでから樹液をとり、かえで砂糖を作ります。
4月には羊の毛を刈り取り、糸に紡ぎ、織物や編み物を。
5月にはじゃがいも、かぶ、キャベツを植え、りんごの花が咲いて散り、ミツバチが蜜を集めます。
裏庭ではガチョウが羽をまき散らします。

これを読むと、本当に必要なものって少ししかない、と感じさせられます。
親が外に仕事に行き、子供の教育を学校や塾任せにし(悪いといっているわけではありません。あしからず。)、ゲーム漬け、モノ漬けにする毎日。
果たしてこれが幸せなのか・・・!

手間ひまがかかるこんな生活こそが(この人たちにとっては大した手間ではなく、日常なのですが・・・)大変な贅沢である、と思います。

絵をご紹介できないのが残念です。
バーバラ・クーニーという私の大好きな挿絵画家が描いています。

「大草原の小さな家」のローラの暮らし(又書きます。)、アメリカのアーミッシュの暮らし(これはまねできないですが。)に憧れます。


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「8月の果て」・・・娘が読みたいと言い出した!! [読書]

長女が朝読書(学校での朝の読書タイム)に柳美里の「8月の果て」を持っていく、と言い出した。
(私がブログでお薦めしている愛読書。)
きっかけは、奥田美和子のCDだ。
「青空の果て」という曲を聴いて、柳美里に興味を持ったようだ。
毎週NHKFMのミュージックスクエアを聴いているのだが、柳美里が奥田美和子のために詞を書いたということを知り、柳といえば「お母さんが夢中になっている本の人」ということでCDを借りたらしい。
「青空の~」の詞だったと思うが、「ポケットには剃刀、手首を切った・・・」という歌をここのところ毎日歌っている。(これって、ヤンキー先生のドラマの曲なのですか?見てなかったので分からないが。)
しかし、いくら私の愛読書とはいえ、12歳の娘に「どうぞどうぞ!」とは言えない。
内容的にかなりハードだし、なんといっても性的表現がすごいからだ。
娘の性的知識がどこまでなのか知らないが、まったく白紙の状態であったら、読んでかなりショックを受けるに違いない。
もっとソフトな表現で、一箇所ぐらいであれば、まあいいかとも思うけど!!
難色を示していたら、「いつも本読め読めってうるさいくせに!」ときた。
いまさら隠すわけにもいかないので仕方ない。
しかし朝からねえ!!

勉強になることは確かだ!
主人公李雨哲の少年時代は12歳の時から描かれていて、日韓併合後の韓国で創氏改名され、早朝の神社掃除を義務付けられ、修身教育を受ける様が詳しく描かれている。
前も述べたが従軍慰安婦にさせられる金英姫は13歳の少女。
同じ年代の少年少女を通して、日韓の歴史を知ることができるとは思う。(いろいろな考えがあると思うが。)

うーん!!
困ったぞー!!
だけど仕方ないのかな。
ここのところ、急に大人びてきて、いろいろなことを吸収していると感じる。
ついこの前まで、まだ絵本みたいな本を読んでいたのに!!
もう子供だましみたいな内容は通じない。
大人の胡散臭さも見抜く眼があると思う。

どう読んだか語り合うしかないかな?





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ポケット詩集(童話屋) [読書]

ポケット詩集

ポケット詩集

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 童話屋
  • 発売日: 1998/11
  • メディア: 文庫


「雨ニモマケズ」「君死にたもうことなかれ」などの有名な詩が載っているが、どれもこれも心に響く詩ばかりで、愛読している。全部お薦めだが、その中から。

        汲む            茨木のり子
         -Y・Yに-

大人になるというのは
すれっからしになることだと
思い込んでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女のひとと会いました

そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

私はどきんとし
そして深く悟りました
大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと・・・・・・
わたくしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです


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柳美里「8月の果て」・・・・1 [読書]

8月の果て

8月の果て

  • 作者: 柳 美里
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/08/10
  • メディア: 単行本


ブログはじめたばかりのころ取り上げたが、再び取り上げる。
今までも柳美里はすごい、と思っていたが私はこの作品が一番好きだし、作品群のなかでも一番だと思っている。女性でこういう内容の作品を書ける人も少ないと思う。
朝日で連載されていたが、もう少しのところで中断。朝一番に読んでいるほど楽しみにしていた私はがっかりした。その後新潮に二回ほど掲載され、去年の8月15日(!)付けで出版された。
マラソンランナーだった柳の母方の祖父がモデルの私小説ともいえる作品。
「すっすっはっは」が異様に長く続くので、連載中抗議が多かったらしい。亡くなった祖父が走っている(霊界?で)場面で始まり、子孫である柳がその弟と慰安婦ナミコとの死後結婚式をあげ、8月の川べりで走る場面で終わる。「すっすっはっは」は作品のリズムを作っていて大切だ。
一番ショッキングなのは従軍慰安婦にされる金英姫(ナミコ)が登場する章だ。
主人公の弟(李雨根)に淡い想いを寄せる13歳の少女英姫(創氏改名で金本英子になっている)は、日本人の男に騙され中国に連れて行かれ、慰安婦にされてしまう。婦人科の検査の様子、慰安婦としての仕事の様子が、あまりにもリアルでなまなましく、しかもかなり多くのページをさいているので、苦しい気持ちになる。(だから連載中も抗議された。)少女は創氏改名で名前を奪われ、慰安婦にされることで再び名前を奪われる(ナミコという源氏名を付けられる。)。
少女は帰郷する船のなかで李雨哲に再会するが海に身を投げる。
   
・・・・・   金英姫!ナミコは自分の名を叫んだ。アボジ!アボジがつけてくれた名前だけはだれにも犯されていません。オモニ!オモニが呼んでくれた名前には指一本触れさせていません。金英姫!十三歳の処女の名です。ナミコは金英姫という名前を抱きしめた。金英姫!ナミコは海に飛び込んだ。・・・・・・・・・

前も言ったが、この小説はいろいろな読み方が出来る。私小説として、歴史小説として読めるほか、ハングル語がルビになっていたり、日本語がハングル語のルビになっていたり、ハングル語の知識が豊富になるし、朝鮮の文化にも詳しくなれる。何度読んでも興味深い。

しかし何といっても柳の心と身体を削って創り出された作品であるところにこそ価値があるのだ!実験的手法も多用しているが、それらに無駄はないと思う。

語りつくすことは出来ないので、又取り上げたいと思う。


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私の愛読書 [読書]

8月の果て

8月の果て

  • 作者: 柳 美里
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/08/10
  • メディア: 単行本


朝日新聞連載時から夢中になっている本です。
いろいろな意味で話題になったようですが、この本はいろんな視点で読むことが出来るし、実験的手法をふんだんに取り入れていています。何よりも柳美里という人の心と身体から絞り出された作品である、と思います。何度も何度も読みました。こんなにはまったのは久しぶり、というかはじめてかも。


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